今日の患者さんはドイツ人のポロさんです、病気(故障)や怪我(事故)ではありません。エンジンスターターの取り付けです。
2008年の9NBUDで、現行の一つ前のモデルです。


今回取り付けするのは、ユピテル製の双方向通信モデルで、始動後室内温度を感知して、暖機状況をリモコンに液晶表示する事が出来ます。
リモコンドアロックなどのオプション機能がありますが、今回標準機能のみの作動での取り付け依頼です。


国産車はこの様なワンタッチで取り付けできるハーネス(配線セット)が別売りされていますが、輸入車は設定がないので・・・。


このように必要な部分だけブッツリと切断してコレだけを使います。要らない(合わない)処はポイ。早い話輸入車の場合は以下自作と言う事になります。


その他に、このクルマはイモビライザーなる盗難防止装置が付いているので、スターターを使って始動する時に一時的に解除する装置も取り付けしなければなりません。イモビライザー解除ユニットです。


このままだと作業しづらいので・・・。


アンダーダッシュなどを外します、暗くて分かりにくいですね。


 えっ!?こんなところにも?と思うところにビスがあって、初めて外す時は苦労します。2回目3回目でも忘れているので苦労します(^.^)


それで、下にもぐりこんで・・・、腰の悪い私には辛い作業です。


イグニッションスイッチ関係の配線を探り出します。
この黒い束の中に隠れています、ぐるぐる巻きのテーピングを剥がすと・・・。


どばっと、配線群が出現しました。
イグニッションスイッチ以外の配線も多数集合していて、割り出しに手間が掛かるが、この辺りが作業しやすそうです。
(この時点ではハンドルを外す予定がなかったので)


この中から、スターターの取り付けに必要な配線をテストランプを使って探りだします。キースイッチ裏の配線は全部で8本あり、ここで必要なのはABCFGの5本です。スイッチは2系統に分かれていて、詳細は下記の通りです。

@-@生線@(常時12Vが来ていて、@系統の各配線に電源供給するための源の線です)

@-AIG1(キーを一段回した時に電源供給する線)

@-BST1(もう一段回して、セルモーターを回す時の燃料ポンプ駆動等の電源線)

@-CACC(オーディオなどに電源供給する線)

@-Dキーを抜いた事を示す信号線

A-E生線A(常時12Vが来ていて、A系統の各配線に電源供給するための源の線です)

A-FIG2(IG1と同じですが、ST位置では一時遮断します、ヒーターなど)

A-GST2(セルモーターを回すための電源線)


各配線の割り出しが出来たら、コードの被服を部分的にカッターナイフでむきます。中の銅線にダメージを与えないよう慎重に作業します(ボケてますが赤い線がむけてます)


むいた配線に、スターターのジャンクションユニットにつなげるための配線(ABCFG)を間違わないように巻きつけ・・・。(黒い線に黄色い線が巻きつけれれています)


ハンダを流して・・・。しっかりテーピング。
ワンタッチで分岐線を取り付ける部材もあるが、アレは接触不良の元なので私は絶対に使わないです。


一本一本慎重に割り込み分岐配線を接続し・・・。


5本の結線が終了したらグルグル巻きにハーネステープで元に戻します。ジャンクションへの配線はその他に電源線とアース線、ブレーキ信号線があり、合計8本。


次はイモビライザー解除の関係。
イモビライザーの信号チップが内臓されているキーを一本使用します。
キーは普段使うメインキー(ドアロックスイッチ付き)と、スペアキーを二本。
新車購入時通常スペアキーは一本なので、コレを使ってしまうとイザ!って言うときにスペアキーが無い!では困るのでもう一本、部品として注文し、3本同一データに書き込み直してもらいます。


イモビライザー解除ユニットの中にキーを・・・。


入れます。
イモビライザー解除ユニットの配線をジャンクションユニットに接続します。


エンジンスターターで始動しようとした時に「適正なキーがありますよ〜♪泥棒ではないですよ〜(^.^)」って言う信号がイモビ解除ユニットから出力されます。
その信号を、キーシリンダーの周囲に巻きつけたリング状エナメル線を使って擬似させ、「適正チップの入ったキーがある」とクルマに嘘をつきます(笑)


とりあえずこんな感じで仮組完了したので、ポジション検出をして、更にIG2出力や、キー飛び込み信号解除などの初期設定をして試運転します。


キーシリンダーに巻く リング状エナメル線が外に出ていては格好が悪いので、コラムシェルカバーを外して、内臓する事に・・・。

リングを巻いて瞬間接着剤で固定。それにはエアバッグと共にハンドルを外す事になります、エアバッグの誤爆と、エラー信号の投入でチェックランプを点灯させないように慎重に作業。

このリングの位置がまた微妙で、このポロさんは何処の位置でも感知してくれましたが、以前に作業したパサートさんは、カバーの中に入れて体裁良くしようとしたが、コレが裏目に出て奥にセットすると認識せずに始動できません。已む無くカバーの外側に・・・。カバーの取り外しが無駄作業になってしまいました。


ジャンクションユニット、イモビ解除ユニット、配線を束ねて固定します。

ブレーキペダル、ステアリングシャフト、チルトハンドルなど可動部に干渉しないように確かめながらの作業です。このクルマはオートマチック車なので、クラッチペダル機構が無く左足元空間があるので、その辺に取り付けました。


ハンドル、エアバッグ、 アンダーダッシュ、コンソールなどを全て組み戻し、配線カスなどを清掃し、全ての電装品の作動を確認し完了。

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