2004年11月19日(金) 09:50 - 12:30, 井深大記念ホール 全体会議セッション1 アスベストの地球的健康影響:緊急の行動の必要性 座長:小木和孝、ローリー・カザンアレン ノア・ジーハン1, アーシャド・アーマッド2、シド・ハミドゥラ2 1ペシャワール大学環境科学部[パキスタン] 2ペシャワール大学地質学NCE[パキスタン] 抄録: アスベストが多種多様に使用されているために、環境的、職業的、及び傍職業的なアスベスト粉じん曝露の源が存在することは、世界中で、とりわけアジアでの今日の生活における共通の現象である。パキスタンでは、吸入される可能性のあるアスベスト粉じんの原因である数千の発生源があるが、それらには採掘、老朽船の解撤、精製、ふるい分け、粉砕、研削、そして製造部門及び機能特性に基づく様々な製品の取り扱いが含まれる。空気中の浮遊アスベスト繊維への曝露は、職業的及び傍職業的呼吸器疾患の分野において、大きな関心事であり続けている。この致死的なアスベスト繊維について、広範囲に及ぶ研究が行われ、健康に対する悪影響についてよく知られているのにもかかわらず、今なおパキスタン政府の環境保護局や保健局によって、十分に認識され、管理されているとはいえない。 本論文において著者らは、大気中のアスベスト粉じんがパキスタンの職業的及び傍職業的グループに及ぼす、定量的及び定性的な健康へのハザーズとリスクの程度を示す。様々な性質のサンプルが収集され、偏光顕微鏡、走査型電子顕微鏡及びX線回析技術を用いて、パキスタンの異なる場所における屋内及び屋外の大気中に存在するアスベスト繊維のタイプ、濃度及びサイズを確認するために、分析が行われた。分析データは、アスベスト繊維の濃度が、全てのサンプルにおいて、許容曝露限界の数百倍であることを明らかにしている。それとは別に、数百人にもわたるアスベスト採鉱や産業労働者や、それぞれの調査単位の近郊に住む女性や子どもたちがインタビューを受け、アスベストと健康への影響の関連性を確認するためのフォローアップ調査も実施された。様々な肺の病気にかかっている患者のほとんど90%が、大気中のアスベスト繊維に、人生のどこかで、ある時に曝露していたことが分かった。 キーワード:アスベスト、肺疾病、職業的及び傍職業的健康 |