2004年11月20日(土) 09:30 - 12:30, 井深大記念ホール 全体会議セッション4 医学的側面:アスベスト関連疾患の診断・治療等 4-B:アスベスト関連疾患の診断及び治療 座長:ブルース・ロビンソン、中野孝司 ブルース・ロビンソン ウエスターン・オーストラリア大学パース校医学部[オーストラリア] 近年まで、悪性中皮腫(MM)の効果的な治療法はなかった。2つの新しい化学療法、gemcitabine-cisplatinumとemetrexed-cisplatinumの双方は30%を超える奏効率を示している。われわれは、生存率を高めるためにこれらの治療法に関し、どのようにして外科手術と免疫療法を統合することができるかを確定するために、先端的な分子的及び細胞的アプローチをとっている。 マウスの中皮腫は人間の腫瘍に似ている。このような動物のがんモデルは少なく,代表的なもののひとつである。それゆえ,これによる前臨床試験は行う価値がある。最終的に抗腫瘍細胞毒活性は減少するとともに腫瘍は形成されたが、Allo MHCクラスTtransfectantsは拒絶され、B7-1トランスフェクションは際立って悪性中皮腫(MM)の成長を遅らせた。このデータから,中皮腫のサイトカイン 遺伝子療法は外科的切除による腫瘍量減少療法を併用することで最も効果的になることが示唆される。 動物における腫瘍減少に成功したことに基づく、ヒトIL-2遺伝子を発現する組みかえ痘疹ウィルス(VV)を用いての胸膜中皮腫の第一相臨床試験。 VV-IL-2 mRNAは注射後3〜6日で一連の腫瘍生検中に検出されたが、一様に8日目までに減衰した。抗VV IgG抗体量はVV-IL-2 mRNAの発現とは全く関係がなかった。GMCSFとともに注射された自家組織腫瘍溶解物は中皮腫患者の約25%にDTHの変化を誘発し,Western blot反応で検出できるまでになった。 真の改善には、早期診断方法が必要である。Mesothelin族たんぱく質(SMRP)の可溶性成分は、80%以上の中皮腫患者の血清中で上昇した。重要なことは、SMRPの顕著な上昇は悪性中皮腫(MM)の発症に先立つ数年前に検出することができるということである。したがって、血清中のSMRPの検出はMMの診断に有用であり、疾病の早期兆候であり、リスクのある個々人をスクリーニングするのに役に立つかもしれない。 |