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ワークショップB
2004年11月19日(金)
17:45 - 19:30, 第2会議室
ワークショップB
建設とアスベスト
座長:外山尚紀、アンダース・エングルンド

「白い敵」を突きとめる:建物の既存アスベストを把握するための簡単な手引き
スザーナ・ミュールマン
建築士, ブエノスアイレス市アスベスト除去手順・法的側面アドバイザー[アルゼンチン]


 古代ギリシャの時代から、アスベストは、魔法の物質であると見なされてきた。それは見つけやすい鉱物であり、取り出しやすく、断熱材や防音材、耐火材として完璧で、人間の寿命を超える耐久性がある。アスベストの持つ全ての特性を同時に備える物質は他にないので、人間が住む非常に多くの構造物の中で何世紀もの間使われてきたのは理由のあることである。
 しかし、時が経ち、科学によりアスベストは人間の健康にとって魔法というよりは危険な物質であることがわかった。このことが、われわれのように、医師、弁護士、建設業者、専門家、建築家、行政担当者、そしてアスベスト被災者、その他が、この重要な問題の解決を求めて会議に次ぐ会議に参加する理由である。
 それにもかかわらず、その間にも、建物には、多くの人々が永久に接触するアスベストが、どこに使われているのかの手がかりもなく使われ続けてきた。情報を持つことが、環境における目に見える、目に見えない、または隠れた敵から適切に身を守るための重要な第一歩である。一歩一歩、毎日毎日、一緒に働きながら、われわれ全てにとって価値ある健康という自然の賜物に、少しずつ近づいていかなくてはならない。
 このワークショップの目的は、われわれの身のまわりの既存アスベストについて、それはどのように見えるのか、それはどこで見つけることができるのか、そして何をすればよいのかについて簡単な指針を与えることである。仮想の建物のスケッチを追いながら、用途や使用状況によって異なる手触りや色、そして形状をどのようにして見分けるか学びながら、隠れているアスベストのありかを突き止める仮想の調査を行う。