2004年11月20日(土) 17:00 - 19:30, 井深大記念ホール 全体会議セッション6 既存アスベストの把握・管理・除去・廃棄 座長:中地重晴、アンダース・エングルンド アンダース・エングルンド ウメ大学公衆衛生臨床医学部労働医学科[スウェーデン] スウェーデンでは、アスベスト使用の中止後30年経過した現在でもなお、男性の胸膜中皮腫が年間100症例ほど起きており、そのうち、20〜25%は建設労働者である。胸膜中皮腫の過剰な発症は、過去に行われたアスベスト含有製品の設置において相当のアスベスト曝露があったことを示す、いくつかの建設部門にみられる。過去10年間、連続して発症例が減少した後、以前に設置されたアスベスト含有製品の除去作業において曝露が生じたグループのなかで、再び増加している。スウェーデンでは、アスベストによる悪性疾患の年間男性死亡数は、死亡労働災害よりも2〜3倍多く、このことは労働災害がより多い建設分野にも当てはまる。 10〜20年、早い国々もあるが、EU加盟国の中のある国々はつい最近になって、アスベスト含有建材の禁止を実行した。今後生じる既存の建物の修繕や解体時におけるアスベスト曝露を防ぐために、ヨーロッパ中で調整のとれた取り組みが行われている。最近、様々な管理上及び技術的な取り組みが整理され、2003年ドイツのドレスデンで開催された全ヨーロッパ会議で発表された。さらなる法的な改善がEUレベルで準備中である。 アジア諸国は、今日、主要なアスベスト輸入国であり、使用国であるが、アスベストをまだ使用している全ての国々で輸入されているアスベストの大部分は、広い意味で建材である。建設現場では、現場が移動することのない工場におけるような隙のない安全手順がとられることはないだろう。したがって、これらの国々における建設労働者に関するアスベストが引き起こした疾患についてのデータがないからといって、彼らのリスクがスウェーデンのサーヴェイランス・プログラムによって発見されるものよりも低いと信ずる理由はない。アジア諸国が、アスベストの使用終結に関するドレスデン宣言の勧告に従うべき強い理由がここにある。 |