第6章 神経症2:パニック障害
【プロローグ】
(ここでのケースはフィクションです)
Eさんは30代半ばの既婚の男性で銀行に勤めていました。1年ほど前に合併があり、Eさんの職場は上司もかわり仕事の仕方もずいぶん変わりました。Eさんは新しい仕事の仕方に慣れなさを感じながら、しかし職場の中では若い人たちを指導しなくてはならない中堅どころの立場もあり、いまさらよく分かっていない問題について誰に聞くこともできず、どこかやりづらい状態でずっと続けていました。合併に伴う職場の人減らしのせいで、一人あたりの仕事量も増え、残業が続き土日も出勤しなくてはならない日がずっと続きました。さらに、Eさんには家庭内でも問題がありました。よくある嫁姑問題と言えばそれまでなのですが、Eさんの妻の子育て方針に対してEさんの母親はもっとこうすべきだということをEさんの妻に言うことが多く、Eさんの妻は表面的には合わせているものの、イライラしてしまったり、時にはEさんに対して明らかに不機嫌な態度で接するようになってきていたのでした。Eさんも問題だとは思いながら、しかし母親の気持ちも分かるし妻の気持ちも分かるので、どうにもできずにいたのでした。
そうしてたある日の朝の通勤電車の中で、信号待ちのために電車が数分間止まったことがありました。こんなことはこれまでに何度もありましたし、いつもだったら何ということでなかったはずの出来事でした。しかしその日の朝は、満員電車の中でEさんはどこにも逃げ場所がない、閉じ込められている不安を急激に感じました。すると急激に息苦しい感じになり、心臓がドキドキしてきました。このまま倒れてしまうか、死んでしまうのではないかという強烈な恐怖におそわれたのです。Eさんは倒れる寸前かと思いましたが、何とか電車が動き出し、次の駅で飛び降りるように電車から出ると少し楽になりました。
しかし次の日から電車に乗ることがとても不安になりました。またあのような状態になってしまうのではないか? そう考えるだけでドキドキして呼吸も苦しい感じになりました。 Eさんはいつもの満員電車の急行に乗ることができなくなり、時間をずいぶん早めて比較的すいている各駅停車で通勤するようになりました。それでも途中で息苦しい感じで不安になることがあり、そんなときは次の駅で一旦電車を降りなくてはいけないこともありました。
電車だけでなく、閉じ込められた感じになる場所・すぐに逃げ出せないような状況すべてが苦手になってきました。高速道路で渋滞していると耐えられなくなるため、高速道路を使った遠出も避けるようになりました。映画館や地下街も避けました。
それでも通勤電車の苦痛は毎日続きました。不安のために途中下車してしまうため、遅刻をすることもしばしばあり、このままではいけない・・・とEさんも思うようになってきました。
【パニック障害とはどんな疾患か?】
「パニック」と呼ばれる強烈で突発的な不安の発作は、実は「パニック障害」に特有なものではなく、事実いわゆる健常者でもしばしば経験することはあるようです。しかし、時々起こるこの不安発作をひどく恐れ、それを回避するために日常生活に支障がでるようになってしまうことが「パニック障害」の大きな特徴です。つまり、不安になる事への過度な不安です。患者が恐れる「不安」は典型的にはいわゆる「不安発作」であり、「このまま死んでしまうのではないか」とか「このまま倒れてしまうのではないか」といった強烈な不安に加えて、呼吸が苦しいような気がする、心臓がドキドキしてくる、といった自律神経的な「不安」の症状随伴します。パニック障害において、随伴する自律神経症状にはしばしばさらに不安を悪化させる一種の悪循環的な要素があります。つまり不安の身体への表れとして呼吸があらく苦しい感じになったり、心臓がドキドキするのですが、今度はそれがさらに「身体がおかしくなってしまうのではないか」という不安を強めてしまうのです。実際に、息苦しさや心臓のドキドキ感が不安によって引き起こされなくても、例えば運動によって(当たり前の反応として)呼吸が速くなったり心臓がドキドキするだけでもパニック障害の患者さんの中には不安発作が誘発されてしまう人がいるくらいです。
