Ever17 -the out of infinity- | KID / 2002年 |
かつて交わした約束と、いつか還る場所へ。
東京都駒ヶ原諸島M島沖16Kmの海上に浮かぶ、海洋テーマパークLeMU。 海中51mの楽園で発生した事故の為、6人はLeMUに閉じ込められることになる。 外部との通信は絶たれた。事故の影響で各地区では浸水も発生する。そして、LeMU完全圧壊までのタイムリミットは119時間。 脱出は可能なのか? 救助は? そして、彼らの運命は? さて、突っ込もうか。どこが恋愛アドベンチャーだ! ああ、1人だけあるか。他は一切無し。済し崩しの肉体関係はあるが。 どっちかと言わなくても、恋愛アドベンチャーではなく、深海からの脱出を描いたSFアドベンチャー。 巧妙に張り巡らせた伏線と、謎が謎を呼ぶ展開は実に素晴らしい。 システムは微妙。特にスキップの遅さにはかなりイライラする。 絵もなー、時々パースおかしい。まあ、どうでもいいけど。音楽は素晴らしいです。 演出も非常に上手いのだけれど、ネタをバラすと面白くも何ともないので、以下は伏字。読みたい人は反転推奨。 まあ、まさに演出の妙でしょうか。 主人公=プレイヤー自身は、自身の姿が見えないという、この手のゲームの常識を逆手に取った演出。実に見事。 設定自体も良く練られていた。まさか、オフィシャルサイトや設定資料集までがトリックの1部だとは思わなかったけど、ここまで徹底すれば素晴らしい。 各所で指摘されている、“序盤の掴みの弱さ”“中盤の中弛み”“30時間を軽く越えるプレイ時間”“3Dムービーのチープさ”といった問題はあるにせよ、それを補って余りある魅力に溢れている。 “17”へのこだわりも大したもので、ことあるごとにこの数字が出て来る。 ・武編のスタート時刻は11:17。少年が最初に現われるのはその17分後。 ・最初の加圧室に留まるのは17分。 ・LeMUは水深17-51mの海中に存在。各フロアの間隔は17m。 ・武編の舞台は2017年。 ・少年編の舞台は武編の17年後、2034年。 ・つぐみは表向き17歳。実際は武編で23歳、少年編で40歳。 ・田中優美清春香奈の父が失踪したのは、武編の17年前。 ・武編で発電機の修理を行った時、発電機のスイッチを入れてから電気がつくまでの時間が17秒。 ・少年編で、少年が意識を取り戻した時間は03:17。 ・空が、沙羅にレミシステムをクラックさせる為にセキュリティを緩めた時間は、1/17秒。 と、いった具合。うまく散りばめたものだね。 ・小町つぐみ タヌキ。41歳(武編では23歳だけど)。2人の子持ち。完全無欠のツンデレで女王様。そして騎乗位。散々な言われようだけど、事実だから仕方ない。メインヒロインなのにな(笑)。 全ての始まりで、全ての終わり。色んなとこで使ってるけど、こればっかりは事実だしなぁ。 キュレイウィルスキャリアで、完全なキュレイ種。17歳で完全なキュレイ種になった為、外見上17歳から歳を取ることがない。つまり、彼女こそがEver17。 免疫及び代謝効率が異常に向上しており、テロメアを無限に回復させる。つまり、老化しない。また、不死では無いが限りなく不死にも近い。 加えて、運動能力も異常に高い。ま、その代わり紫外線に弱く、太陽光の下ではタヌキにならざるを得ない。 不幸を一身に背負った少女ではあるのだけれど、彼女がタヌキの着ぐるみを着ないことには物語が始まらない。 どうでもいいけど、タヌキ以外の方法は無かったのか? あれが彼女のギャグキャラ化を促進してると思うんだけど。 つぐみ編のエンドでは武のあまりに英雄的な行為に涙したが、最終エンドではつぐみの幸せな姿に涙した。本当に、良かったよね。 でも、優春、空とライバルは多いぞ。沙羅だって危うい。娘だからと言って油断するな! どうでもいいけど、空編での「この容姿で『私は41歳です』なんていわれたら嫌味でしかない」という武の台詞は伏線なのか。それとも、小町つぐみ41歳に対する挑戦なのか。 ・茜ヶ崎空 設定上24歳。永遠の24歳。つまり、Ever24。落ちなどない。 