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労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案に対する意見


2003年5月

                                       2003年5月
厚生労働省御中
                             石綿対策全国連絡会議
                             代表委員 加藤 忠由 (全建総連委員長)
                             竹花 恭二 (自治労副委員長)
                             富山 洋子 (日本消費者連盟運営委員長)
                             広瀬 弘忠 (東京女子大学教授)
                             担当: 事務局長・古谷杉郎(全国安全センター事務局長)
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  労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案に対する意見


「製造、輸入、使用等が禁止される物として、石綿を含有する製品のうち、押出成形セメント板、住宅屋根用化粧スレート、繊維強化セメント板、窯業系サイディング、石綿セメント円筒、断熱材用接着剤、ブレーキ及びクラッチに使用される摩擦材を追加するものとすること。」という「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案概要」(http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/p0425-1.html)に対する意見

1. 7種類の製品についてのみの禁止とするのではなく、使用等が許される製品を除き、原則全面禁止とすること。

今回の提案は、昨年12月12日に結果が公表された「石綿及び同含有製品の代替化等の調査」等により、現在なお石綿含有製品が存在している10種類の製品(建材5製品、非建材5製品)について、代替が困難な石綿製品の範囲を絞り込み、今後の非石綿製品への代替可能性等を検討した「石綿の代替化等検討委員会報告書」(4月4日公表)において、7種類の製品について「代替化は可能」とされたことを踏まえてなされたものと考えられる。

一方で、今回の提案に至る検討が、「国民の安全、社会経済にとって石綿製品の使用がやむを得ないものを除き、原則として、使用等を禁止する方向」で進められたことは、厚生労働省自身によって表明されている。したがって、提案の本来の趣旨も、7種類の製品についてのみの禁止ではなく、現に石綿含有製品が存在しているもののうち、完全に「代替化は可能」とされなかった3種類の製品を除き、すべての石綿含有製品の使用等を禁止するということにあるものと理解されるところである。
しかし、残念ながら、提案は、この本来の趣旨を反映するという意味では、不十分である。

今回の調査・検討からもれているかもしれない現存の石綿含有製品、過去に存在しすでに代替化等がなされている3,000種以上の石綿含有製品、石綿その物(原綿・バルク)、及び今後新たに登場するかもしれない石綿含有製品の使用等を確実に禁止するために、使用等が許される製品を除き、原則全面禁止とすべきである。

2. 今回の調査・検討からもれているかもしれない現存の石綿含有製品の使用等を禁止すること。


今回の提案に至る調査・検討によって、現在なお存在している石綿含有製品は網羅されているものと信じたい。それでも、今回検討された10種類の製品以外に、調査・検討の対象からもれた石綿含有製品はあるかもしれない。しかし、仮にあったとしても、それが「国民の安全、社会経済にとって石綿製品の使用がやむを得ないもの」とは、到底考え難いから、そのような石綿含有製品が仮に存在していたとしても、「野放し」にされることがないように、それらの石綿含有製品の禁止を確保すべきである。
念には念を入れるということであれば、今回調査・検討の対象とされた10種類の石綿含有製品以外に、現在なお使用等しなければならない石綿含有製品が存在する可能性があるのであれば、「石綿製品の使用がやむを得ない」とする科学的根拠等を示して、意見の提出を求めるというプロセスを、パブリック・コメント手続等によって実施すればよいものと考えられる。

3. 過去に存在しすでに代替化等がなされている3,000種以上の石綿含有製品の使用等を禁止すること。

石綿は、「工業原料として広範多岐に使用され、その製品は生活のすみずみにまで及んでいるといって過言ではない。製品の種類は少なくとも3,000以上あった」と言われている(環境庁「建築物解体等に係るアスベスト飛散防止対策マニュアル」)。
過去に現実に存在したが、すでに代替化等がなされたことによって存在しなくなった石綿含有製品の種類が「少なくとも3,000以上」あったと考えられる。これらの製品については、現に代替化等が可能であったこと、現時点で使用等する必要性がないものと考えられるから、これらの石綿含有製品の使用等を禁止すべきである。

