2004年11月19日(金) 17:00 - 19:30, 井深大記念ホール 全体会議セッション3 被災者・家族のエンパワーメント 座長:名取雄司、アニー・デボモニ アニー・デボモニ 国立衛生医学研究所(INSERM)現代社会公衆衛生問題研究所(CRESP)[フランス] 数十年間、フランス社会は、中皮腫やその他のアスベスト関連疾病の流行の渦中にいることに少しも気がつかずに過ごしてきた。アスベスト産業界の戦略は、アスベスト製造とその使用による健康への影響を、人々から隠しておくことであった。産業界は、この疑問戦略をすすめるにあたって専門家―科学者、医者、弁護士―たちに助けられてきた。しかし、それは、アスベスト曝露の被災者らによる強力な社会運動が現われて、この流行の事実が明らかにされるまでのことだった。フランスは、1997年にアスベストの全ての製造及び使用を禁止した。 フランスにおけるアスベスト曝露被災者の社会的運動は、1990年代のアスベスト政策の展開に重要な役割を果たした。実際、アスベスト被災者擁護全国会(ANDEVA)は、25以上の地方または地域の不ループの活動をコーディネートしている。アスベスト曝露被災者たちは、1995年以前にはアスベスト関連疾病の補償をほとんど受けていなかったが、それ以降、フランスは、アスベスト補償請求、民事裁判での裁決、最終的には雇用者の過失の認定に関し、目覚しい進展をみた。 本論文は、フランスにおける2つの地方の被災者団体の戦略を特にとりあげる。ひとつは、フランスのアスベスト被災者の正義のために20年以上も闘ってきた、もともとは女性からなる、最初の労働者団体である。彼女たちは、個人の補償についてのみならず、彼女たちが働いていた織物工場の最終的な雇用者に対して刑事訴訟を起こす手段もとりながら活動を続けてきた。もうひとつは、中皮腫で死亡したあるひとりの被災者の家族が主導者となって、汚染された場所の責任ある管理を求めて集団で闘った歴史である。 |