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全体会議セッション6
2004年11月20日(土)
17:00 - 19:30, 井深大記念ホール
全体会議セッション6
既存アスベストの把握・管理・除去・廃棄
座長:中地重晴、アンダース・エングルンド

既存アスベスト・セメント製品の修理と維持管理に関する新しい規格
アンディ・オバータ
環境コンサルタント、ASTMインターナショナル・アスベスト管理作業グループ[アメリカ]]


 既存アスベスト・セメント製品の保守、改修、修理のためのASTM規格が、世界最大の自主規格の作成団体であるASTMインターナショナル1(http://www.astm.org/)によって開発されつつある。
 この規格は、すでに建物に使われている屋根、外壁、ダクト、配管その他の建材に使われているアスベスト・セメント製品を取り扱うための基礎的な理論と詳細な手順を提供するものである。それは、日常的な保守、修理、小規模な改修の際に穿孔、切断、破壊、やすりがけなど、粉じんと浮遊アスベスト繊維を生じさせるような作業を対象としている。石けん水、やすりがけ用クリームや同類の物質を用いての湿式法による粉じんや繊維の飛散防止が強調されている。4つの付録が、地下配管、埋設ダクト、穿孔及びパネル撤去をカバーし、さらにその他の作業や建材をカバーする付録も用意される予定である。この規格は、新たなアスベスト・セメント製品の使用を促すものではない。いくつかの手順はそのような作業に使われるかもしれないが、大規模な除去作業は目的に含まれていない。 この手順は、先進国ととともに、発展途上国で使われることが想定されているため、手工具、手に入りやすい機器や資材が特に用いられている。呼吸防護装置の着用が要求されるような繊維を飛散させる可能性を最小にするために、電動工具は、なるべく使用しないように促している。
 この規格は、労働者や地域の人たちの保健プログラムに責任をもつ政府機関やNGOとともに、建設や保守業務の責任を有する監督者や管理者によって使用されることを想定している。この規格は、アスベスト法令を検討中の国々に対して、有用な指針を提供するものである。ASTMインターナショナルは、それぞれの国における規格(標準化)団体と調整しながら、この規格を利用しようとする国において、規格の使い方についてのトレーニングを提供するつもりである。

(オバータ氏はASTMインターナショナル アスベスト管理タスク・グループの議長である。ASTM:米国試験材料協会。)