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全体会議セッション3
2004年11月19日(金)
17:00 - 19:30, 井深大記念ホール

全体会議セッション3
被災者・家族のエンパワーメント
座長:名取雄司、アニー・デボモニ


9.区立S保育園園児の石綿暴露災害における保護者活動とエンパワーメント
S保育園保護者[日本]

 1999年夏、区立S保育園の園舎改築工事中、2週間にわたり吹付を含む石綿が飛散し、0から5歳までの園児100名強が暴露した。再三にわたる保護者の問合せに対して石綿の存在を隠し続けた末に保育中に工事を決行した結果であった。隙間だらけの間仕切りごしの保育室では粉塵と石綿が飛散したが、区職員は黙認した上、園児の避難を怠った。
 事件発覚以来、保護者は父母会や新しく設立したNGOを通して、工事の中止、園児の避難、事件の解明、健康対策実施を求めて活動を行ってきた。



保護者活動におけるエンパワーメント
@保護者の参加
・情報の共有
・心配や怒りの共感とカタルシス
・活動の多様性
A専門家
・専門的知識や助言
・保護者団体活動の潤滑油的働き
B第三者からの共感と支援
C技術・環境・効率性
・インターネット
・活動中の保育の提供
・基盤となる保護者会・名簿
・短時間で効率よく

保護者活動の阻害因子
@子供への有害性
A育児との両立における困難性
B石綿への無知あるいは過度の恐怖
C家族・職場・周囲の無理解

S保育園の改修工事における石綿暴露とその後の経緯
1999年 
4月21日保護者会にて園長が工事実施について報告
4月保護者からの再三の石綿有無の問い合わせに、区は「天井に存在するが,天井はいじらない」
7月 5日工事開始
7月 7日天井仕上げ材撤去。むき出しの石綿を保護者が発見
7月 8日既存の壁、仕上げ材撤去
7月 9日調乳室、浴室のフレキシブルボード撤去
7月10日既存コンクリートブロック壁撤去。柱部分の吹付け石綿とブロック粉塵が飛散
7月14日保護者会
7月15日間仕切りの隙間に目張り、軽量鉄骨壁下地の組み立て:合計17ヵ所の吹付け石綿除去
7月17日父母会で石綿への不安が取り上げられる
7月19日父母の問合せで事件発覚、工事中止となる
7月21日 0,1歳児の部屋を1階に変更、保護者の要望で石綿濃度分析実施
7月28日保護者会
区は吹付け石綿飛散に事実を隠蔽
保護者の要望
・石綿露出状態の改善
・代替地への避難
・専門家の介入
・石綿完全除去又は全面建替え
8月18日吹き付石綿除去が新聞報道される
8月20日保護者説明会
新聞報道を受け、吹付石綿除去について謝罪
8月23日0歳児、1歳児を他保育園へ避難、2歳児以上も1階のみで保育
9月8日専門家による説明会
10月25日第1回健康対策等検討委員会開催
11月〜
翌5月
代替保育園へ移転
2000年6月新園舎に戻り保育再開
2001年6月保護者が健康アンケート実施
2002年
3月10,11日
中間報告(案)保護者説明会
2003年
8月29,30日
最終報告(案)保護者説明会
2004年
3月7,9日
石綿健康対策等説明会
4月9日第1回石綿健康対策等専門委員会