2004年11月19日(金) 09:50 - 12:30, 井深大記念ホール 全体会議セッション1 アスベストの地球的健康影響:緊急の行動の必要性 座長:小木和孝、ローリー・カザンアレン 村山武彦 早稲田大学理工学部 アスベストは過去に広く使用され、社会に浸透した経緯がある。現在でも過去に使用したものが残存しており、今後の処理法によっては今後も汚染機会が生じる可能性は否定できない。さらに、長い潜伏期間があることから、今後リスクの増加が懸念される。実際、アスベスト固有の疾病である中皮腫は増加傾向にあり、今後のリスクを定量的に予測することは一つの課題となってきた。 これまで実施されてきた予測手法では、疫学調査に基づく高濃度曝露における量−反応関係からリスクを推定することが多かった。しかし、中皮腫の死亡データが蓄積されてきたことから、過去の死亡数の推移に基づく将来予測を行った事例もみられるようになっている。 そこで、本報告ではアスベストによるリスクの将来予測を行った結果を紹介する。過去のトレンドから推定される結果によれば、男性の中皮腫に限っても2000年から40年間に約10万人が罹患すると推定される。また、典型的な一般環境中のアスベスト濃度を前提とすると、職業性や特殊な環境による曝露以外で発生する中皮腫は、全体の1割程度であると考えられる。 |