日教組 第47次 教育研究全国集会 (in Kagoshima)
第19分科会 情報化社会と教育・文化活動 レポート
(1998/01/22〜25)
はじめの一歩
マルチメディア教育利用
- はじめに
- 環境整備のための取り組み
- 職員のコンセンサスづくり
- 校内規約(指針)づくり
- ホームページづくり
- 今後の課題
- 終わりに
1.はじめに
本校では、本年度よりマルチメディア研究委員会を発足させ、情報教育のあり方を模索し始めたところである。現在、本校は、機器も研究体制もまだまだであるが、研究委員会のメンバーは、とにかくフロンティア精神あるのみで、研究に取り組み始めた。
21世紀は、どのような時代になるのか、大きな夢が膨らむ。私たちは、コンピュータの最も価値ある使い方は、データーベースではないかと考えている。インターネットは、それこそ無限にも思えるデーターベースではないだろうか。それを活用して、どんな教育活動が成り立ち、どんな教育効果があるのか。また、こどもたちが電子メールを活用して、どのように自分の世界を広げることができるのか。現在、校内体制の構築と環境整備の大きな課題を解決するべく、各方面の方々にいろいろと知恵を授かりつつ、マルチメディア教育に関する情報を収集しているところである。
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北中インターネット利用の基本
1.ネット社会に対応できる生徒の能力や資質を養う。
2.生徒および関係者の個人情報の保護に努める。
3.各教科や総合学習を通して、生徒の情報活用能力の育成を図る。
4.ネチケットや国際理解の精神を涵養する。
5.「開かれた学校」を推進する。
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2.環境整備のための取り組み
1)本校のPC(1997/08:現在)
| OS | 生徒用 | 教師用 | インターネット接続 |
| | desktop | note | desktop | note | |
| MS-DOS | 21台 | 6台 | 3台 | | |
| N-5200 | | | 1台 | | |
| Win3.1 | | | 1台 | 2台 | |
| Win95 | 2台 ※ | | 1台 ※ | | ◎(2台) |
| | 23台 | 6台 | 6台 | 2台 | |
※本年度、新規設置
《課題》……資金が全て!!
○コンピュータ室の生徒用PCは、HDDもなくメモリーも少なく、インターネットはいうに及ばず、マルチメディア教材が活用できない。
○事務処理用PCの台数が少なく、職員の個人負担に頼っている。(職員のパソコン所有率 73%)
○ソフトの新規購入やバージョンアップに対応するための予算が不足している。
2)接続環境など
A.使用回線……アナログ(28.8Kbps)
公用ファックスの回線を利用……(市教委から電話代のお小言が届くかも?)
・公用電話回線の占有……トラブルの危険
・パソコンから直接ファックスの発・受信も可能
コンピュータ室……公用ファックス回線を延長(本来ならLANを!)
B.インターネットの画面を生徒の手元のテレビに
改造前……教師用のPCの画面は、生徒用のPCに直接映せた。
生徒の活動を中断させることになった。(EPSONの問題)
改 造……TVコンバーターで教師用PCの画面を生徒の手元のテレビに。
テレビのデモを見ながら、自身の使っているPCの操作が可能。
画像が多少見にくいものの、5万円以下で導入(設置時は100万円)
《課題》……資金が全て!!
1.ISDN(デジタル高速回線)…月額3,630円(現:2450円)
2.LAN……サーバーマシン、ソフト、配線等で、150〜200万円。
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3.職員のコンセンサスづくり
ネット上で、知り合ったHP担当者の話
○職員が、その必要性を理解してくれず、一人苦しんでいる。
○担当者が転任して、あとの維持管理に困っている。
全校体制が必要
| 月 日 | 場 面 | 内 容 |
| 1.27 | 校内研究会 |
「ホームページ構想」提案
校内研究 授業改善部会より、「授業改善の新たな展開の方向」ということで、「北中ホームページ構想」と題して提案。 |
| 4.03 | 職員会議 | 研究委員会発足 |
| …… | 日常場面 | 職員への働きかけ(Internet体験など) |
| 5.01 | 第1回委員会 | ねらいの確認、課題の整理 |
| 5.30 | 第2回委員会 | 「校内規約」原案検討 |
| 6.09 | 職員会議 | 「校内規約」承認 |
| 6.15 |
第3回委員会
(学年主任) | 役割分担検討、全体構想の見直し、依頼文書検討 |
| 7.14 | 職員会議 | VTRによりHP紹介 |
※保護者の理解を得るために
弁護士などが一番心配しているのは、保護者の理解&協力体制
トラブルは、個々の問題から生じる。学校が訴訟の対象になることは、極力避けるべき。
今後、保護者向けアンケート等を実施して、実態把握、意見集約に努めるべき。
保護者向け、案内文書配布 [1997/06/18]
保護者の理解と協力を得るために『本校におけるインターネット利用について』を配布。