パニック障害で恐れられている不安には、「死んでしまうのではないか」、「倒れてしまうのではないか」というもの以外にも、「(何らかの意味で)自分のコントロールを失ってしまうのではないか」という不安があることもあります。例えば、思考のコントロールを失い「気が狂ってしまうのではないか」という不安であったり、排便・排尿のコントロールを失い失禁してしまうのではないか、我慢できなくなってしまうのではないか、という不安であったり、吐いてしまうのではないかという不安であったりします。
いずれにしろ、パニック障害の患者さんは、こうした「不安になることへの不安」のために、不安になったときにコントロール不能な状況に入ってしまうことを極度に恐れることになることがしばしばです。具体的には不安になったときに自由に逃げ出せない場所や状況に入ることを極端に嫌がるようになり、急行電車など一度乗ったらなかなか降りられない交通機関に乗ることを避けることがあります。急行電車の他にも、飛行機、映画館や地下街、美容院、エレベータ、などいろいろな「閉所」が恐怖されるようになります。(こうした症状は「広場恐怖agoraphobia」と呼ばれます)こうして不安が起こったときにコントロール不能になる場所や状況を避けることによって不安を軽減させておくことはできるのですが、同時にこのような回避行動を続けている限り不安の本当の意味での克服はずっと先延ばしにされることにもなってしまいます。これが回避行動の問題点です。
回避行動には、このように不安になる場所や状況を直接的な意味で避けるということの他にも、不安を緩和してくれる誰かや何かを一緒に連れて行く、という形で出ることもあります。良くあるのが友人や配偶者と一緒であれば外出できるのだけれど、一人では外出できない、というものです。あるいは「お守り代わり」に抗不安薬を内服していけば電車に乗れるのだけれど、それがないと不安で乗れなくなるというものです。「人」と「薬」では全然違うようにも見えますが、それがないと不安でありなかなか手放せなくなってしまうという意味において極めて似ています。
パニック障害はそのなりやすさにやや体質的要因が関連しているだろうと見られています。一般に、パニック障害になりやすい人は身体の中のささいな変化に対して、それが実際にはそれほど危険なものではなくても不安反応を起こしやすいと考えられています。
パニック障害は男性よりもやや女性に多い傾向があります。それほど珍しい疾患ではなく生涯有病率(人が一生の間にかかってしまう可能性)はだいたい1~数%とみられています。うつ病に比べて若干治療期間はかかってしまうことが多く、また再発も少なくないという点で若干やっかいな疾患ではあります。
【パニック障害に対する有効な心理療法】
パニック障害に対して明らかな有効性を示しているのは曝露療法を主体にした(ここに認知の修正やリラクセーション法などを組み合わせた)認知行動療法と、短期力動的精神療法(パニック障害を対象とした精神力動的精神療法panic−focused psychodynamic psychotherapy)です。これら2つの治療は理論背景が違うだけでなく、治療内容も全く違ったものであるのにともに効果があるというのがおもしろいところではあります。
認知行動療法の考え方は、他の不安障害に対する治療の考え方と基本的に同じです。つまり、パニック障害では本来であったらそれほど不安にならなくて良いはずの無害な身体反応(ちょっと脈拍が早くなったり、震えを生じたり、息苦しい感じがしてしまうなどのマイナーな不安・緊張反応)に対して異常に不安を関連づけてしまっているので、曝露療法を繰り返すことによって不安反応を「消去」していこうとするものです。基本的にはパニック障害についての教育をまずは行い、パニック発作は本来的に危険なものではなく、放っておけばたいていの不安は次第に過ぎ去っていくだけのものであることを、まずは頭で理解してもらいます。