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ワークショップA
2004年11月19日(金)
14:30 - 16:00, 第2会議室
ワークショップA
アジア・ネットワーク: 目標と行動
座長: 古谷杉郎、ツシャ・カンジョシ

アスベスト禁止における労働組合の役割
マドゥカー・パンディー
インド労働組合センター(CITU)[インド]


 「安全なアスベストほど安全なものはない」とは、ICEM(国際化学エネルギー鉱山一般労連)が発行するパンフレットの警句である。
 ILO 第162号条約の採択にも関わらず、アスベストやアスベスト含有物質の禁止や流通に関する指導の進展は、世界において、特に発展途上国において、遅々としたものである。
 世界中で行われている強力なアスベストのロビー活動は、誤った情報を伝えており、いくつかの国では政策決定者にまで影響を及ぼしている。このことは、一般市民に混乱を与えており、それはこの恐ろしい物質の危険な影響についての十分な情報が不足していることに起因している。
  • 国ごとに、ILOにより提示されたアスベストの使用についてさらなる検討を加える。
  • EUによるアスベストの使用禁止は、アスベスト生産者(南アフリカ、ロシア、カナダ)による発展途上国の市場調査という結果をもたらした。職業上の危険性に関しての十分な科学情報が入手可能であるが、多くの国々では、政府による行動がないまま、アスベストの使用が衰えることのない状況が持続している。
  • 労働組合による介入の必要が、アスベスト使用を禁止するための世界的なキャンペーンを強化するために最も重要である。インドでは全ての労働組合がそれを要求しているが、アスベストに関する ILO 条約の批准に向けたインド政府による前向きな歩みは見られない。
  • 労働組合は、労働者と市民の間に注意を促すために、主要な任務のひとつとして、キャンペーンに参加すべきである。そうすることによって、キャンペーンの勢いも増すのである。
  • そのようなキャンペーンが効果的であるときには、いつも良い結果が得られてきた。
  • インドでは、アスベストは加圧・非加圧両製品の製造に広く使用されている。
 上下水道に使われる超加圧管、自動車、重機、原子力発電所、火力発電所などで使用される、パッキング材、ブレーキライニング、ジョイントなどで使用されている。消費量の合計は10万トンで、その5分の1は国内で生産されていると推定されている。。
 職業病の被災者が事実上保護されず、社会復帰もできないような地域では、労働組合の活動を強化する必要がある。国際的な学術研究は、被害者の適切な社会復帰のために、利用されるべきである。
 アスベストの禁止によって職を失った労働者に対しては、効果的な社会的救済策が与えられるべきである。生計を立てるための、代わりとなる職を与えられることが政府によって保証されないかぎりは、労働者は貧困と尻込みからキャンペーンを支援しないかもしれない。したがって、社会復帰政策に向けて、労働組合 が果たす役割を強化する必要がある。
 アスベスト代替品の使用については、アスベスト消費者間で、発展、そして浸透させるべきである。したがって、そのような商品のキャンペーンを行うべきである。
 発がん物質及び人造鉱物繊維に関するILO条約の役割も強化すべきである。
 アスベストの全面禁止を速やかに達成する。労働組合は、このひどく悪質な物質の被害者となった労働者と消費者を完全に保護するために努力する。
 主要な労働組合は、全ての生活範囲におけるアスベストの販売と使用の完全禁止に向けて、労働組合活動家の間に注意を喚起する。