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ポスター・セッション
2004年11月19日(金)12:30 - 18:30, 第3会議室(16:00-17:00 質疑応答時間)
2004年11月20日(土)09:30 - 18:30, 第3会議室(16:00-17:00 質疑応答時間)
2004年11月21日(日)09:30 - 12:30, 第3会議室


ポスター・セッション

ポーランドにおけるアスベスト加工工場労働者の医学検査の管理及び協力:AMIANTUSプロジェクト
ボゼンナ・スタンキビック−コロスズチャ1ネオニーラ・スゼスゼニア−ダブロウスカ2、ズザンナ・ズベルト2
1ポーランド保健省[ポーランド]
2ノファー職業病研究所、ロッツ[ポーランド]


 ポーランドにおけるアスベスト加工工場の元労働者に対する定期的な追跡健康診断は、1997年6月19日公布(2003年3月14日改正)のアスベスト含有製品使用禁止法により義務づけられている。石綿ト肺、中皮腫、肺がんなど、一般に知られているアスベスト曝露による健康影響は、アスベスト粉じんに曝露した労働者への追跡健康診断に政府の予算を投入する理由として十分なものである。 定期健康診断は、(兆候前の段階も含めて)病気の初期の段階での診断を可能にし、それにより病気の進行を妨げ、遅らせるための適切な処置をとることができる。
 この法律の規定を実効あるものにするべく、追跡健康診断が始められた。法律により指定されたポーランドの28のアスベスト加工工場の労働者全員が、定期健康診断とアスベスト関連疾患用の無料の治療薬を受けることになった。アスベスト加工工場は国内に散在していたので、多数の医療機関が診断に関わる必要がある。よって、12の医療機関の数十人の内科医による健康診断の実施と管理が必要となっている。
 実施と管理にあたっては、以下の点に重点を置いている。
(1)標準化された健康診断方法及び適切な訓練や相談の実施
(2)職業的にアスベスト粉じんに曝露した労働者の呼吸器への悪影響の観察
(3)アスベスト曝露作業者の登録の一元化
(4)予防的健康診断の結果のデータベース化
 2000年から2003年の間に終了したこの健康診断は、管理センターに集められた「健康診断カード」の記録をもとにデータベース化され、そこにはこのプロジェクトによる4,850人の労働者と6,830回の健康診断結果が集められている。 4,850人の労働者のうち、698人(14.4%)が石綿肺と診断された。 また、16件の肺がんがあり、また、11人が胸膜中皮腫と診断された。
 放射線診断により、1,486人(30.6%)の横隔膜上限局性壁側胸膜肥厚斑が発見され、1,778人(36.7%)の肺のX線写真に陰影が見つかった。 従来の診断に比べ放射線診断では11.7%の患者に以前よりよくない診断が下されたが、臨床検査のみの場合は4.6%の患者にとどまった。
 このように、追跡健康診断の実践は、アスベスト繊維の曝露による疾患の発見に有効な結果をもたらしている。