3年生保護者会……ホームページを印刷して掲示[1997/07/15]
保護者会にて「ホームページ紹介VTR」放映 [1997/07/18]
常時、玄関にホームページを印刷して掲示。
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4.校内規約(指針)づくり
学校長の方針
「インターネットに関する問題点を洗いざらいあげて、検討せよ。ホームページ開設は、北中の今年の目玉である。」学校長自ら、県教委、市教委、県研究センター等に足を運び指針を仰いだが、明確な回答を得られなかったとのこと。
内規原案作成のために取り組んだ主な内容
1)準備
(1)文献・資料の収集…関連書籍の入手・購読、関連Webページの検索
ア,インターネット教育(授業実践)関係
イ,内規関係
ウ,法規関係
著作権、肖像権などプライバシー関連
「インターネット規制法」(米国)関連
「電気通信事業における「公然性を有する通信」サービスに関するガイドライン(案)」関連
エ,インターネットに関する諸問題関係
オ,ネチケット関連
カ,各著作権者の方への引用依頼
(2)県内公立中学校でWebページを公開している学校の担当者へ質問
返答1校のみ。他校は、まだ、確立されていない。
全国レベルで調査
○三重大学教育学部附中学校
○東京都目黒区立第六中学校
(3)ML(Mailing List)での情報収集
(4)研修会への参加
(5)原案をWebページで公開し、意見を求める。
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インターネットの力
かつて1年かかった仕事が、3〜4ヶ月でできる。
私も、これを利用することにする。
実質、1ヶ月で校内規約を作成 |
2)課題
課題1「個人情報の発信に伴う危険」
1.個人の連絡先の開示は、いたずらメール・いたずら電話などに類する迷惑行為の発生につながる。
2.写真の開示などで、犯罪にあう危険性が生じる。
3.名簿業者などによって、目的外の用途に流用される可能性がある。
4.他人が本人に成りすまし、犯罪を犯す可能性がある。
危険は、学校の全ての活動に伴う。だからといって、修学旅行をやめる学校はない。それは、教育効果があるから。インターネットも同じ。危険があるからといって、躊躇していられない。子どもたちは、間違いなく、そうした社会で生きていかなくてはならない。学校は何ができるか。安全に配慮して、正しいネチケットや情報の取り扱いを積極的に教えるべき。
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「個人情報発信」に関する配慮
1.不必要なプライバシーに関する情報は公開しない。
氏名は、原則として姓を用い、名は使わない。
住所、電話番号、生年月日は発信しない。
2.個人が特定できる写真の公開
保護者の了解をとってから、一般公開(肖像権の尊重)
3.顔と名前が一致するような公開の仕方は禁止。
生徒の写真……個人が特定できないよう配慮。
ただし、教育上の必要に応じて、個人写真を使うことができる。
4.その他……訂正・削除について
今後のネット社会の変貌に柔軟に対応していくことが求められる。 |
課題2「有害情報」への対応
情報の中身
一般社会と同じ
表(文化、芸術、政治、経済)
裏(性、暴力、差別、虐待など)
生徒が学校に有害図書を持ち込むことは防げないが、インターネットは、ブラウザソフトなどで防げる。
アメリカ、クリントン大統領...敗訴(電気通信法) 6月11日1996年
〈何を指導するのか〉
○ネチケット
○情報の取り扱い(著作権)
○機器操作
○トラブルに巻き込まれない方法
〔有害情報についての対処法〕
ア,生徒信頼型
有害情報に対する規制は一切行わない。教師と生徒との信頼関係のみの型。
イ,指導者による後方監視型
生徒の利用を指導者が監視する。台数が少ない場合に有効。
ウ,クライアント規制型
いくつかの市販の「ブラウザー規制ソフト」をインストールして規制する。規制するURLのデータはセンターからダウンロードしておく。
エ,ゲートウェイ規制型
ルータやプロキシといった接続拠点に近いところで規制をかける。URLの更新が必要だが、接続しているすべてのクライアントに対して有効。
オ,イントラネット型
オートパイロットソフトでダウンロードしておき、サーバーに載せて、授業ではローカルサーバーを見に行くようにする。
悪質な情報への対応(本校の実状により下記の3つを採用)
1.「クライアント規制」といって、ブラウザソフト(HP閲用ソフト)により、受信を制御。
2.外部に接続せずに校内のハードディスクに教師が事前にダウンロードして蓄たホームページを閲覧。
3.予め作成した学習用リンク集を活用し、直接対象のホームページへジャンプし、閲覧する。 |
校内内規、職員会議で承認 [1997/06/09]
校内研究会の全体会の後、マルチメディア研究委員会からの提案
『インターネット利用に関する運用の手引き(指針)案』
「ホームページ開設に伴う課題に対する第1次 試案」
今後の課題
LAN導入の予算的な困難さ
メールアドレスを増やすための予算の裏付け(生徒会……生徒会費、パソコン部……部費)
ホームページ作成に当たっての役割分担の明確化
保護者へのPR及び実態調査
