このレポートは、5月13日に長浜市立南中学校で開催された長浜市教育研究所主催の「第1回 コンピュータ活用研修会」において、大津市立平野小学校の石原一彦先生からご指導いただいた内容をまとめたものです。
このページへの掲載にあたって、石原先生にお断りしたところ、快く承諾してくださいました。
1997/05/13
長浜市教育研究所
「第1回 コンピュータ活用研修会」 レポート
今回の研修会は、講師に、平成7・8年度CEC・IPA共同事業「ネットワーク利用環境提供事業」(100校プロジェクト)参加校である大津市立平野小学校の石原一彦先生をお迎えしてのものであった。
研修内容は、まず、「こねっとぷらん」提供の平野小学校の取り組みのVTRの視聴であった。概要は、分かっているつもりであったが、職員のみなさんのご苦労が忍ばれ、また、平野小の子どもたちの生き生きとした活動の姿に感動した。全ての子どもたちに、平野小のような体験をさせてあげたいとの思いがわき上がってくる。
引き続いて、先生のお話を伺い、その後、アドバイスをいただける時間になった。参会の諸先生方には僭越であったが、とにかく、お伺いしたいことが山ほどある私は、この時とばかりに、お尋ねした。以下にその質問内容と、先生のアドバイスを掲載する。
- 個人情報の管理について、どのように考えていけばよいのでしょう?
「危険だから、やめておこう」では、子どもも保護者も先生も育たない。必要以上に恐れないことだ。社会生活においては、自動車だって危険だ。しかし、だれも自動車に乗らないでおこうとは言わなし、自動車会社の社長が告訴されたという話も聞かない。インフォームドコンセント(悪例)は、確かにあるが、個人のホームページで生じた事例に学びながら、考えていってはどうか。当然、必要のない個人情報は発信しないことだ。本校では、学級のホームページもあり、個人情報の管理については、学級担任を指導している。
それよりも、子どもたちに、これから間違いなくやってくるネット社会を生きぬく力を、どうやってつけるかが大きな課題だ。子どもたちに「発信する権利」をどう教えるかが問われている。
また、保護者の理解を得るための取り組みも大切だ。本校では、PTA室でホームページを公開しており、いつでも見てもらえるようにしてある。
- 学級のページは、学級担任の責任で作成しているとのことでしたが、研修などはどのように進めておられますか?
学級のページは、基本的に学級担任が、作成している。そのための研修は、年間6回行っている。全員一斉の研修は、1回だけで、あとは、ワープロソフト講座、表計算ソフト講座、ホームページ作成ソフト講座を各自が選んで研修している。しかし、それ以上に大切なことは、職員室の人通りの多いところにパソコンを置き、日常的に研修ができる、つまり、使っていて、分からなければその場で助け合える体制作りが大切だ。
とは言っても、学級担任には、いわば「逃げ道」が作ってある。ホームページ作成ソフトが使いこなせる人を各学年1名は配置してある。また、それでもだめなときは、研究開発部でお手伝いすることにしている。
- 中学校では、どうしても教科の壁がありますが、どうすればいいでしょう。
各学校で、総合的な取り組みを設定し、その中でインターネットを活用するようにしてはどうか。全国的にもそうした流れになっている。
また、校内で孤立するようだったら、学校外で連帯すればよい。そのためにも、メーリングリストに加入することだ。私自身が、最初の頃それによって大変助けていただいた。
- サーバーの管理はどうされていますか。また、一般の学校への設置は難しいのですが。
本校では、100校プロジェクトのお陰でUNIXサーバーがあり、容量も250MBあるので、助かっている。しかし、システム管理者の私が転任したらどうなるのか心配だ。そのため、NTを導入したが、これもまた難解である。そこで、最悪の場合は、マッキントッシュに切り替えようかと考えている。
一般の学校の場合、プロバイダと契約をして、そこのHDDを使うことになるだろう。そのため、無駄を省くことに気を配られることだ。
しかし、そういったことよりも、大切なことは、ネットワークの利用価値を、「縦・横」のつながりの中で、様々な情報を得ることに求めることだ。「横」のつながりは、現在行われており、本校の「メールボランティア」の実践に見られる通りである。「縦」のつながりというのは、本校を巣立った子どもたちが、将来、本校に様々な情報をもたらしてくれるのではないか、ということである。例えが悪いが「サケの放流作戦」とでも言えるものである。そのために、現在、「同窓会のページ」を開いたところである。
- メールの文字化けの問題は、ありませんでしたか。
本校の場合、そうした問題は、一度も生じていない。サーバーがUNIXで、ソフト的にトラブルが起こらないようになっているのではないか。
- 悪質な暴力や性情報などへの対応はどうされていますか。
フィルタリングの問題だが、本校では、毎朝当番が、各教室から新聞社にアクセスして、その日のニュースを調べ、朝の会で発表している。このように自由に使わせているが、今までそうした問題は起こっていない。
バリアーを張るよりも、悪質な情報に立ち向かう子どもを育てることの方が大切だ。子どもたちの将来は、そうした指導にかかっている。
また、子どもたちには、「だれが、どんなページを見たか全部分かるようになっている」と伝えてあるし、実際にチェックをしているが、今まで問題はなかった。しかし、思春期の中学生だとどうだろうか。
以上が、私がお尋ねした課題にお答えいただいた概要である。
それ以外にも、次のようなアドバイスをいただいた。
- 端末が1台しかない場合、カラープリンタでページを印刷し、OHPで提示するだけで、子どもたちの学習意欲を引き出すことができる。
- 子どもたちが日常的に、パソコンに触れることのできる、環境づくりが大切である。そのために、教育委員会やコンピュータ会社に交渉してきた。
- コンピューターが1台でも、大きなテレビに画面を映すことができ、体験を共有させることができる。
- 教育用ソフトは、教師がアレンジできるソフトがよい。できれば、自作ソフトが作れればそれに越したことはない。
- 古いMS−DOSマシンの使い道は、二つある。一つ目は、キーボード操作の練習に使える。そうして打ち込まれたテキストファイルは、学校の財産となる。二つ目は、6年生なら教えればHTML文書が作成できるので、ホームページ用のデーターは作成できる。後でブラウザで見ればよい。
- 各先生が、それぞれできる範囲で取り組むことが大切だ。子どもたちは、間違いなくネットワーク社会を生きていくことになる。それこそ、個人の能力が切り刻まれるような社会だ。先生には、日本の未来を担う子どもたちを育てる責務がある。また、インターネットは、人と人とのコミニュケーションのための技術だ。教育の目的は、人間同士の「いい関係」や「いい社会」を作ることにある。
- インターネットは、個人の能力をアンプリファイヤー(拡大)する。そのため、ハンディキャップのある子どもたちこそ、それで伸びる可能性がある。養護学校や障害児学級の取り組みが、今、真剣に進められている。
- パソコンは、先生の仕事のリストラ及びグレードアップを図ることのできる道具だ。とにかく、消極的な方には、便利さを体験していただくことだ。
- 情報教育のカリキュラムは、初めからあまり型にはめない方がよいのではないか。子どもたちは大変柔軟である。1年生では何をとか、2年生では何をとか決めてかからずに、やれるところから取り組んでいくことが大切だ。そして、実践記録を積み上げて、最後にまとめればよいのではないか。
[Top]
Copyright(C)1997 by Hideo Hirobe
Last modeified 1997/5/31