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ワークショップB
2004年11月19日(金)
17:45 - 19:30, 第2会議室
ワークショップB
建設とアスベスト
座長:外山尚紀、アンダース・エングルンド

参加型アプローチによる建設現場での安全衛生活動
外山尚紀1、名取雄司2
1東京労働安全衛生センター[日本] 2亀戸ひまわり診療所[日本]


 日本では輸入された石綿の9割以上が建材として利用され、その大部分が現存している。それら建材を使用した建物の解体、改築に従事する建設労働者はアスベスト曝露の高リスク集団であり、今後も長期的なリスク管理が求められる。建設業で働く労働者、一人親方と小零細事業主を組織している労働組合では、参加型手法を取り入れた新たなアプローチにより、石綿リスクの管理を含めた包括的な安全衛生改善活動を実施した。
 建設労働組合の地方本部に改善委員会が建設労働者によって組織された。その中で参加型活動手法(アクションチェックリストによるリスクアセスメント、グループワーク、対策志向アプローチ)を応用して小建設現場へ改善活動を広げるための基本的なトレーニングコースを作成し、傘下の労働組合で実施することが合意された。1)リスクプロファイルの同定、2)アクションチェックリストの作成、3)チェックリストを使用した現場見学と改善事例収集、4)基本トレーニングコースの開発とトレーニング教材の出版、5)支部組合へのトレーニング活動の拡大、というステップを経て、建設労働者による独自の安全衛生活動が展開された。この活動を開始し促進するためには、1)労働者の自主的活動をサポートすること、2)良い事例の収集と水平展開、3)労働組合のネットワーク、4)簡素で効果的な教材、が効果的と思われた。