写真掲載許可を求める保護者宛フォーム文書、および北中美術館収蔵作品の作者のHP掲載に関する同意依頼書の作成
※「1」および「2」については、予算の関係もあることから将来の課題として、当面、「3」以降に取り組むことにする。
北中美術館、作者(著作権者)へ掲載承諾依頼発送 [1997/06/15]
本校「美術館構想」に協力いただいている絵画・彫刻・書画のおよそ30名の作者へ、作品のホームページでの公開を了承していただくために、依頼書を発送した。著作権の取り扱いに、今後とも配慮していかなくてはならない。
地区別懇談会において
ある保護者から「学校におけるインターネット活用」に関して質問があった。内容は、有害情報に関するものである。
有害雑誌を生徒が学校へ持ち込むことはなかなか阻止できないが、インターネットなら様々な方法で阻止できる。(別紙「指針」参照)
写真掲載、依頼文書発送 [1997/06/18]
校内規定に準じて、写真掲載関連の依頼文書を発送した。
写真掲載を依頼した生徒のうち、3名から承諾が得られなかった。このため、新たに写真の差し替えた。
「長浜荘」、「やわらぎ苑(草津)」まで [1997/06/27]
老人ホーム「長浜荘」へ出かけ、写真に写っている方から同意を得ることができた。職員の方も大変好意的であった。
また、草津の老人社会福祉施設「やわらぎ苑」まで出向き、写真掲載のお願いをする。みなさん、子どもたちの素晴らしい活動の紹介ということで、快く承諾してくださる。
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5.ホームページづくり
「北中ホームページ開設のねらい」
1.学校広報としての役割
2.資料・作品などをデジタルで保存
3.他校への共同学習などの呼びかけ
4.学校コミュニティの呼びかけ
5.その他の教育効果
校歌の一節「光り充つ花の学舎」をテーマにして「楽しい学校の創造」をアピール。
制作に伴う課題
1.何を発信するのか(価値ある内容とは)
2.全校体制の構築や維持管理(更新)
3.著作権・肖像権の取り扱い
4.資金面
価値ある発信とは
- 読む立場の人にとって、何か得るものがあること。
- 学校の雰囲気が良く伝わること。
学校の教育活動が問われる。
- 発信するだけの価値ある教育実践が行われているか。
- 特色ある学校経営がなされているか。
- 「開かれた学校づくり」の実践
Web来訪者の想定
- 教育関係者
- 保護者
- 他校生
- その他(他校の保護者、卒業生、一般の方)
全校体制づくり
- Web管理担当者
全体構成、編集、写真掲載依頼、メール管理、外部への対応など
- Webページ制作者
研究委員会、各学年担当者、生徒(パソコン部員、生徒会本部など)
- 取材・文章作成・写真撮影・編集など
各ページに関連する校務分掌担当者など
今後の展望(職員・生徒のWebページ作成の研修)
第1段階、各学年でリーダーシップをとれる人を中心に「学年のページ」を作成運営する。
第2段階、インターネット活用やホームページ作成の研修会を持つ。
第3段階、生徒会やパソコン部のページを生徒の手で作成させる。(作成できる生徒の育成)
第4段階、学年のページの中に希望する学級からページを作成していく。
最終段階、各学級のページを公開する。
著作権・肖像権の取り扱い
- 著作権表示
- 職員……WebPageの文章などに記名
- 生徒……原則として姓(またはイニシャル)
- その他……著作権者に転載の許可を取り、その旨を表示。
- WebPage……早稲田大学方式
- 肖像権
- 生徒……本人、保護者の承諾を得る。(文書)
- その他……本人に承諾を得る。(文書)
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6.今後の課題
現在の環境でどこまでやれるか。
- 数少なく、古いPCをどう生かすか。
- 教科指導の中に、どう取り入れるか。(年間計画)
- 「受信」から「発信」へ
- 職員の研修をどう図るか。
小学校との連携をどう図るか。
- 積み上げを、どう発展させるか。
- 指導法やソフトの研究・交流
指導記録や教材の保存・蓄積をどう図るか。
- 共同研究体制の構築
現在の環境下での取り組み
- 年間計画の見直し(パソコンやインターネットを活用できる単元の洗い出し)
- パソコンを活用した授業実践
- インターネットのWebPageの活用
- 資料としてプリントアウト
- OHPで提示
- TVコンバーターを使用して提示
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7.終わりに
今回の取り組みを通して、私自身の世界が、インターネットの中だけでなく、大きく広がりつつある。インターネットで知り合った方に直接お出会いするといったことだけでなく、写真掲載に関わって知り合った方や、資料収集に関わってお出会いした方など、まさに、インターネットとは、PCという機械を通しての人と人との結びつき、人間同士のネットワークの構築であることを痛感している。
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Copyright(C)1998 by Hideo Hirobe
Last modified 1998/02/01