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全体会議セッション1
2004年11月19日(金)
09:50 - 12:30, 井深大記念ホール

全体会議セッション1
アスベストの地球的健康影響:緊急の行動の必要性
座長:小木和孝、ローリー・カザンアレン

韓国のアスベストに対する戦略
ペク・トンミョン(白道明)
ソウル大学保健大学院産業保健学[韓国]

抄録:

 韓国における人口一人当たり年間アスベスト消費量は、1992年に2.2kg/人・年であった。これは2001年には0.5kg/人/年に減少したが、なお他の多くの開発途上諸国よりも高い水準にある。1960代後半以降、アスベストが広く使用されるようになってから30年後、1993年に、19年間働いた後に中皮腫と診断されたアスベスト織物労働者の事例が、アスベストにに関連した健康影響の初めてのケースとして認定された。その後、数件の肺がんが、アスベスト曝露による補償事例として報告されている。これらの事例の注目すべき特徴のひとつは、そのほとんどが、アスベスト鉱山やアスベスト(製品)製造ではなく、アスベスト(製品)の使用により曝露したことである。働いていた職場におけるアスベスト曝露状況(濃度)がかつて測定されたことがある者は、ごくわずかであり、将来のアスベスト疾患発生の可能性に関しては予想がつかない。
 本論文では、韓国において持続するであろうアスベスト問題を戦略的アプローチで扱うなかで、技術的、管理的及び社会文化的介入ポイントという、3つの可能性のある介入ポイントを提案する。この戦略において、最も重要な根本的原則は、データの収集と評価、意思決定のプロセスにおいて、意見表明や参加の機会を与えることによって、当事者や関係者のエンパワーメントを可能にするということである。韓国では、これまでこうした戦略はわずかしか実行されてこなかった。従来の戦略のほとんどは、公式の作業環境測定や職場健康診断プログラム(のデータ)の利用を含んだもので、意味のある結果をもたらさないことも少なくなかった。関係者の要求に基づいて上記のようなプログラムが用いられた場合にのみ、問題を確認することができるだろう。
 韓国では、アスベストがなお使用されており、アスベスト禁止に関する議論はなされていない。韓国におけるアスベストの最終的禁止に向けた課題のひとつは、声なき被災者たちに、自らの物語を語れるようにすることであろう。