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全体会議セッション3
2004年11月19日(金)
17:00 - 19:30, 井深大記念ホール

全体会議セッション3
被災者・家族のエンパワーメント
座長:名取雄司、アニー・デボモニ


アスベスト被災者・相談・支援の活動
名取雄司、永倉冬史、植草和則、平野敏夫、飯田勝泰、内田正子
中皮腫・じん肺・アスベストセンター[日本]

 1988年に結成された石綿対策全国連は、石綿(アスベスト)に関する国の政策を変更する事が主な目的として、活動を続けてきました。しかし石綿対策全国連には常勤の専従職員はいなかったため、全国の被災者を救済する事はできない状況でした。

 中皮腫・じん肺・アスベストセンターは、石綿対策全国連に加盟している団体や個人の多くが参加して2003年9月に結成されました。中皮腫・じん肺・アスベストセンターはひとりですが常勤職員がおり、全国からの被災者の医療や労災補償の相談に応じる事が主な目的の一つです。今年2月に結成された中皮種・アスベスト疾患・患者と家族の会の事務局もまた、中皮種・じん肺・アスベストセンターがおこなっています。

 2003年9月から〜2004年8月に、中皮腫・じん肺・アスベストセンターでお受けした電話相談は、全国の北海道から鹿児島まで325件でした。吹きつけ石綿や石綿建材の飛散と防止策のご相談が約3分の1,石綿を吸入した方の健康診断や石綿肺のご相談が約3分の1,悪性中皮腫や石綿関連肺癌のご相談が約3分の1です。

 悪性中皮腫及び石綿関連肺癌の方のご相談は、総数で113件でした。医療相談を希望された方が36名いらっしゃり、労災補償のご相談を希望された方は77名でした。労災補償のご相談を希望された77名のうち、既に15名の方が労災(業務上疾患)に認定され、22名は現在申請審査中で、17名の方が申請の準備を行っています。残る23名の方の中には、相談を継続した中で病理診断が中皮腫及び肺癌と異なっていた事が判明した方、諸関係を考え労災申請を途中で中止された方、および環境曝露と思われる方々です。この環境曝露の相談が増加しており、調査及び対応が始まっています。