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ポスター・セッション
2004年11月19日(金)12:30 - 18:30, 第3会議室(16:00-17:00 質疑応答時間)
2004年11月20日(土)09:30 - 18:30, 第3会議室(16:00-17:00 質疑応答時間)
2004年11月21日(日)09:30 - 12:30, 第3会議室


ポスター・セッション

補償のための国際的標準に向けて:アスベスト曝露の人間への影響評価への総体論的アプローチ
ランディ・ブラウン1、ソフィア・キスティング2
1ブラウン大学アフリカ研究・環境研究・病理学[アメリカ][不参加]
2ケープタウン大学公衆衛生・家庭医学校労働・環境衛生部[南アフリカ][不参加]


 ほとんど50年間、石綿肺を患ってきた労働者たちは政府やアスベスト産業界に健康被害について補償を求めてきた。いままでのところ、損害や障害の評価基準は世界中で異なっている。このように異なる理由は、ひとつには、石綿肺を診断し個人の病状の程度を決定するする簡単な方法がないこと、この病気の複雑で多様な進展、そして病気の範囲を決めている訴訟の論争的で対極的なあり方に由来する。法的体系は、この病気が容易に定義でき、一様であり、予測できる状態にあるという概念に依存している。最も適切な石綿肺の診断は、臨床検査、石綿肺にいたる個人の暴露履歴と徴候学、X線撮影による変化、及び肺機能の低下の証拠を用いてなされる。しかし、労働者の補償の歴史は労働者と産業界との間の深い不信感が根底にあり、それは様々な団体が医師と患者の経験を受け入れる度合いに影響を与える。その結果、うわべがより客観的なX線と肺機能測定に頼るようになってきている。これら2つの技術だけに頼ることにはいくつかの問題がある。第一に、肺機能テストは、定量的データを生成するので、容易に信頼性のある説明しやすいデータが得られるという前提が固定観念としてある。ある場合には、これは障害に対し融通のきかない数値基準を使用するという結果となった。第二に肺機能テストは、広く行き渡った"人種補正race correction"実施のために差別的になり得るということである。第三に、唯一の基準としてのX線撮影を用いたアスベストの診断は、肺繊維症は重症の場合も含めて、X線撮影では損傷の証拠が検出されないことがあり得るということである。診断のためにひとつの特定の手段や方法だけが用いられるよりも、我々は診断と障害の確定に対する総体的なアプローチ(holistic approach)、すなわち、補償にあたり患者を評価する場合には、患者の経験、臨床的評価、X線撮影、CTスキャン、そして肺機能テストが総体的に採用されるべきことを主張する。