back トラコン:めりやす 
かやのソナタ
懐の痛くない募金 懐の痛くない募金2

2017-03-01
「パパ、しりとりしよう!」
「おおいいぞ」
「じゃあ、しりとりの、り!」
「リンゴ」
「ゴリラ!」
「楽園でアダムが食べた果実」
「それなに?」
「つまりリンゴだな」
「リンゴは言ったじゃん」
「直接にリンゴとは言ってないから大丈夫」
「わかった。じゃあ『果実』ね。つ…つくし!」
「シードルの原料となる果物」
「それなに?」
「リンゴのことだがリンゴとは言ってない」
「じゃあ果物ね。の…農家!」
「カルヴァドスを作るのに使うフルーツ」
「それは…」
「リンゴだがリンゴじゃない」
「じゃあ、また『つ』か。つ…積み木!」
「木から落ちる瞬間をニュートンに発見された実」
「それ…」
「リンゴ」
「じゃあ、み…み…耳!」
「ミカンと一緒に算数の文章問題に使われることが多…
「もういいパパきらい」
「なぜっ?」
2015-12-08
「あなたの風邪は、どこから?」
「まず風邪の定義を教えてくれるかな。まあ仮に体の不具合と位置づけるとして、そもそも体の不具合なんてのはどこか一部が100%悪くなるわけじゃなくて相対的に見た結果のワーストな部分をピックアップしているわけでそう考えるといやまあそうかじゃあ人体をここで八角形と仮定してみようかちょっとメモ」
「しなくていいいめんどくさい理系めんどくさい」

「あなたの風邪は、どこから?」
「ふむ、その『どこから』というのは感染経路の始点という意味であるのか、はたまた体内での発症した部分を訊いているのか、よしんば後者だとして『〜から』と訊くからにはいきおい『〜まで』なる呼応関係が含まれていると想像するに難くなく、まずその認識を一致させないと互いに齟齬が生じついには軋轢となり」
「もういいめんどくさい文系めんどくさい」

