BBS MISC MAIN TOP ナビ  そなた。  懐の痛くない募金
2008-10-07
「…うらめしや」
「ぐー」
「うらめしやってば」
「ぐーぐー」
「あ、ひょっとして怖くて寝たふりをしてますね。いいですいいです、じゃあそのまま聞いてください。あの、私もうらめしや歴が長いんですけど、つい最近気付いたわけですよ」
「ぐー」
「『うらめしやー』って言うでしょ、そのイントネーションが何かに似てるよなあと以前から思ってて、そしたらこの前、駅のコインロッカーで雑魚寝してた時にわかったんです。『上り列車』に似てるんですよ」
「すぴー」
「いやわかるんです。似てないと否定したいのはわかってます、でもそれはね、こうして部分だけ取り出すからで、ほらあれ、あのアナウンスみたいにしてみましょうよ。えへんごほん。『むぁもなく』ああすみませんすみません声が裏返っちゃってフヒヒ。人前でやるのって初めてでいやどうも」
「ぐすぴー」
「ごほん。『むぁもなく』これね、ちょっと鼻声にするのがコツなんすよフヒヒ。ああすみません余計なことを。ええと、『むぁもなく、二番線にうらめしやが入りむぁす』ほら。二番線にいる人には『上り列車』にしか聞こえないと思うんですよ。いやそうかな。ああいかん私が疑ってはいかん」
「ごがあ」
「これね、軽く考えてるかもしれないけど、大変ですよ。二番線にうらめしやが入るんですから。電車の音なんか聞こえないなあと思ってホームから覗き込んだ次の瞬間、うらめしやの大行列ですよ。『うらー『うらめー『うらー『うー『うらめしー『うらー『しやー『やー『うらー『しやー』誰が何しゃべってんだかわかんなくなるしね、そのうちドップラー効果で『うらもすぬー』かなんかに聞こえたりするんですよいや知らんけどもプフーッ」
「ごー。ぐー」
「だからね、くれぐれも気を付けていただき…ああすみません、寝たふりももうそろそろ疲れますよね。怖くないんですけどね私。でもま、伝えたいことは全部聞いてもらったんで、そろそろ行きますわ。どこへってそりゃ、二番線にね。プフーッ」
「ぐがあ。すぴー」
「それでは最後までご清聴いただきどうも。霊。なんつってさプフーッ!」
「ぐー」
2008-10-03
「どうも。この度は会談に応じていただきまして」
「いやいや」
「で、特に何か重要なお話があるとかで」
「ああ、えー、まあ突然なんですが、あー、ちょっとうちの、おー、新人を紹介したいと」
「え、はあ。新人ですか」
「あー、入って、えー、きたまえ」
「ふむ、こちらの方が」
「これは、あー、うちのいわゆる、うー、ホープでして、えー、ある重要なポストにと」
「ほほう。まだお若いのに代表の信頼厚いとは、また大したものですな」
「甲斐(かい)という男です。どうかひとつ、うー、よろしくお願いしたいと、おー、思います」
「いやいやお手柔らかにお願いしますよ」
「この男は、あー、甲斐、です」
「ええ、伺いました」
「呼んでみます?」
「はい?」
「甲斐という、うー、名前なんですが」
「ええ」
「ちょっと呼んで、えー、みてください」
「甲斐さん、ですよね」
「そうです。えー、もちょっとズバッと」
「ズバッと、て…甲斐さん?」
「この男は?」
「甲斐さん」
「…聞いたか! 記録したか! 解散だ!」
「え。いや違いますよ」
「今日この日をもって衆議院は解散だ!」
「違うってこら」
「ええと、この男は誰でしたっけ」
「甲斐さんですけど、それは決して」
「解散だー!」
「違うってのに待ておい」
「これは?」
「甲斐さんだけど」
「解散だー!」
「違うって言ってんだろ!」

【忘却→ →過去→ -- →現在】
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