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全体会議セッション3
2004年11月19日(金)
17:00 - 19:30, 井深大記念ホール

全体会議セッション3
被災者・家族のエンパワーメント
座長:名取雄司、アニー・デボモニ


インドにおけるアスベスト被災者の窮状
ゴパール・クリシュナ
アスベスト禁止インド(BANI)、 トキシック・リンク[インド]

はじめに
 先進国ではアスベストの製造と使用が徹底的に削減されているが、インドでは、アスベストの管理使用は絶対的に安全であるとされて、アスベストの製造と使用が見境なく促進されている。インドには、10万人以上のアスベスト被災者がいる。この脅威は、インドがアスベストの管理使用を可能なものとして取り入れようとして、不幸にもそれがうまくいっていないために生じている。
被災者の現状
 アスベスト関連被災者がそのように大勢いるにもかかわらず、アスベストが使用されているところではどこでも、法律に従う義務がある被害者たちの補償を求める裁判があるということは、驚くべきことである。労働者の疾病は、診断されないままか、あるいはされてもその医療報告書は抑制され、アスベストの使用を促進する人たちは無傷で逃れたままでいる。
 一般の人々及び特にアスベスト産業労働者の無知のために、アスベスト関連の疾患は急速に広まっている。調査研究調査により判明してきたことは:
(1) 労働者のほとんどが石綿肺、中皮腫、肺がんなどのアスベスト関連疾患罹患している。 (2) 健康記録が長期間保管されてこなかった。 (3) たとえ労働者がこれらの疾患に罹患していることがわかっても、わずかばかりの補償金を与えられて解雇されるか、健康人であるかのように健康記録を改ざんされた。
結論と勧告
 政府や裁判所は、最高裁判所の次のような命令に従って、アスベスト製品の製造者に10万人全ての労働者の過去30年間の医療記録を作成するように求めるべきである。すなわち、各労働者の健康記録は雇用開始後最低40年、または退職または停職後15年のどちらか長い方の期間、保持され、また保管され続けなければならないという命令である。 職業的危険性から労働者の健康を守るという任務を与えられた労働組合の支援を得て、政治的または政策的介入という手段に訴えるべきである。  求められているのは、人をアスベストに曝すということは人権を侵害することであるという意味を持つ、司法的または行政的命令である。
 刑法と不法行為法のもとで法的責任が問われる必要があり、アスベストを禁止した諸国及びこの殺人繊維に関するWTO裁定の両方の主張を用いて、カナダからのアスベスト輸入を即刻禁止する必要がある。