☆大橋栄二の凧大図鑑☆
--- 小中学生のための凧学入門 ---
Q | なぜ「たこ」のことを「たこ」と呼ぶようになったのですか。 |
A | 凧は奈良時代の終わりか平安時代の初めごろに日本に伝わってきたといわれています。その頃は「いかのぼり」とか「いか」と呼ばれていました。 「いかのぼり」が日本各地に広がったとき、それぞれの土地によって独自に名前がつけられましたが、江戸では「都の人がこれをイカというなら我々はタコと呼ぼう」といってタコと名付けました。都が江戸に移ったため江戸ことばだったタコが標準語になりました。今でも凧のことを「いか」「とんび」「てんばた」「はた」などと呼んでいるところがあります。 英語の「たこ」kiteは「とんび」という鳥の名前が語源です。ドイツ語は龍Drachen、フランス語はクワガタムシcerf-volant、スペイン語は彗星cometa、ポルトガル語はオウムpapagaio、ロシア語はヘビzumeiがそれぞれ「たこ」という意味を持っています。 |
Q | 「たこ」という字を中国語でどう書きますか。 |
A | 「たこ」のことを日本の文字で「凧」と書きます。これは日本で作られた字で国字といい、漢字ではありません。「風がまえ」と布という意味の「巾」を組み合わせてできています。中国では凧のことを「風箏」と書きます。 |
Q | 凧になぜしっぽをつけるのですか。 |
A | 凧にしっぽをつけるのは凧がクルクル回ったり、フラフラゆれたりしないようにするためです。しっぽに風が当たるとしっぽは凧をひっぱるので凧は動きにくくなります。 しっぽの材料としては、つるつるしたものよりシワのついた風を受けやすいもの、うんと薄いものよりやや厚みのあるものの方が効果的です。 |
Q | 「おにようず」という名前のたこが伝わっているところはどこですか。 | |
A | 山口県萩市見島です。 「おにようず」の作り方と揚げ方は大橋栄二著「やさしい和凧 四国・中国・沖縄」の28ページに載っています。 |
Q | おにようずの「ようず」とはどういう意味ですか。 |
A | 山口県では凧のことを「ようず」と言いました。漢字では揚子とか鷂子と書き、中国から来た言葉のようです。 【鷂】はいたか わしたか科の猛禽(もうきん)。オオタカに似ているが、ずっと小さい。雌を「はいたか」、雄を「このり」と言う。鷹狩(たかがり)に使用した。 岩波国語辞典より |
Q | おにようずはどうして赤青黒の三色だけでかくのですか。 |
A | 京都のお寺では節分のとき、赤おに、青おに、黒おにの三つの色のおにが現れるそうです。仏教に「三毒」ということばがあり「むさぼり、いかり、まよい」のことで、これを赤青黒の三色で表すので豆をぶつけられ追われるおににこの色が使われているようです。おにようずに使われている色もこんな理由から決められたのかもしれません。(盛岡市月が丘小学校北条郁子先生の御指導をいただきました)
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Q | おにの絵のたこを教えてください。 | ||
A | 静岡県長泉 芹沢信吾 長泉角凧 羅生門 |
福岡県戸畑区 竹内義博 青鬼凧 |
長崎県壱岐 土肥寛次 鬼凧 |
Q | 日本各地に伝わるその土地独特の凧には、どんなものがありますか。 |
A | 当サイトの各ページをご覧ください。 |
Q | 「一文てんばた」という凧には「一文天狗旗」と書かれています。天狗旗をなぜ「てんばた」と読むのですか。 | |
A | この凧の名前を漢字では「一文天狗旗」と書きますので、小学生向きに易しく書くと「一文てんぐばた」となります。しかし、東北地方では凧のことを一般に「てんばた」と呼んでいますので、この凧についても普通「一文てんばた」と言います。「てんばた」とは「天旗」と書き「天狗の旗」という意味です。この質問の答えとしてはどちらも正しいですが、このホームページや私の著書、市販の凧の本などでは「一文てんばた」となっています。 「一文てんばた」の作り方と揚げ方は大橋栄二著「やさしい和凧 北海道・東北」の76ページに載っています。 |
