国語科 第3学年 古典(発展学習)



「奥の細道を探訪しよう」




若葉塚
(瑞泉院・伊勢市船江町)


<句碑>
    藪椿門は葎の若葉かな
<口語訳>
藪には赤い椿がたくさん咲いている。一方、門には葎が生い茂り、緑の若葉が鮮やかだ。赤と緑との取り合わせは見事に美しい。

<解説>
1688年(貞享5年)2月、芭蕉が伊勢神宮参拝の際、船江町大江寺二畳軒(二乗軒)で詠んだ句。この若葉塚は船江の俳人10数人が協力して建立したものである。
「藪椿」は初案だったらしく、芭蕉句集などには
 芋植ゑて門は葎の若葉かな
となっている。
参考資料
伊藤 洋教授(山梨大学)のwebページ、中川梵教授(松阪大学)「松尾芭蕉と伊勢」、伊勢市教育委員会「伊勢市の文化財NO,9」、伊勢文化舎「伊勢人 2000年春の号」




秋風塚
(常明寺・伊勢市一之木町)


<句碑>
    秋の風伊勢の墓原なほ凄し
<口語訳>
この荒涼とした伊勢の国の墓原に立つと、ただでさえ物寂しい秋の風が、一層すさまじく感じられることだ。

<解説>
外宮の遷宮を見た翌日、芭蕉は月読見宮の鎮座する森の向こう側へ入ってみた。そこには広々とした墓地が続いている。神国伊勢にこのような墓原を見て、異様な感じを受けて詠んだものか。
この句は西行の「吹きわたす風にあはれをひとしめていづくもすごき秋の夕暮」を典拠としている。
常明寺にあるこの「秋風塚」の碑は珍しい楠の化石である。
参考資料
伊藤 洋教授(山梨大学)のwebページ、中川梵教授(松阪大学)「松尾芭蕉と伊勢」、伊勢市教育委員会「伊勢市の文化財NO,9」、伊勢文化舎「伊勢人 2000年春の号」




蘇鉄塚
(法住院・伊勢市浦口町)


<句碑>
    門に入れば蘇鉄に蘭のにほひ哉
<口語訳>
寺の門を入るとかぐわしい香が匂ってきた。見れば大きな蘇鉄がある。きっとあの蘇鉄の香であろう。なんとまるで蘭のような匂いがする。

<解説>
守栄院(1880年廃寺)に名高い蘇鉄があり、芭蕉はその寺を訪ねたのである。「蘇鉄塚」は芭蕉の100回忌に夜雨亭二曲らが守栄院に建立。1880年(明治13年)に廃寺となって、浦口町の法住院に移された。
参考資料
伊藤 洋教授(山梨大学)のwebページ、中川梵教授(松阪大学)「松尾芭蕉と伊勢」、伊勢市教育委員会「伊勢市の文化財NO,9」、伊勢文化舎「伊勢人 2000年春の号」




豊宮崎文庫跡の句碑
(豊宮崎文庫跡・伊勢市岡本町)


<句碑>
    道のべの木槿は馬に食はれけり
<口語訳>
馬に揺られて旅をしていると、道端に咲く木槿が目に入った。その途端、馬がパクリと食べてしまった。

<解説>
芭蕉は馬の上。前方には木槿が咲いている。芭蕉の目は木槿に吸い付けられる。世界にはただ一輪の木槿の花しかない。とそのとき、それまで芭蕉の視界には全くなかった馬の長い口がひょこっと現れて、瞬間、木槿の花が消えていた。消え去った木槿の鮮やかな白さが残像として前よりも強烈にまぶたに映っている。
参考資料
伊藤 洋教授(山梨大学)のwebページ、中川梵教授(松阪大学)「松尾芭蕉と伊勢」、伊勢市教育委員会「伊勢市の文化財NO,9」、伊勢文化舎「伊勢人 2000年春の号」




何木塚
(霊祭講社・伊勢市岡本町)


<碑文>
    何の木の花とはしらずにほひかな
<口語訳>
この神宮の神域からあふれてくる神秘的な匂いは、いったい何の木の匂いだろうか。こうしてたたずんでいると何とはなしに神のありがたさが身にしみて感じられることだ。

<解説>
1688年(貞享5年)2月4日、芭蕉が伊勢神宮外宮に参拝したとき、西行の「なにごとのおはしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」(『山家集』)を偲び、その感懐を述べた句である。
参考資料
伊藤 洋教授(山梨大学)のwebページ、中川梵教授(松阪大学)「松尾芭蕉と伊勢」、伊勢市教育委員会「伊勢市の文化財NO,9」、伊勢文化舎「伊勢人 2000年春の号」



関連資料 目次へ

Last Update 2001/01/21.
First Drafted on 2001/01/21.
Copyright(C)2001 Hideo Hirobe