君が望む永遠 | âge / 2001年 |
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「できすぎてると……思うでしょう?」 「ああ……」 「でも、それが私たちの出会いの本だったんだよ。だからこのさよならは……避けられないのかなって……思ったりするんだ」 こんなとこで書くまでも無い、超有名欝ゲー。 個人的には欝ゲーだと思ったこと何て一度も無いけど。 まあ、緑の悪魔ルート以外は、割と実際の恋愛でも有り得る話と言うか、ある種現実的過ぎてきつい部分は多々あったものだと思います。 実際に同じ様な経験するかどうかはさておいてだけど(緑の悪魔はない。まずない。断じて無い)。 第1章は導入として、主要な登場人物である速瀬水月・平慎二・涼宮遙・涼宮茜・緑の悪魔が登場。 友人である慎二・水月との日常や、遙・茜との出会い、遙からの告白と交際、そして運命の日を描いたものです。 第2章が本編。 あの事故から3年後、ヘタレな孝之が昏睡から目覚めた遙と現在の交際相手である水月の間で揺れ動きながら、バイト先の女の子や看護婦さん、茜に手を出して偉い目に遭う様を描いていますと書くとあんまりか。 上ではヘタレと書きましたが、主人公である鳴海孝之は決してヘタレな青年ではありません。 確かに決断力には欠けますが、彼自身は極普通の、心優しい少年若しくは青年で有り、余りに酷な選択肢を選ばざるを得ないが故の混乱が見て取れるわけです。それを以ってヘタレ呼ばわりするのは余りに酷。 “本当に好きだった、失われた思い出”と、“今生きている現実”の二択は、目の前につき付けられると辛いものです。そこからの逃避行動は決して責められるべき物ではありません。 ただね、これゲームなんですよ、残念なことに。 あくまで虚構の世界で有り、主人公はプレーヤーの理想が投影された姿であることを期待されます。その主人公が優柔不断であれば、責めたくも成るのが心情でしょう。 そう言った、リアルさが主人公である孝之の評価を貶めた原因で有り、欝ゲーと呼ばれる所以であると私は思います。 決してそのリアルさは貶められるべき物ではないんですよね。 従来のヲタクの理想的な脳内世界でしかなかったこのジャンルの成熟であると捉えるべきではないのかなぁ。 システム面では、特に不満はありません。個人的に、âgeのシステムは1番ストレスを感じないものです。 音楽面も特に不満は無し。主題歌はいいですね。 声優? 原画? そんなものは飾りです。偉い人にはそれがわからんのです。 ・涼宮遙: 涼しいにお宮の宮。遙か遠くの遙。もしくは三年寝太郎。 水月の傷つき方と、孝之の受動的な態度が鼻について、どうも好きにはなれないルート。まー、気持ちはわからないでも無いけど。 下とは逆だけど、自分ではなく他人に痛みを与えての成長はどうも好みでは無い。 バッドエンドルートでは壊れすぎ。薄気味悪いよ、この人。 ・速瀬水月: どう考えても、1番順当なルート。 青春の残滓を振り切る選択は、痛みを伴いながらも間違い無く正しい。 勿論、痛みを感じること無く成長出来れば理想的なのだけれども、現実としてそれは難しい。 ならば、痛みを乗り越えてこそではないのかと思う。 メインルート以外ではエロ補完要員扱いなのが哀しい。 ・涼宮茜: メインでは無いよね、多分。個人的にはサブ筆頭程度。 正直言えば、メイン2人以外を選ぶルートは逃げでしかないのではないかね? と思う。 バッドエンドルートは因果応報、か。 ・穂村愛美: 緑の髪のマナマナ。 彼女の視線から逃れることは、出来ない。 ・大空寺あゆ: 猫のうんこ踏めー! 以外の価値は、ほぼ無い。 大空寺財閥と対決? そんなもの、自業自得だろう? ・玉野まゆ: ルートが存在する意味すら、理解出来ない。 有体に言えば、他のレビューを書く時のBGM程度の価値だろうか。 ・天川蛍: 必然性の無いルートなのだけれど、出来は良い。 何と言っても、主体性とは真逆に位置する孝之が自分で選び取って行くのだから。 とは言っても、現実から逃げてる感はどうしても残るんだがなぁ。 ・星野文緒: 「そんなの、逃げにもなってない! ただ自分の欲求を好き勝手に満たしただけじゃないですか! 動物と同じですね」 と、茜ちんの仰る通り。 ● おまけ。 君が望む永遠〜special FanDisk〜 / 2004年 ★★☆☆☆ 君が望む第一章がメイン。それ以外はモブに過ぎません。 君が望む第一章は、“もし、あの事故が起こらなかったら”“もし、あの時告白を断っていたら”と言う仮定の下、制作されたもの。特筆すべき点はありません。 結局のところ、あのゲームの良さは全て第二章にあり、第一章はオープニングに過ぎないんだと良く判らせてくれるものです。まあ、オープニングにしちゃ長いけどね、第一章。 余談ですが、あの事故もちゃんと起こせます。その辺りにâgeの心意気が感じられて大好きです。 ● 更におまけ。 君が望む永遠 〜DVD specification〜 / 2003年 ★★★★★ 何たることか! 緑の髪の悪魔が天使になってしまった! 後はエロ補完のみ。 |