2004年11月19日(金) 13:30 - 16:00, 井深大記念ホール 全体会議セッション2 環境曝露・危機管理・リスクコミュニケーション 座長: マリ・クリスチーヌ、大島寿美子 寺園淳1、酒井伸一1、高月紘2 1 独立行政法人 国立環境研究所[日本] 2 京都大学[日本] 1995年に生じた阪神・淡路大震災では、地震発生後に被災地の広範囲で一般環境大気中のアスベスト濃度が上昇した。この原因を探るために、被災した建築物の解体に伴うアスベスト飛散について、実測を含めて実態を調査し、拡散モデルを用いて飛散の影響を検討した。 まず、自治体の協力を得て吹付けアスベスト使用状況を詳細に調査し、S造建造物での多くの使用事例や吹付けアスベスト原則禁止後も使用されていた事例などを明らかにした。また、一般環境濃度上昇の原因として、吹付けアスベストの除去、除去後の解体、ならびに非除去解体の現場におけるアスベスト飛散をそれぞれ調べたが、周囲に最も飛散し影響が懸念されたのは非除去解体であった。 更に、被災地の推定アスベスト蓄積量および飛散量から、プルーム・パフモデルを用いて、環境庁モニタリングの各測定点におけるアスベスト濃度上昇の寄与を試算した。その結果、アスベスト濃度の試算値と実測値の間には弱い正の相関関係がみられ、試算から実測値のオーダーをほぼ説明できることが示唆されたとともに、アスベスト飛散現場から周辺環境への濃度推定に役立つ情報が提供された。最後に、非除去解体によるアスベストの飛散を避けるために、法規制とともに除去費用の負担軽減措置などの必要性を示す。 |