2004年11月19日(金) 13:30 - 16:00, 井深大記念ホール 全体会議セッション2 環境曝露・危機管理・リスクコミュニケーション 座長: マリ・クリスチーヌ、大島寿美子 ロバート・ジョーンズ ローデス大学環境科学学部[南アフリカ] 南アフリカでは、1893年から2001年までアスベスト採鉱が行われ、その結果、国土の広い範囲が永久的に危険な状態になった。合計で数千平方キロメートルに及ぶ地域が、現在、かつてのアスベスト鉱山操業の直接の帰結としての、管理が不適切であったアスベスト廃棄物によって、ひどく環境が汚染されている。先進国においてすら、アスベスト繊維で汚染された地域での、土壌浄化の許容できるレベルをいかに決定するかに関して、かなりの混乱がある。人間の健康を守るために、明確な土壌改善基準が必要である。このことは、土壌中の残留アスベスト濃度と浮遊繊維との関係が明確になされて初めて決定することができる。 本論文は、リスクに基づいた改善行動戦略(RCBA)が、安全かつ持続可能な復元のレベルをつくるために必要であることを提案する。さらに、現状のやり方とは違って、復元作業は、元鉱山の操業の跡地だけではなく、鉱山からの管理されないアスベスト繊維の飛散や鉱山廃棄物の不適切な投棄が汚染の原因であると報告される周辺地域にまで拡大されるべきである。浄化戦略は、公共の場、住居、庭、歩道、遊び場、学校、道路などの、曝露を最も招きやすそうな場所を目標にすべきである。最新の文献は、南アフリカにおけるアスベスト土壌汚染の復元(のための)しきい値は、とりわけ人間に曝露の危険を及ぼす地域では、数桁引き下げられるべきであることを示唆している。しかし、最も必要とされることは、総合的な評価と浄化戦略、及びそれを実施するための資金確保である。土壌浄化のしきい値を引き下げることで、疑いなく数百、おそらくは数千の場所が、現在のリストに加えられることになるだろう。南アフリカ政府が鉱山会社によって放置された汚染を浄化する責任を受け入れたので、その作業はまさに今着手されたところである。 |