「あなたの風邪は、どこから?」
「僕は、かなり上から」
「オリーブオイルの話はしてません」

「あなたの風邪は、どこから?」
「えー、わかんないやばーい。えーとー、ご想像にお任せしますにゃん♪」
「(頭か…)」

「あなたの風天神(かぜ)は…何冥界(どこ)から…?」
「おまえもかい」
2014-10-20
「一休よ、この屏風の虎なんだが、夜な夜な暴れ出すのでな、ぜひおまえに退治してほしいのだ」
「なるほど」
「どうだ、できるか?」
「店に持ってった方がいいんじゃないっすか?」
「Yahoo知恵袋かよおまえ。解決しようとする気を見せろよ少しでも」
「プロに任せましょうよ。あなた程度の腕ならね」
「だから知恵袋かよ。なんで一言多いんだよ」
「『やれやれwww 屏風おっさん逆ギレとかwww』」
「ツイートすんな会話中にツイートすんな屏風おっさんって誰だやめろ」
「だいたい屏風の虎って退治できるんっすか?」
「いや、だからなんて言うの、そこはおまえのなんか、とんちみたいな」
「物理的に無理なことを強要するってパワハラですけど」
「いやいやそういうギスギスしたやつじゃなくてさー」
「パワハラですけど?」
「語尾を上げんな鬱陶しい」
「パワハラですけど何か?」
「やめろそれどうも腹立つ」
「パワハラですけどwwwwwwwwwwwwww」
「リソースの無駄だやめろ。一個付けりゃわかる」
「カワハラですけどwwwwwwwwwwwwww」
「誰だよ!」
「ピンポーン」
「はーい」
「カワハラですけどwwwwwwwwwwwwww」
「だから誰だよ!」
2014-06-13
「あの、サッカーのリフティングで、首の後ろにボールを乗せるやつありますよね」
「ああ、ネックキャッチな」
「それそれ、そのネッチャクッチャ?」
「ネックキャッチ」
「あれを実戦で使っちゃクッチャだめだっちゃ?」
「なに?」
「こう、ボールが来たらポンと首に乗せるわけです」
「どうすんだよそこから」
「いやそりゃそのまま相手ゴールまで走っていってダイビングでもしましょうよ」
「シュートしてないだろ」
「そこらへんは各自勝手に工夫してくれよそんなことまで知ったこっちゃネッチャポッチャ」
「でもそれは…」
「じゃあいいですよ一点リードしてから使いましょうか。一点取ったらポイッと首に乗せて」
「で?」
「そしたら隅っこの方で、そうだな、そのまま虚ろな目で呪文らしきものを唱えてるとか、あとは緑色のよだれ垂らしてるとかすれば、誰も怖くて寄ってこないまま時間切れ」
「……」
「クネクネ反復横跳びしながら『お豆腐の舞!』とかね。うわー絶対近付きたくないわ七メートル離れたいわ」
「…もういいから」
「『キミのココロに降るボクのナミダ』とかなぜかカタカナが多い自作ポエムを大声で朗読し始め」
「もういいって」
2013-10-01
「アンパン、新しい顔よ!」
くまも
「…おまえ、これはダメだろいろいろ」
「便乗よ!」
「あ、はっきり言っちゃうんだ」
「キャラ業界けっこう世知辛いから乗れるものには乗らないと!」
「いやべつに俺はキャラとして戦っているわけじゃ」
「いつ乗るか? 今でしょ!」
「何をいきなりブッ込んできてくれてんだよ」
「アベノミクス!」
「関係ねえ!」
「いいから早くかぶって『くまモーンチ!』ってやってきなさいよ!」
「おかしいし名前まで言っちゃったし」
「倍返しだ、あまちゃん!」