倉成先生の恋愛講座受講者でもある。通称茜ヶ崎君。 空編は唯一と言っても良い、恋愛を中心においたシナリオだった。 他人に認識されていないと存在すら確立出来ない空。当然触れることなど出来ない彼女との、ガラス越しのキスは実に胸を打つシーンだった。 全員のプライバシーを守りたいと言いつつ、武をスキャンし続け、その結果武とつぐみのセックスを覗き見してしまい嫉妬に駆られ逆上する。 まあ、あまりに人間的過ぎる行動なのだけれど、人間ではない空だからこそ、その行為と込められた想いが重い。 ・田中優美清春香奈 田中優美清秋香奈だとエロ担当の娘。微妙な差が難しい。 あまりに長く、インパクトの強い名前に誤魔化され、略称自体がトリックだと見抜けなかったのは不覚。 良く観察してれば、少しキャラクターが違うんだよね。 優春は後ろ暗い過去(と、潜入目的)を持っている分、多少大人っぽいしバランス感覚に優れている。あと、サバイバルスキル持っててオカルトオタクなのはこっち。 優秋は屈託がないわけじゃないけど、優春に比べれば明るくて子供っぽい。アンチオカルトなのはこっち。あと、エロ担当もメインはこっち。 んー、優春が自分のクローンを産んで、その産まれてきた子供が優秋ってのはわかるんだけど、クローンって性格も似るんだけっか? ヤミオニの時の作戦って17年前と全く同じだし。これは優春の教育の成果なのか、遺伝子に刻み込まれた姑息手段なのか。 まあ、兎角最終ルートでの、クローンの話が出て来てから活きるキャラ。それまでは謎が多過ぎる。 ・松永沙羅 ツナサラダにはマヨネーズ。武とつぐみんの愛の結晶にして、ホクトの双子の妹。けっ。 常人と比べて異常に発達した知性を持っていた為、ホクトが解放された後もライプリヒの実験台として囚われたままだった。 それでも、いつかはホクトが迎えに来てくれると信じて待ち続ける。その姿には心打たれる。 沙羅編エンディングでの、2人の会話にはほっとした。君達2人なら、きっと大丈夫。どうやったって生きていける。一線だけは越えるなよ。 ・八神ココ コメっちょ。ブリックヴィンケルさんが見えちゃう人。大丈夫か? こいつの頭。 所謂電波系。一万年と二千年前からブリックヴィンケルさんを愛していたとて不思議はない。 ほんっと、こいつがキーキャラクターと言うのは気に入らない。コメッチョも笑えないし。 でもココ編が全ての完結であるわけで。 あれがあるからこそ、Ever17は名作となりえたことは否定のしようがない。 ・倉成武 友人と遊びに来たのに、その友人達とははぐれるは、事故に巻き込まれるわ、つぐみんに押し倒されるわ、挙句に17年海の底で眠ってしまうわ、涼宮遙もびっくりだ。 完全無欠の被害者であるにも関わらず、卓越した行動力で自分とココ以外を全員脱出させた男。ちなみに少年編の武の中の人はクワコギなので要注意。ヘタレです。 実に男らしい。つぐみんのスカートをめくる辺りも実に漢らしい。 まー、クワコギが演じている時以外はどこでも格好良いんだが、つぐみ編ラストは別格。 「私を、ひとりにしないで……!」と泣いてすがるつぐみんに対して、「生きている限り、生きろ。俺は、死なない」と言い切った姿は格好良過ぎた。しかもそのまま、つぐみんを助ける為に深海へ沈んで行くんだぜ。壮絶ではあるが、茶化す気にならないくらい格好良い。 同じ名前の白銀君も見習って欲しい。取り敢えず宗方中尉を狙うところから始めてはどうか。 ・少年 武編では、本名桑古木涼権。読めねぇよ、クワコギ(かぶらぎ りょうごですね)! 遊びに来て事故に巻き込まれた被害者。事故の衝撃で一時的に記憶を記憶を失ってしまった。 まあ、記憶がない上に海中建造物に閉じ込められて不安になるのはわかるけど、タツタサンドに飽きたから白いご飯が食べたいと駄々を捏ねて見たり、 同じ少年でも、ホクトの方が大人だったなぁ。ま、同じ武役でも武の方がかっこよかったわけで、所詮偽者ってことですか。 好き好き大好き超愛してるココはブリックヴィンケルさんに持っていかれるし(ココの為に17年かけて計画を練ったにも関わらずだ)、17年を一緒に過ごしたはずの優春は武が大好きだし、報われんな、君は。 