パニック障害では、しばしば随伴する回避行動によって、パニック発作を起こす事への不安が維持されてしまっていると考えるので、不安を引き起こす状況にあえて身を置き、そして実際に不安は高まってくるけれども、破局的に不安なものになるわけでもなく、放っておいても次第に過ぎ去っていくものであることを体験してもらいます。曝露療法の基本は、少し背伸びをすれば届く目標から段階的に行っていくこと、ですからパニック障害における曝露療法も同様に行います。例えば、多くの人では急行電車のように一度走り出したらなかなか止まらない電車に乗ることよりも、各駅停車に乗ることの方がハードルが低いですから、まずはこちらからトライし、十分にマスターしたらよりハードルの高いものへと進んでいくわけです。
曝露療法はこのように不安を引き起こす場所や状況に曝露することだけではありません。パニック障害においては、しばしば特定の身体感覚が不安を引き起こすことがあるため、あえてわざとそのような身体感覚を生じさせ不安を引き起こしつつ、しかし圧倒されるわけではない体験を繰り返すこともあり得ます。例えば、運動をすると人は誰でも息が上がりますし心臓がドキドキするものです。しかしパニック障害の患者さんの中には、こうした感覚に強い不安を関連づけてしまっている人が少なくありません。この場合、単純に少し走るなどの運動をしてもらい、呼吸が上がったり心臓がドキドキして少し不安になるけれども、放っておいてもそうした症状自体は無害であるし不安もそのうちひいていくものであることを体験的に知ってもらうことも有益であることがあります。
このような曝露療法を中心とした認知行動療法は単純なリラクセーション法などに比較して明らかに治療効果が高いことが、これまでのいくつもの研究により証明されています。
多くの場合、認知行動療法と薬物療法(抗うつ薬を中心としたもの)は組み合わせることができます。実際、うつ病に対する治療がそうであるように、認知行動療法あるいは薬物療法を単独で行うよりも、組み合わせ療法とした方が治療成績が良くなる傾向があることも示されています。
ただし、ベンゾジアゼピン系抗不安薬についてはやや注意が必要です。これまでに行われたいくつもの研究の結果、抗うつ薬に比較してベンゾジアゼピン系抗不安薬は治療成績が悪いことが示唆されています。さらに曝露療法を中心とした認知行動療法の治療効果はベンゾジアゼピン系抗不安薬を併用すると下がってしまうことさえ示唆されているのです。これは、おそらくはベンゾジアゼピン系抗不安薬は極めて容易に不安に対する回避行動の一種として使われてしまうことがあるために、併用しながら認知行動療法を行うことは回避行動を行いながら曝露療法を行うことになってしまい、治療の理屈上も矛盾があることになるからでしょう。さらにベンゾジアゼピン系抗不安薬には極めて強い依存性があるため、パニック障害に対して安易に無計画にベンゾジアゼピン系抗不安薬を使用することはあまりお勧めできません。
いずれにしろ、こうした曝露療法中心のやり方で約7~8割が症状が治癒するか(いわゆる「完治」することはなくても)相当に良い状態になれることが期待できます。
不安障害に対する認知行動療法について一般的に言えるように、パニック障害に対しても、不安を引き起こしている状況や場面にあえて身を置き不安を体験するようにしながら克服していく、いわゆる学習理論でいうところの「消去」の方法を使ったものが治療の中心になるわけです。この意味で、治療にはある程度の不安とその克服への努力が必要になってきます。ちなみに、パニック障害に対する曝露療法の方法が確立される前は、もともと強い不安があるパニック障害の患者さんを不安な状況に置くことなど辛すぎて逆に治療効果が上がらないだろうと思われていました。そこで最初の頃は実際に恐れている状況に身を置くのではなく、想像上で不安状況に身を置きつつリラクセーション法を行うやり方が勧められていたこともありました。しかし、その後の研究で、こうした「手ぬるい」やり方では不安症状の克服ができず、ほとんど治療効果が上がらないことが示されたのです。不安障害の治療においては、楽なやり方はないということなのでしょう。