「だから流行りものブッ込めばいいってもんじゃねえし!」
「これでダメならクッキー焼くわよ!」
「知らねえよ何億枚でも焼けよ!」
「ゲッツ!」
「それ古い!」
2012-03-15
「ごめんね、いきなり呼び出して」
「い、いや。どどどどうしたの」
「あのね、もう卒業だし、お互い進路も違うから、あのえっと、ここで言っておかないときっと後悔しちゃうな、って思って」
「う、うん」
「三年間同じクラスになって、いろいろ話したし、えっと、友達…っていうのかな、そんな感じだったけど、どうしてもあと一歩踏み出せなくて。このままじゃいけない、って」
「う、うん」
「でね、あの、ふー、どう言ったらいいんだろ。この三年間ずっと、えっと、あたし口下手だから飾らずに伝えちゃうけど」
「うん、うん」
「この三年間、ずっと鼻毛出てたよ」
「はい?」
「毎日出てた。毎日鼻毛が出てた。ウィークデー出てたしウィークデー鼻毛」
「……」
「酷暑でも厳寒でも潔く出てた。めっさ出てた。もっさ出てた」
「…せめて早めに言ってくれよ」
「ただ去年の体育祭の時だけはちょっとマシだった」
「…なにそのアサガオ観察みたいな情熱」
「たぶん唯一得意なサッカーで鼻息荒くして、二本ぐらい抜けたんだと思う」
「…分析しなくても」
「でも次の日にはめっさもっさ復活してた。毛根すごいなって。毛根すごいウィークデー毛根」
「…毛根誉められたの初めてだ」
「でも三年間、伝える勇気がなくて」
「…ないままでいてほしかったなー」
「あ、そうだ、それから」
「…うん」
「今日も出てるよ。鼻毛元気に出てる。ごりもっさ出てるトゥデイ鼻毛」
「…ありがとよ」
「それだけ!」
「…それだけかい」
「じゃ、元気でね鼻毛マン!」
「…命名すんなよ」
2012-01-07
「よう。邪魔するぞ」
「なんだ、何しに来やがった?」
「まあ去年は俺たちもいろいろあったが、年も明けたことだしな、正月ぐらい因縁を忘れて酒でも飲もうかと思ってさ」
「そ、そうか。よくわからんが、じゃあ上がれ」
「悪いな。へえー、結構きれいにしてるじゃん」
「初めて来た彼女かてめえは」
「ちゃんとご飯食べてるの?」
「だから誰なんだよオカンかよ」
「さあ、とりあえず乾杯しようぜ。やっと手に入れたいい酒だ」
「そうだな。今日ばかりは一時休戦といこうか」
「かんぱーい」
「かんぱーい…ブホッ!」
「あれれ、どうした?」
「な…なんだ…これ…」
「ふははは、引っ掛かったな! アルコール75度、消毒にもちょうどいい濃度のアブサンだ! これでおまえも終わりだなバイキン!」
「騙しやがったな…アンパン! 汚えぞ!」
「何とでも言え。毎回とどめを刺さずに帰ってた去年までの俺とはちょっと違うぜ」
「貴…様…」
「末期の情け、勝利の美酒に酔いしれながらここで見届けてやろう、おまえの消滅をな!」
「ぐおお…」
「あ、やべ」
「なんだ…?」
「テンション上がって飲んじまった…。口のまわりが濡れた…」
「馬鹿か…」
「力が出ない…」
「おまえには…ジャムがいるだろが…」
「それが…今朝あいつ、鼻を忘れた顔を焼きやがったんで…ぶっとばしてきちまった…今ごろ…山の向こうあたり…」
「とことん…ぐふっ…馬鹿だ…」
「ジャムの…電話番号知ってるか…?」
「知るわけねえ…だろ…というかあいつ耳ないし…無駄だろ電話…」
「乗り物で…捜してきて…」
「無理だ…」
「ぐふぅ…」
「ぐふぅ…」