4. 石綿その物(原綿・バルク)の使用等を禁止すること。

特定の石綿含有製品の使用等のみの禁止ということだと、石綿その物(原綿・バルク)を輸入すること自体はまったく規制を受けないことになる。こうして輸入された石綿は、使用等を禁止されていない石綿含有製品を製造するために使用等されるばかりではなく、石綿その物(原綿・バルク)のかたちで使用等される可能性がある。現実に、産業廃棄物処理場で、原綿をいずこかから入手して、重金属等の吸着剤として使われている例があるなどとも伝えられている。
石綿その物(原綿・バルク)のかたちでの使用が、石綿繊維の飛散性がきわめて高く、人間・環境への有害性も大きいことは自明である。ましてや、「国民の安全、社会経済にとって石綿製品の使用がやむを得ないもの」とは到底考えられないことから、石綿その物(原綿・バルク)のかたちでの使用等を禁止すべきである。

5. 今後新たに登場するかもしれない石綿含有製品の使用等を禁止すること。


過去及び現在存在したことのない製品用途において石綿含有製品を使用等することは、「国民の安全、社会経済にとって石綿製品の使用がやむを得ないもの」とは、到底考え難い。
「石綿の代替化等検討委員会報告書」でもふれられているように、アメリカは、現時点においては、今なお一定の製品用途への石綿の使用等を許容しているが、わざわざ「新たな用途への使用」を禁止することを規定している。現在存在していない製品用途に、石綿が使用等されることはないだろうと楽観視することは危険である。

6. 吹き付け石綿を全面的に禁止すること。


吹き付け石綿は、諸外国においても禁止の最優先対象であり、また、わが国においても、飛散性の高い、より有害なものとして、労働安全衛生法令以外の大気汚染防止法、廃棄物処理法等の他の法令によっても、既存の吹き付け石綿への対処に関して、規制されているところである。
労働安全衛生法令では、特定化学物質等障害予防規則第38条の7によって、吹き付け石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く)は「原則禁止」されていることになっている。しかし、同条自体は、作業場所の隔離と個人保護具・衣の使用等の措置を講じた場合のほか、石綿吹き付け作業に労働者を従事させてはならない、と規定しているもので、条文上は、措置を講じれば現在もなお可能である。

これは、1975年当時、「石綿等の吹き付けによらなければ建築基準法に基づく鉄骨等の耐熱性能を確保することができない」場合があったことによると説明され、現実には、関連業界によると、吹き付け石綿は1975年以降、石綿含有吹き付けロックウールも1980年以降は、使用されていないことになっている。
「現実には使用されていない」ことは、業界以外の第三者によって公正に確認された情報ではないことは別にしても、法令上、製品としての吹き付け石綿等の使用等も、石綿を吹き付ける作業も、「禁止」はされておらず、その状態は、今回の提案によっても解消されない。
吹き付け石綿も禁止しないで、「国民の安全、社会経済にとって石綿製品の使用がやむを得ないものを除き、原則として、使用等を禁止」したとは到底言えないのではなかろうか。吹き付け石綿を全面的に禁止すべきである。

7. 石綿含有建材の使用等を全面禁止すること。


「石綿はその9割以上が建材製品に使用され」(石綿の代替化等検討委員会報告書)ているだけでなく、現在及び今後、アスベスト関連疾患のリスクが最も高くなると考えられる集団が建設労働者であること、労働者だけでなく住民・環境にも大きな影響を及ぼすものであることから、石綿含有建材の使用等を禁止することは重要である。
今回の提案は、5種類の製品の石綿含有建材がなお存在していることが確認され、5種類すべてについて石綿含有製品の使用等を禁止するという趣旨であると理解している。

また、「石綿の代替化等検討委員会報告書」が、第4部「石綿含有建材の代替可能性について」のなかで、5種類の石綿含有製品の個々について検討した後に、あらためて「6. 石綿含有建材の代替可能性について」という項目を立てて、「石綿を含有する建材製品の使用は安全確保等の点から不可欠なものではなく、かつ、技術的に非石綿製品への代替化が可能であると考えられる」と総括していることは、5種類の製品のみに限定せずに、すべての石綿含有建材の「代替化は可能」と判断しているものと読むことができる。
しかし、既述の意見と同様に、過去に存在しすでに代替化等がなされている石綿含有建材、今後新たに登場するかもしれない石綿含有建材製品、及び、例えば原綿を直接吹き付けたり、建設関連の塗料等に混入して使用する等、石綿その物(原綿・バルク)の使用等を確実に禁止するために、石綿含有建材の使用等を全面禁止すべきである。

