2004年11月21日(日) 10:40 - 13:00, 井深大記念ホール 全体会議セッション7 アスベスト・リスクのない世界:明日への戦略 座長:天明佳臣、バリー・キャッスルマン サンジ・パンディタ アジア・モニター・リソース・センター(AMRC)/労働災害被災者の権利のためのアジア・ネットワーク(ANROAV)[香港] アスベストは、疑いなく人を死に追いやる危険性がある物質であると認識されており、主要先進国はすでにアスベストを禁止するか、もしくは、その使用を制限してきている。裏返して言えば、このことが、アスベスト製品製造企業のほとんどが、開発途上国において、このきわめて有害な物質の使用を促進させる結果になっている。アジアは、今やアスベストの巨大市場となっている。中国とインドはアジアの二大アスベスト消費国である。サウジアラビアは、アジアで唯一アスベストを全面禁止している国である。一方、アスベスト製品製造企業の業界団体は、クリソタイル(白石綿)は管理された状態で使用すれば安全であるとしきりに宣伝している。労働者の安全には最小限の支出しかしないことがすでにわかっているアジアの労働現場で、「管理された」状態を作り出すことができると考えるのは大胆にすぎよう。職業病についての報告システムがほとんどないため、アジアでアスベスト関連疾患にかかっている労働者が何人いるかはまったく分からない。労働災害被災者の権利のためのアジア・ネットワーク(ANROAV)は、労災職業病被災者グループ、労働組合、労働関係のNGO、アジアにおける労働安全衛生の諸権利獲得をめざして活動している労働運動活動家などが集まる、ユニークな連合体である。アジアの14か国以上の国からメンバーが集まっている。本報告では、アジアにおけるアスベスト問題の重大性について概説する。それとともに、アジアの様々な国々のアスベスト業界団体による、アスベスト使用禁止に対する強力な反対、および多くの国々の主流メディアによるアスベストの使用支持についても概説する。アスベスト禁止の障害のひとつとして、多くの国々がアスベストの輸入品に、他のより安全な代替物よりも低い差別的関税率をかけていることについての分析を行っている。また、アジアにおける「アスベストのない職場」の実現に向けて、ANROAVが開始したキャンペーンについて検討している。さらに、アジアにおけるアスベストの禁止及び被災者への補償を目標に据えた、アジアレベルの可能な戦略について洞察を加えている。本報告は、ANROAVメンバーの豊富な経験及びアジア全域のアスベスト被災者の何人かについてのケーススタディに基づいている。 |