そういや、少年編での意味深な寝言の意味はなんなんだろう。あれか、計画を共にする関係だけでは飽き足らず、ベッドを共にする関係になったか。 少年編では、武とつぐみんの愛の結晶・ホクト。けっ。 エロ担当と言うか、つぐみんに内緒のコウイされたり、つぐみんのスカートめくったり、優の着替え覗こうとしたり、優の胸で窒息しかけたり、沙羅を押し倒したりと、羨ましいな畜生。 いつまでも若くて美人の母、英雄的な父、本当に可愛い双子の妹。恵まれた家族じゃないか。ま、事件解決までは辛酸をなめ続けてるけど。 第3視点でもって過去を覗き見する能力を持っている為、しばしば17年前の出来事がフラッシュバックする。 無論、それ自体がブリックヴィンケルを呼び出す為の手段になっているのは間違いない。が、彼が利用している視点はあくまで17年前の倉成武の物なので、実は自分自身の顔が認識出来ていない。 もっと言えば、17年前の倉成武の顔と、現在の少年(=ホクト)の顔が認識出来ていない。武の顔は桑古木の顔だと思っているし、少年の顔は17年前の桑古木の顔だと思っている。あんなにヘタレじゃないのに! ま、そんなわけで、鏡を見た時にはパニックを起こすんだけれど、これ自体がゲームのシステムを逆手に取ったトリックですよ。 ホクトは武の息子だけあって実に男らしいし、前向き。若いのに、実に格好良い。沙羅にとっては頼れるお兄ちゃんだし、優秋にとっては信頼の出来る恋人なのも当然。優春が手を出さないかどうかだけが心配だ。 ● おまけ。スタッフからソニーへの挑戦状と思われる、エロワード達。 優「違う! そこじゃないって! ああ乱暴にしないでっ!」 優「痛い痛い! もう! ゆっくりやってよ!」 優「下手くそー!」 優「やめてぇー、放してぇー、死んじゃうよーっ、痛いよーっ」 ベッドの白いシーツに、微かに赤い飛沫が散った。 (ちなみに、注射するシーンです) 優「空気と初恋は、淡い方がいいに決まってるの。コーヒーと初行為なら……濃い方が良いけどね」 沙羅「ときに少年よ、いったい、どんな慰め方をしたのかね?」 沙羅「あの先輩を瞬殺したぐらいだから、きっと、物凄いテク使ったんじゃろ?」 沙羅「あんなテクや、こんなテクかね?」 沙羅「ぃや〜ん、だめだってば〜、これ以上言わせたら18禁だよ〜」 少年「それ、よく意味わかんないんだけど、普通に口で……」 沙羅「な、なんと! いきなし、そげなことまで要求しちゃったとですかっ!?」 顔面の優の胸が押しつけられる。 ぼくはそこに具合よく収まってしまい、おかげで……息ができない。 危うくぼくは、彼女の柔らかな双丘によって、昇り詰めてしまうところだった。 少年「幽体離脱……なんてできたら、パンツの中とかのぞき放題なんだけどなぁ」 沙羅「ばかっ、スカートの中ならまだしも、パンツの中なんかのぞくんじゃないの!」 少年「ぼくの先っちょの所を、優の穴の中に差し込めばいいんだね?」 優「うん、早く入れて」 少年「入れるよ?」 優「うん……」 ぼくは、黒光りしたその先端を持ち上げると、優の小さな空洞の中に……入れようと……。 少年「あれ? おっかしいなぁ……」 少年「穴の場所が、よくわかんないやぁ……」 少し汁のにじみ出した先っちょの部分は、穴にはおさまらなかった。 何度も何度も試みたのだが、優の求めている場所がどこなのかわからない。 少年「こんなはずじゃなかったのに……」 優「もうっ、だらしないなぁ〜」 少年「だって、しょうがないじゃん」 少年「こんなことするの、初めてなんだから」 優「痛っ」 少年「ご、ごめん……」 優「どこに刺してんのよぉ……そこじゃないでしょ?」 優「もうちょっと手前」 少年「ここ?」 優「違う違う、もっと奥」 優「そう! そこそこ! そこに入れて! 早く!」 ――ずぽっ。 少年「はまったぁ! やっとはまったよぉ」 優「すごいすご〜い♪ こんなの初めて〜♪」 ……まあ、言いたいことは色々あるが、色々あんまりだろうと思う。 最後のなんか、どう見ても処女と童貞のセックスシーンだもんなぁ。まあ、面白いから良いけど。 総括。 ネタバレ無しで出来るかっ! |