8. 「耐熱・電気絶縁板」、「ジョイントシート・シール材」以外の非建材の石綿含有製品の使用等を禁止すること。

提案に至る調査・検討のなかで存在が確認され、なおかつ完全に「代替化は可能」とされなかった製品の種類は、「耐熱・電気絶縁板」、「ジョイントシート・シール材」の2製品のみである。
したがって、既述の意見と同様に、「耐熱・電気絶縁板」、「ジョイントシート・シール材」以外の非建材の石綿含有製品の使用等を禁止すべきである。

9. 「耐熱・電気絶縁板」、「ジョイントシート・シール材」について、温度・圧力・使用有害物等の「使用限界」及び/または原子力発電所内の特定用途等の「使用される機器の種類等」から「代替困難」の要件を特定等することによって、使用等が認められる石綿含有製品の範囲を絞り込み、それ以外の石綿含有製品の使用等を禁止するとともに、使用等が認められる石綿含有製品については、その期間を限定すること。


「石綿の代替化等検討委員会報告書」は、「耐熱・電気絶縁板」、「ジョイントシート・シール材」の2種類の製品について、「代替化が可能なものがあると考えられるが、一部のものについては、安全確保の観点から石綿の使用が必要とされており、現時点で代替可能なものと代替困難なものを温度等の使用限界や使用される機器の種類等から明確に特定することは困難である」、と結論づけた。
これは、「代替が困難な石綿製品の範囲を絞り込む」という同委員会に与えられた本来の任務に照らして、まったく不本意な結果と言わざるを得ない。

同報告書によっても、「耐熱・電気絶縁板」、「ジョイントシート・シール材」という同じ製品範疇の製品であっても、「代替化は可能」な製品がかなり存在していることは確認されているのであるから、「代替化は可能」な石綿含有「耐熱・電気絶縁板」、石綿含有「ジョイントシート・シール材」は禁止すべきである。
同報告書では、本文中で、「耐熱・電気絶縁板」、「ジョイントシート・シール材」については、一定の範囲について、イギリスあるいはフランスにおいても「施行時期を猶予された」旨の指摘もみられる。しかし、同報告書資料4「海外の石綿の使用禁止措置の比較」をみてもわかるように、フランスではいずれの猶予措置も2002年1月1日までには廃止され、イギリスでも2005年1月1日までには廃止されることになっている。

EU(欧州連合)では、例外は、実質的に「既存の電解設備用のダイアフラム(耐用年数終了又は適当な代替物が入手できるまで)」のただひとつのみであるが、これも2008年1月1日までに行われる見直し措置によって、例外が廃止されることが見込まれている。業界関係者によると、日本においては、電解設備用のダイアフラムについては、非石綿製品に代替化済みとのことであるから、この点は問題にならない。
既存の特定の用途を指定してアスベストの使用を容認しているアメリカでも、つい先ごろ、環境保護庁が委託した調査報告書が、アスベストの全面禁止を勧告している。

EUやアメリカ等で「代替化は可能」とされているにもかかわらず、日本でだけ、代替化ができない石綿含有製品が存在するということの合理的な説明が十分になされているとは到底言い難い。
仮に「耐熱・電気絶縁板」、「ジョイントシート・シール材」について、例外―猶予措置を設けるとしても、合理的に説明される「使用限界」及び/または「使用される機器の種類」等を特定等することによって、使用等が認められる石綿含有製品の範囲を絞り込み、それ以外の石綿含有製品の使用等を禁止するとともに、使用等が認められる石綿含有製品については、その期間を限定すべきである。

10. 「石綿布、石綿糸等」について、意見9による要件を満たす「シール材として使用されるか、二次的にシール材等に加工される」石綿含有製品に限定して、それ以外の石綿含有製品の使用等を禁止するとともに、使用等が認められる石綿含有製品については、その期間を限定すること。