パニック障害に対する認知行動療法は、パニック障害の背景にある生活上のストレスや対人関係葛藤などの問題は考えないようにしています。むしろ、単純に「不安になることを不安になる問題」として曝露療法を中心とした治療を行い不安反応の「消去」を促すという、言ってみれば非常に単純明快な考え方です。
しかし、実際の臨床の中でパニック障害の患者さんと会うと、非常にしばしばパニック発作が起こる背景に心理的・対人関係的ストレスがあることがあります。こうしたストレスに日常的に圧迫され続けていることが要因となり、最終的にパニック発作という症状を生じてしまっているのではないかと見られることは少なくありません。
では、パニック発作や発作を起こすことに対する不安という症状を直接的な治療対象とするのではなく、その背景にある心理的なストレスを解消・解決していくことも治療になるのではないか?と考えることもできるでしょう。実際に、パニック障害に対する認知療法の研究で、認知療法と比較するための「対照群」として、患者の話をただただ「カウンセリング」的に受動的・受容的に聞き続けるだけの治療を行ったところ、驚いたことに、認知療法と比較して遜色のない治療効果が得られてしまったという研究さえ出てきました。
さらに古くからある短期力動的精神療法をパニック障害を対象に用いたもの(「パニック障害を対象とした精神力動的精神療法」)によって、リラクセーション法に比較して有意に効果的な治療となることも示されています。(ただ、残念なことにパニック障害に対する曝露療法を中心とした認知行動療法と比較した研究はまだ出ていないようです。)
不安に対する「治療」としての抗不安薬の功罪
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は別名「マイナー・トランキライザー」と呼ばれており、「マイナー」という名前の雰囲気が誤解を招くらしく、しばしば内科医などによって無計画に処方されることが多い向精神薬の1つです。しかし、抗不安薬には不安を非特異的にブロックしてしまう強力な作用があるために、上記の議論でもあるように、本当の意味での不安の克服の妨げになり、最終的には病気の治療を遅らせてしまうことにもなりかねない問題を持っています。
本文で紹介した「抗不安薬を併用すると、かえって行動療法の治療効果が下がってしまう」という衝撃的な研究報告をしたのはMarks Iでした。彼はその研究を抗不安薬を販売している製薬会社をスポンサーにつけて行ったのですが、その結果が抗不安薬にとって不利なものになってしまったので、スポンサーである製薬会社の方が彼の研究結果に注文をつけたことがあったようです。彼はそのことをひどく怒り、スポンサーが研究に介入しようとしたことを、その後あちこちで非難するようになり、結果かえってその製薬会社のイメージが悪くなってしまった・・・というエピソードもあったようです。
【エピローグ】
Eさんは思い切って精神科・心療内科のクリニックに行ってみました。 医師はEさんはいわゆる「パニック障害」であろうと言い、抗うつ薬の一種を処方しました。 医師が言うには、こうした抗うつ薬はパニック発作の予防効果があり、こうして発作を予防しつつEさんがしているような回避行動を徐々にやめていき、もとの生活を取り戻すことが治療の目標になるとのことでした。 医師は同時に、それでも不安発作が起ってしまった時のために頓服として不安時に使用する抗不安薬も出しました。 「ただし・・・」と医師が言うには、あまりそれに頼ってしまうと精神的な依存性が生じてしまい、その薬を飲んでいないと不安という心理状態になってしまうことが少なくないことから、あまり安易に使わないように、とのことでした。
