2004年11月21日(日)
10:40 - 13:00, 井深大記念ホール
全体会議セッション7
アスベスト・リスクのない世界:明日への戦略
座長:天明佳臣、バリー・キャッスルマン
アスベスト全面禁止後の欧州連合(EU)における状況
ローラン・ボーゲル
ヨーロッパ労連労働安全衛生部(ETUC-TUTB)[ベルギー]
欧州連合がすでにアスベストの新たな使用を禁止することを決定した現在でも、アスベストに対する労働組合の闘いが終わったわけではない。健康に対するアスベストに関連する影響は今後、長期間にわたり、大きな問題をもたらすであろう。
アスベスト使用に関する共同体指令の改定は、EU諸国において、よりよい法的枠組みを創り出した。2003年3月27日の指令は、一定の前進を示した。実際、それは輸出を意図したアスベストを含有する原料または製品の製造を継続することを禁じている。その他の積極的な点は、曝露限界を0.1繊維/cm3に引き下げたこと及び指令の適用範囲を拡大したことである。
しかし、この指令には欠陥もある。とくに:
- 改定指令は自営業者を適用対象としていない。
- アスベストが使用されている建物や設備の解体作業全て、及びアスベスト除去作業すべてが、適切な基準の下に認可された会社によって実施されることを確保にすべきである。
しかし、とりわけ問題と思われるのは、採用された規制措置を効果的に遵守させることである。今後も取り組まなければならない重大な問題のうち、次のことが議論されるであろう。
- アスベストが使用されている建築物の公的登録制度の創設
- アスベスト関連疾病の認定の改善
- 欧州企業の第三国における活動の監視及びアスベスト含有廃棄物の第三国への輸出禁止
- 個人用保護具市場のサーヴェイランス
アスベストの悲劇は残念ながら、毎年多くの人々を殺している莫大な数の他の化学物質が存在する限りにおいて、ひとつの典型である。欧州の化学物質政策に関し欧州委員会が提案したREACH(化学物質の登録、評価、認可制度)をめぐって現在行われている議論も、アスベスト災害を引き起こしているのとまさに同じ構造が、労働者の健康、住民及び環境に深刻な脅威を及ぼし続けているということを明らかにしている。
さらに詳しい情報と関連ドキュメントは http://tutb.etuc.org/fr/ を参照ください。
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