2004年11月20日(土) 09:30 - 12:30, 井深大記念ホール 全体会議セッション4 医学的側面:アスベスト関連疾患の診断・治療等 4-A:中皮腫の病因論・免疫学 座長: 鈴木康之亮、井口弘 西村泰光、西池珠子、和田安彦、 井口弘 兵庫医科大学衛生学 [日本] 【目的】 石綿肺では、炎症反応を誘導し且つTGF- 産生能を持つ肺胞マクロファージ(AM)が肺線維化惹起に重要であると考えられる。本研究では、Wistar系雄ラットを用いてchrysotile B (CH) の気管内注入およびAM培養時のCH暴露を行い、AMのTGF- ?産生能、アポトーシス、多核巨細胞形成ついて調べた。 【結果】 CH 4 mg注入5日後、BALF中には、TGF- 1濃度, annexin (Anx)+PI-の初期アポトーシス細胞, Anx+PI+の後期アポトーシス細胞, およびDNA断片化細胞が有意に増加し、MGC形成も観察された。また、CH注入群AMは培養5日後に有意に高いTGF- 1産生量を示した。この結果と一致して、対照群AMは10 g/ml CHとの培養でより高いTGF- 1産生能を示し、産生量はCH注入群AMと同程度であった。しかし、アポトーシスは誘導されなかった。一方、50 g/ml CHでは顕著にアポトーシスが誘導され、Anx+PI-細胞、Anx+PI+細胞、DNA断片化細胞と順に増加した。気管内注入実験の結果と対照的に、CHおよび誘導されたアポトーシス細胞はAM培養時のMGC形成を直接誘導しなかった。 【考察】 肺上皮細胞や線維芽細胞との相互作用の有無に関わらず、CH暴露後AMは自律的にTGF- 1産生能を亢進できること、またCH暴露後のAMにおけるアポトーシスの誘導とTGF- 1産生能亢進は互いに独立した反応であり、誘導はCH用量に依存することが示された。これらAMにおける機能変化の早期抑制は、肺繊維化の抑止に対し重要であると思われる。 |