2004年11月19日(金) 09:50 - 12:30, 井深大記念ホール 全体会議セッション1 アスベストの地球的健康影響:緊急の行動の必要性 座長:小木和孝、ローリー・カザンアレン ソムキャット・スリルタンナプラク タイ政府公衆衛生省労働衛生部[タイ] 抄録: タイでは、30年以上にわたってアスベストが輸入されてきた。国内にはアスベスト鉱山が存在しないため、ロシア、カナダ、ブラジルなど数か国から、アスベスト製品を製造する目的で輸入されているだけである。現在、クリソタイルとアモサイトのみが使用を許されている。タイ税関の資料によれば、原料アスベストの輸入量は、1987年の90,700トンから、2002年には181,348トン(5,400万米ドル相当)に増加した。そのほとんど(90%)は、セメント製品、すなわち屋根用タイルやセメント・パイプの製造に使われている。2004年には、1,900人の労働者を有する16のアスベスト使用工場が、工業省産業労働部(Department of Industrial Work)に登録されている。これらの企業のほとんど(16のうち13)が、タイ中央部にある。2000年以降、環境モニタリングが定期的に行われている。そのデータによれば、測定された試料のほとんどが、基準値(2繊維/cc)を超えていた。 タイではこれまで、労災補償基金(Workmen's compensation fund)に、石綿肺また他のアスベスト関連疾患が報告されたことは一度もない。しかし、ごくわずかの胸膜肥厚の事例(701件中13件)が、1件の研究で報告されている。2003年に行われた最新の調査では、ハイリスク労働者の29%(140人中41人)に胸部レントゲン検査で異常所見がみられた。石綿肺または他のアスベスト関連疾患が報告または発見されたことは一度もないが、これらの疾患の予防と抑制は非常に重要である。現在、少なくとも3つの政府機関(工業省、労働省、公衆衛生省)が、アスベストの管理において主要な役割を有している。これらの政府機関は、リスクの高い集団のアスベスト曝露を低減するために、協力してアスベストの管理措置を設定し、発展させていかなければならない。 |