抄録トップページ
全体会議セッション6
2004年11月20日(土)
17:00 - 19:30, 井深大記念ホール
全体会議セッション6
既存アスベストの把握・管理・除去・廃棄
座長:中地重晴、アンダース・エングルンド

PRTRデータから見た日本のアスベスト使用状況と環境中への排出量
中地重晴
環境監視研究所・有害化学物質削減ネットワーク(Tウォッチ)[日本]


 2001年4月から日本において、PRTR制度が施行されている。それに伴って、有害化学物質の事業場から環境中への排出量や廃棄物としての移動量が国に届出られるようになった。また、国は届出対象外の事業場や家庭、移動体などからの排出量を推計している。これらのPRTRデータを集計して、国が公表するようになった。現在、2001年度と2002年度のデータが公表されている。この公表されたPRTRデータをもとに、日本におけるアスベストの使用状況と環境汚染について報告する。
 日本は本年10月からアスベストの使用を原則禁止するが、数年前から、EUなど諸外国のアスベスト使用が禁止されていく中で、事業者の方でアスベスト使用の使用を控える傾向が顕著になり、20年前には20万トンを超えていたアスベストの使用量が数年前には10万トンを切るようになった。この数年の間に数万トンまで使用量が減少している。
 PRTRデータでは、2002年度一年間で、廃棄物としての移動量が10業種から約3,167トンと報告されており、広範囲にアスベストが使用されていることがわかる。また、鉄道からの排出量が約3トンと推計されている。ブレーキパッドに使用されたものであるが、自動車など同様に使用されているはずのアスベスト製品については、確たる統計がないとして推計されていない。国が発表している以上に環境中へのアスベストの排出量は多いと考えられる。