2004年11月19日(金) 09:50 - 12:30, 井深大記念ホール 全体会議セッション1 アスベストの地球的健康影響:緊急の行動の必要性 座長:小木和孝、ローリー・カザンアレン バリー・キャッスルマン 環境コンサルタント[アメリカ] 抄録: 1995年に世界貿易機関(WTO)が設立されたことにより、各国レベルでのアスベスト禁止が個別に問われるだけでなく、集合的に世界規模で議論する場が作りだされた。アスベスト繊維の世界屈指の輸出国であるカナダは、国レベルのアスベスト禁止がヨーロッパ中に広がり、アジアや南米諸国でも提案されるようになってきたことに対して、この"貿易の世界法廷"に提訴するリスクをとることを決心した。 世界貿易機関は、貿易が何よりも優先される場であることから、カナダにとって理想的な討論の場であるはずであったが、世紀の変わり目において、カナダや残されたアスベスト産業にとってかなりの危険を与えることでもあった。 公衆の健康(を守る)立場を完全に正当化し、アスベスト禁止は国際的な貿易協定に違反しないとしたWTOの裁定は、世界中のアスベスト禁止に向けた努力にとって青信号となり、いまや世界中いたるところで、ますます多くの国々がアスベストを禁止するようになっている。 本論文は、活動家、科学者、労働組合運動家、公衆衛生関係者たちが、国連組織を操作しようというアスベスト利害関係者による試みを打ち破った世界規模での闘いの分析である。シアトルからジュネーブへ、そして第三世界へと、それは、世界中の人々がひとつの仮想ネットワークに関わるようになり、また、現代のひとつのモデルたりうる、公衆衛生の闘いを描く叙事詩である。 |