2004年11月20日(土) 09:30 - 12:30, 井深大記念ホール 全体会議セッション4 医学的側面:アスベスト関連疾患の診断・治療等 4-B:アスベスト関連疾患の診断及び治療 座長:ブルース・ロビンソン、中野孝司 三浦溥太郎 横須賀共済病院[日本] はじめに:びまん性胸膜肥厚は臓側胸膜を含む広範な胸膜の線維化を来す疾患で、石綿曝露もその原因の一つとしてあげられる。石綿による肺実質の線維化である石綿肺(じん肺)が胸膜に進展した結果生じることもあるが、肺病変が軽微であるか認められないことも多い。目的と対象:石綿によるびまん性胸膜肥厚の頻度と呼吸機能障害の程度を明らかにするために、石綿健康管理手帳による2001〜04年の健診受診者を対象とし、病歴、胸部写真、CT(HRCTを含む)、肺機能検査を調べた。対象者の胸部写真は全てじん肺所見が軽微(標準写真の1/0以下)で、ほぼ全てに明白な胸膜プラークが認められた。石綿曝露以外に胸膜病変の原因が無く、胸部写真とCTが同時期に撮られ、胸部写真から過去3年以内の肺機能検査がある被検者は93名であった。結果:93名中8名(9%)に胸部写真でびまん性胸膜肥厚が認められ、いずれもCTにて臓側胸膜病変が確認された。8名の%肺活量は平均65.0%(範囲47.1-96.7%)、1秒率は平均80.7%(範囲61.1-95.2%)であった。そのうち2名の%肺活量は60%未満であった。結論:明かな石綿曝露歴はあるが、明かなじん肺所見に乏しい受診者の9%にびまん性胸膜肥厚が見られ、拘束性障害の傾向が認められた。その1/4は著しい肺機能障害を呈していた。じん肺所見が乏しくても、 びまん性胸膜肥厚により著しい肺機能低下を来すことがあるので、厳重な経過観察が必要である。 |