2002.6.28 坂口厚生労働大臣が行ったアスベスト禁止発表に対し、石綿対策全国連絡会議は次のような声明を発表しました。 →English 2002年6月28日 アスベスト禁止に関する坂口厚生労働大臣の 本日(6月28日)、坂口力厚生労働大臣は、「『アスベスト禁止措置に関する質問主意書』の答弁に係る閣議後記者会見」において、「白石綿についても、国民の安全、社会経済にとって石綿製品の使用がやむを得ないものを除き、原則として、使用等を禁止する方向で、検討を進め」るという方針を明らかにした。 石綿対策全国連では、15年前から―1987年の設立以来の最優先課題であり、あらためてこの4月にも厚生労働省に要望し、現在、経済産業省、国土交通省、環境省に対しても要望している、「アスベスト全面禁止の早期実現」に向けて、一歩踏み出したものとして歓迎する。 何よりも、一日も早く、具体的に禁止措置を実行することを強く要望する。EU(欧州連合)の2005年禁止決定は、唯一、「電解装置用の隔膜」へのクリソタイルの使用を2008年までに限って除外措置として認めるものであって、禁止措置からの除外や猶予措置を不合理に拡大したり、それら措置の検討にいたずらに時間を費やして、禁止の実行が遅れるようなことがあってはならない。とりわけ、クリソタイルの用途のほとんど(90%以上)を占める建材に関しては、代替品が存在しないものはないと言ってよく、禁止から除外されるものがあってはならない。 日本におけるアスベスト被害はすでに顕在化しつつあり、すでに毎年千人以上がアスベストによって死亡しているものと考えられる。最近発表された将来予測研究によると、男性の悪性胸膜中皮腫による死亡が、今後30年間に58,800人、40年間では103,000人と推測されている。胸膜以外の中皮腫、女性、そして肺がん等を含めたアスベスト被害の全体像はこれに数倍する。しかも、この予測は、過去のアスベスト使用の結果であって、本日直ちにアスベスト全面禁止を実行したとしても、避けられない現実なのである。 「アスベスト全面禁止の早期実現」は問題解決への最初のステップである。以下の2点を柱とする様々な問題に具体的に対処していくために、政府が強力な指導力を発揮して、関係省庁が垣根を越えて包括的な取り組みを行うべきことをあらためて要望する。 @ 労働者、住民の健康の確保という観点から、増加が予想されるアスベスト健康被害に対して、実態把握、診断、治療、被災者・家族の物心両面にわたるケア、補償等、総合的な対策を確立すること。 A 労働者、住民、環境の防護という観点からの、すでに建築物等に使用されてしまっている既存アスベストの把握、管理から解体除去、廃棄に至るまでの一貫した総合的な対策を確立すること。
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