抄録トップページ
全体会議セッション4
2004年11月20日(土)
09:30 - 12:30, 井深大記念ホール
全体会議セッション4
医学的側面:アスベスト関連疾患の診断・治療等
4-A:中皮腫の病因論・免疫学
座長: 鈴木康之亮、井口弘

PCR-SSCP法による悪性胸膜中皮腫における上皮成長因子受容体遺伝子変異の検討
高部和彦1、三浦溥太郎2
1 土浦協同病院呼吸器内科[日本]
2 横須賀共済病院呼吸器内科[日本]

【目的】 上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤であるgefitinibは進行非小細胞肺癌の分子標的治療薬として適応となっているが、最近、gefitinibの有効例においてEGFR遺伝子のexon19、21に高頻度に変異を認めたとする報告があり注目されている(Lynchら、NEJM 2004;350)。悪性胸膜中皮腫(中皮腫)においても免疫組織染色により高頻度にEGFRの発現が見られgefitinibの有用性が期待されており、今回、中皮腫におけるEGFR遺伝子の変異の有無をPCR-SSCP法により検討した。
【方法】 中皮腫腫瘍組織からDNAを抽出し、EGFR遺伝子のexon19(141bp)、exon21(198bp)をPCR法により増幅し、SSCP法により変異bandの有無を検索した。また、肺腺癌切除例14例で同様の検討を行った。
【結果】 中皮腫は11例で、全例男性、平均年齢は69歳(43〜87歳)、上皮型3例、二相型5例、肉腫型3例であった。EGFR遺伝子の変異は、肺腺癌では4例(29%)(e!> xon19、21、各2例)に認めたが、中皮腫では1例も認めなかった。
【考察】 肺腺癌による検討からPCR-SSCP法によりEGFR遺伝子変異のスクリーニングが可能と考えられる。中皮腫例では変異は認めなかったが、組織型による差異も考えられ、症例を増やして検討する必要があると考えられた。