 -完-
2011-10-17
「受験勉強も大詰めになってくる時期だな。どうだ調子は」
「そりゃやっぱり辛いよ。でも、止まない雨はないからね」
「止まない雨はないか…そうだな」
「うん、いい言葉だよね」
「ま同時に、消えない虹もないけどな」
「え」
「ついでに降らない雨もない。ひとたび雨が止んだ後にはなるほど晴れ間が見えるかもしれないが、しかし次の瞬間に今度は雷を伴った豪雨が来る可能性だってある。明けない夜もないかもしれないが、太陽だってそのうち沈むしそれどころかいつかは消滅する。かように万象これ塞翁が馬、あざなえる縄がごとくに表裏は常に一体であるにもかかわらず、主観的バイアスにより片面だけを取り沙汰し勢い『止まない雨はない』などと虚しい希望を委ねようとする、その脆弱な精神性こそが一番根の深い問題であって、そういった心の弱さが遂には人を偏向宗教へ走らせる原因となり社会はますます閉塞し頽廃の一途を辿るわけだが、まあそういったことに関しては俺ら大人は酒でも浴びてりゃ都合の悪いことは忘れられるのでどうでもいいとしても、おまえら未成年は酒も飲めないしシラフで鬱々といろいろ考えなきゃいけないから大変だよな。でも応援してるから頑張るんだぞ」
「父さん嫌い」
「なぜっ?」
2011-09-29
「よくここまで辿り着いたな。こんな形でまたおまえと会うことになろうとは」
「その声は…」
「ふっ、驚くのも無理はない。かつて私はおまえたちの仲間であったのだから」
「そんな…まさか…まさか」
「そうだ、そのまさかだ!」
「母さん…?」
「違うだろ! 性別から何からさっぱりまったく違うだろ! 『そのまさかだ!』とか勢いよく言っちゃった俺のこの不敵な笑みをどうしてくれんのおまえあー恥ずかしい! だいたい俺が母さんだったら父さん誰なんだよそっちが知りたいわむしろ!」
「いや…待て、母さんであるわけがない…」
「当たり前だ、二分前に気付け」
「ま、まさか…」
「ようやくわかったようだな! そうだ、そのまさ」
「玉ネギ…?」
「いきなり何の話してんだ意味わかんねえ! 何の因果で玉ネギがおまえの前に立ちはだかるかね何の因果でさ! というかそもそもおまえは玉ネギさんと会ったことあんのか連れてこいや! 玉ネギさんと合コンしてみたいわむしろ! 『玉ネギあるある』で盛り上がりたいわ! 『一枚皮むいた後、次の層で端っこがちょっとだけ茶色くなってるともう一枚むくかそのまま使うか迷うー』とかやりたいわ玉ネギさんと!」
「玉ネギさんって誰だ…?」
「知らねえよおまえが言い出したし! 玉ネギだけに、知んない(芯ない)よ、ってな」
「え?」
「何も言ってねえよ!」
2011-06-20
「上は大水、下は大火事、なーんだ」
「ええと、あ、鍋! ブロッコリーを茹でる時の鍋!」
「あー、そういう考え方もできるが、正答ではないなー」
「じゃ、ブロッコリーをさっと茹でる時の鍋!」
「いや茹で時間どうこうじゃなくてさ。だいたいそれ、鍋は同じでいいよね」
「そうか。ブロッコリーを茹でる時のステンレス鍋か!」
「いや、あの、鍋の材質の問題じゃなくてだな」
「となると…わかった!」
「わかったか」
「沸騰したお湯に塩を入れた段階の鍋だ! ブロッコリーを茹でる直前!」
「ブロッコリーの投入時期とかはどうでもいいなー」
「違うのか。難しいなおまえのブロッコリークイズ」
「一度も言ってないよブロッコリークイズなんて」
「よし、これでダメなら降参だ。答えは、ブロッコリーを茹でた後の鍋!」
「ブブー。正解はお風呂でーす」
「…なにそれ。おかしいだろ」
「なにが」
「風呂でブロッコリー茹でる奴がどこにいるってんだよ!」
「誰がブロッコリーの話をしてんだよ!」
「よりによって風呂っておまえ、じゃああれか、おまえはブロッコリーと一緒に風呂に入るってのか」
「だからブロッコリーなんて一言も…」
「勢い余ってブロッコリーの背中流したりしてんのか。どっちが背中だか見分け方を教えてみろこら」
「知らねえよ。俺はだからブロッコリーとか」
「さっきからブロッコリーブロッコリーって、どんだけブロッコリー愛してんだこの変態野郎」
「おまえに言われたくねえ!」
2011-06-01
「どうしたその程度か。勇者などと、笑わせてくれるわ」
「ぜえぜえ」
「そろそろ楽にしてやろう。いくぞ!」
「くっ」
「くらえ。カオティック・インパルス!」
「うひゃひゃひゃひゃ」
「な、なんだ? 何がおかしい」
「プフッ。え、ちょっと待って、え、カオティ…え?」
「カオティック・インパルス」
「ブフーッ。え、それさ、もしかして自分で名付けたわけ?」
「そ、そりゃまあ」
「一人で考えたん?」
「そうだ」
「じゃああれだ、なんかすごい技を編み出してさ、『これは名前付けなくちゃ!』みたいなウキウキ気分でさ、そこの玉座で一生懸命考えたわけだ一人で」
「いや別にウキウキとか」
「どうだった? 考えついた時、これいけると思った? え、カオティ…え?」
「カオティック・インパルス」
「スラッと出てくるね。スラッと出てくるね。やっぱあれだ、何回か練習したよね」
「し、し、してない」
「あれ、あそこに鏡あるよね。絶対使ったよね。だってさっき、カオティ何とか言う時さ、かっこよく右手挙げたもんね」
「…違う、それはその自然に」
「あれけ、角度とか研究したのけ? 一人で。夜中に」
「そんなもん今関係あるか!」
「キレたーっ! キーレーたー! 図星だったー! 魔界を統べる魔王様が夜中に鏡の前でたった一人でかっこよく名付けた技はカオティ…え?」
「…オティック…」
「聞こえませーん」
「…カオティ、…ぱるす」
「ぜんぜん聞こえませーん」
「カオティック・インパルス!」
「そうそれだ! よーしわかった喰らってやる。一生懸命名付けたんだもんな一人で。実際に使う日を心待ちにしてたんだもんな。よーし喰らってやる。さあ来い!」
「…もういい」
「あれ。すねちゃった?」
「すねてない」
「いやいや、すねてるって。せっかくだから使えよそのカオティ…え?」
「忘れた」
「忘れねえだろ! いきなり忘れねえだろそれは! なんだそれ三年生かおまえ!」
「もういい帰れ」
「いや、だから使えってのにそのカオティカル・パラグラフ」
「違うカオティック・インパルス」
「やっぱ憶えてんじゃん!」
「うるせえ帰れ!」

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