Eさんの症状は、確かにその後2週間程度でどんどん良くなっていきました。またパニック発作が起るのではないか?という不安は常につきまといましたが、本当の意味での強烈な不安発作は起らなくなっていました。Eさんは医師に勧められて、まずは各駅停車の電車から不安のために降りてしまうことがないようにしました。避けていた映画館や地下街にもわざわざ行ってみるようにしました。時々不安に襲われそうになり過呼吸になりそうになることがありましたが、あらかじめ教えられ練習してきたように、心の中でゆっくり「リーラーックス・・・」とつぶやきながらゆっくり息を吐きだし2つ数えてから息を吸いはじめるという呼吸法を行ったりして、何とかしのぐことができました。こうして不安をしのいでいると、確かに医師が言うように、不安は一旦は高まるものの、どこかでピークに達して、それほど強い不安にはならずに下がっていくものなのだ、と分かってきました。Eさんは少しずつ難度をあげて不安な状況にチャレンジするようになり、最終的には混んでいる急行電車に乗って会社に行くことができるようになりました。
しかし、医師はパニック障害は再発率が高いために、もう半年間ほどは抗うつ薬を使った方が良いだろうと言いました。Eさんは、医師の言うことはもっともかもしれないと思い、従うことにしましたが、途中で仕事がまたまた忙しくなり、いつしか通院も途絶えてしまいました。それでも特に症状が再発するようでもなかったため、Eさんはこれで治ったのだろうと思い普通に忙しい生活を続けていました。
しかし、それから約半年後、Eさんは再び強いパニック発作を繰り返すようになりました。以前の不安発作の時にはほとんど使わなかった頓服の抗不安薬を使うようになり、またしても急行電車に乗ることが怖くなってきました。抗不安薬はすぐになくなってしまったので、会社の医務室で似たような抗不安薬を出してもらい、電車に乗る前に飲まないと電車に乗れないようになってしまいました。
仕方なく、Eさんは再びクリニックに行くことにしました。医師はパニック障害の再発であろうと言い、再び抗うつ薬を処方しました。しかし、Eさんはこう繰り返すようでは嫌なので、何かもっと根本的な治療はないだろうか?と医師に相談しました。医師はEさんのパニック障害という症状の背景には、どうも何らかの心理的なストレスがあり、何らかの意味で無理をしてしまっていることがあるのかもしれない、と言い、もしEさんが希望するのであれば倫理療法を併用しても良いだろうと伝えました。Eさんとしては、毎週毎週休みの日にわざわざカウンセリングに通うのは大変だなと思いましたが、しかし何度も再発するのは嫌だとも思いました。結局、臨床心理士との週1回50分の心理療法を始めることにしました。
心理療法の中では、前回の治療と同様に、Eさんが徐々に不安に感じる状況に入っていくように勧められました。この頃には抗不安薬を「お守り」のように持っていることはEさんにとって重要な回避行動になっていましたから、これも徐々にやめていくことになりました。それと同時に、Eさんの対人関係のあり方について、もっと詳細に話し合うことがなされました。Eさんは、職場でも家庭でも、争い事を避けたいあまりに、本来であったらすべき自己主張をせずに、相手の意向に合わせてばかりいること、いろいろな矛盾や不都合を自分だけで抱え込もうとしてしまうこと、しかしその一方でそのことに強い不満や怒りの感情さえ密かに持ってしまっていることに気づいていきました。こうした対人関係の問題に心理士と一緒にしっかり向き合い、より無理のない自然な形に治していく努力を続けました。会社での部下との関係でも、家庭での妻や母親との関係でも、以前よりも無理のない、より本音でのコミュニケーションをとることができるようになってきました。Eさんにとっては意外なことに、そうすることで別に争い事が増えることにはならず、むしろより親しみと信頼感のある関係になれてきた気がしました。
パニック発作も、それを恐れてしまうことも、もうなくなっていました。Eさんは1年ほど通った後で治療を終了にしました。その後は不安発作はなく過ごしています。
参考書(専門家向け)
(1) Barlow DH, et al. "Anxiety and Its Disorders" Guilford Press (2002)
(2) Milrod B, et al. "Manual of Panic-Focused Psychodynamic Psychotherapy" American Psychiatric Press (1997)