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ワークショップB
2004年11月19日(金)
17:45 - 19:30, 第2会議室
ワークショップB
建設とアスベスト
座長:外山尚紀、アンダース・エングルンド

建設労働者におけるアスベスト関連の医学的所見と予防教育
平野敏夫1、名取雄司1、島津真理1、仲尾豊樹2
1亀戸ひまわり診療所[日本] 2東京労働安全衛生センター[日本]


 包括的な産業衛生と健康プログラムは、労働災害と職業性疾患を予防し、関連疾患を早期発見し、被災者による労災補償の援助を行い、特に一人親方や小企業における予防手段の教育のために始められた。労働組合、提携する建設国保組合、ひまわり診療所、東京労働安全衛生センターは1996年に共同計画を開始した。全建総連東京都連は東京で15万人の建設労働者、主に木製建築物の小規模現場や大規模現場の下請として働く一人親方や小企業を組織している組合である。最初の活動は建設現場の共同巡視と建設労動者の健康診断であった。一例としては、職業性呼吸器疾患の発見のために、日本の厚生労働省のじん肺標準写真によって毎年6,000名の建設労働者のX線写真を読影してきた。その結果、全体の13%に0/1の小陰影と胸膜肥厚斑を認め、0.6%に1/0の小陰影を認めた(表1)。
 2000年、私達は職業性呼吸器疾患を予防するための教育プログラムを開始した。胸部X線写真で異常のあった対象者に、私達は職業性呼吸器疾患の予防と作業環境の改善のためのワークショップを行った。ワークショップは2002年から毎年20回開催されている。総粉塵とアスベスト濃度の測定に関する知識と同様に様々な仕事の写真やビデオで構成される新しい教育材料を作成した。ワークショップは粉塵とアスベストによるリスクの認識を高め、粉塵作業の作業動作を変更するために有効である事が証明された。顕著な例を、表2にしめした。労働者は、壁を切断する際に局所排気装置や個人保護具を着用し、作業中の粉塵濃度は極めて減少した。

 表1 2000-2002年のじん肺健康診断の結果
 表2 粉塵作業の認識と実践の教育効果