Q | 「一文てんぐばた」にはなぜ天狗の絵をかくのですか。 |
A | この凧が作られている宮城県白石市の鎌先温泉には裏山に天狗が住むといわれていて、その山を天狗山と呼んでいます。この地に伝わる民話によると、この天狗たちは相撲が好きで月夜になると相撲を取ったそうです。翌朝になると天狗山の麓の高い木の枝先に天狗が相撲を取ったときに使った力紙がひっかかっていて、地元の人たちは、この紙を拾うと幸運が来るからと大事に家に飾ったり、この紙で凧を作る人もいました。そのとき凧に描く絵は天狗でした。白石は有名な白石紙の産地です。 |
Q | 「一文」とはどういう意味ですか。 |
A | 『文(もん)』は昔のお金の単位です。「一文(いちもん)」とはごく少額の金銭、わずかな金額ということです。『―文の得にもならない』や『一文無し』という言葉があります。「一文てんぐばた」とは一文で買えるくらい安い凧という意味ですが、天狗が相撲を取っているとき「一踏み ワッショイ」というかけ声が聞こえたので、この「ひとふみ」と「一文」を掛け言葉にしているともいわれています。 |
Q | 「一文てんぐばた」以外に、てんぐの絵のたこはありますか。 | ||
A | 青森県藤崎 佐藤とく子 津軽凧 大天狗と牛若丸 |
山形県山形市 阿部太彦 花泉凧 牛若丸と天狗 |
静岡県浜松市 大隅正寛 浜松凧 天狗 |
Q | てんぐの絵のたこに、牛若丸がいっしょにかかれているのはなぜですか。 | ||
A | 鞍馬山に住む大天狗が、牛若丸に武術を教えたという昔話があるからです。 |
Q | 大だこあげの行事があるのはどこですか。 | ||
A | 神奈川県の相模原市、埼玉県庄和町、愛媛県五十崎(いかざき)町、静岡県浜松市、滋賀県八日市市、新潟県白根市などです。 | ||
相模原の大だこあげ |
庄和町の大だこあげ |
五十崎の大だこあげ | |
浜松の大だこあげ |
八日市の大だこあげ |
白根の大だこあげ |
Q | 『いさましい武者の絵のたこ』と『金太郎とこいの絵のたこ』の名前を教えてください。 | |
A | 六角凧 源義経 |
上総凧(かずさだこ) 上総凧は、袖凧(そでだこ)とか 長南とんびともいいます。 |
六角凧の作り方と揚げ方は大橋栄二著「やさしい和凧 関東・信越・北陸」の86ページに載っています。 上総凧の作り方と揚げ方は大橋栄二著「やさしい和凧 関東・信越・北陸」の44ページに載っています。 |
Q | 子どものすこやかな成長をねがうたこで、いさましい武者や、こい、りゅう、金太郎、もも太郎などをえがいたものを見せてください。 | ||
A | 津軽凧 源為朝 |
南部凧 牛若丸と弁慶 |
湯沢凧 源頼光 |
江戸角凧 川中島 |
ぶか凧 こい |
花泉凧 加藤清正 | |
江戸角凧 りゅう |
ばらもん凧 りゅう |
江戸角凧 こいと金太郎 | |
能代凧 金太郎 | 南部のりみつ凧 金太郎 |
南部金太郎凧 | |
相良凧 こいと金太郎 |
駿河凧 こいと金太郎 |
村松いか もも太郎 | |
播州角凧 もも太郎 |
津軽凧 もも太郎 |
駿河凧 もも太郎 |
Q | 凧はどんな願いをこめて作られますか。 |
A | 長寿の願い つるやかめを描く。 | ||
山形県酒田市 酒田子ども凧 |
山形県酒田市 酒田子ども凧 |
千葉県本納 上総凧 | |
東京都 江戸角凧 |
静岡県森 ぶか凧 |
静岡県相良 相良凧 |
A | 金運・開運・商売繁昌・家運隆盛などの願い 恵比須・大黒や鯛、宝船の絵や寿の字を描く。 | |||
東京都 江戸角凧 |
静岡県相良 相良凧 |
兵庫県明石 播州角凧 |
香川県坂出 人形いか |
A | 地元の名物や特産品・伝統芸能などの自慢やPR | |||
北海道函館 いかのぼり |
大阪府 文楽凧 |
兵庫県明石 明石凧 |
山口県下関 フグ凧 |
A | 空を飛びたいという願い | ||
東京都六郷 六郷とんび凧 |
神奈川県伊勢原 アブ凧 |
香川県高松 セミ凧 | |
埼玉県鴻巣 セミ凧 |
愛知県安城 ハチ凧 |
愛知県安城 チョウ凧 |