「石綿の代替化等検討委員会報告書」は、「石綿布、石綿糸等」について、「それら製品がシール材として使用されるか、二次的にシール材等に加工されることから、シール材等の代替可能性に連動すると考えられる」、と結論づけた。
しかし、「石綿布、石綿糸等」は、仮に現時点における主要な用途がそのようなものであったとしても、およそあらゆる用途に使用できるものであり、現実に過去及び現在も使用されているのが実態である。

また、貿易統計によると、その90%以上が中国、韓国等のアジア諸国から輸入され、決して減少傾向にあるとは言えず、増加傾向を示す場合すらある。それら諸国の生産企業が、今後の日本への輸出の増加を期待し、見込んでいるという話もおりにふれて伝わっており、また、用途がシール材のみに集中しているという実態と言えるのかどうかも定かではない。
「石綿布、石綿糸等」も、石綿繊維の飛散性、それゆえに有害性の高い製品であり、また、ほとんどの用途は「国民の安全、社会経済にとって石綿製品の使用がやむを得ないもの」には該当しない。したがって、仮に例外―猶予措置を認めるとしても、より一層要件等を限定する必要がある。

「石綿布、石綿糸等」について、9による要件を満たす「シール材として使用されるか、二次的にシール材等に加工される」石綿含有製品に限定して、それ以外の石綿含有製品の使用等を禁止するとともに、使用等が認められる石綿含有製品については、その期間を限定すべきである。

11. 禁止は、すべての「石綿」を対象とすることとし、現行労働安全衛生法施行令第16条第1項の第4号「アモサイト」と第5号「クロシドライト」を統合して、新たに「石綿」と規定すること。


今回の提案は、労働安全衛生法第55条の製造、輸入、使用等の禁止条項を適用する「物」の範囲を定める、労働安全衛生法施行令第16条第1項を改正することを予定しているものと考える。すでに同項の第4号でアモサイト(茶石綿)、第5号でクロシドライト(青石綿)が規定されているところである。
したがって、条文上は現在使用等が禁止されていないのは「石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く)」ということになるが、他方で、現在、実際に輸入・流通等している「石綿」はクリソタイル(白石綿)のみであるともされているところである。
しかし、石綿の種類としては、アモサイト、クロシドライト、クリソタイル以外にも、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライト等がある。したがって、具体的な条文化にあたっては、クリソタイルのみに限定して追加するのではなく、すべての種類の「石綿」として規定すべきである。

提案が「クリソタイル」ではなく「石綿」という語を用いているのは、同じ趣旨であると理解してはいるが、念を押す次第である。
具体的には、「第4号及び第5号を除く一定の石綿製品」等といった新たな項を加えて対処するのではなく、第4号「アモサイト」と第5号「クロシドライト」を統合して、新たに「石綿」と規定したうえで、意見1〜10に述べた趣旨の例外―猶予措置を規定するようにすべきである。

12. 0.1%を超えて含有する製品を禁止の対象とすることとし、現行労働安全衛生法施行令第16条第1項第10号もそのように改正すること。


また、同項の第10号は、「第2号から第8号までに掲げる物をその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物」と規定している。
今回の提案にある「石綿含有製品」も、「石綿をその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物」のことを意図しているものと考える。
しかし、これは、含有率1%以下の石綿含有製品の使用等を認めることになるという一般的意味以上に、問題がある。なぜなら、環境省と経済産業省、それに厚生労働省自身も一部を所掌する化学物質管理促進法では、石綿を含めた発がん性の化学物質に対しては、対象化学物質を0.1質量%以上含有する製品を規制の対象としていることとの、明らかな齟齬が生じるからである。化学物質管理促進法は、PRTR(有害化学物質排出・移動登録)及びMSDS(化学物質等安全データシート)という2つの化学物質管理手段を提供しているが、いずれも対象製品の要件は、発がん物質については「0.1質量%以上含有」である。

一方、労働安全衛生法第57条でも、MSDS(化学物質等安全データシート)について規定しているが、こちらの対象製品の要件は、「使用等の禁止」の場合と同様、「1重量%超含有」である。石綿は、2つの法律によるMSDSのどちらの対象にも含まれている。
労働安全衛生法令の「1重量%超含有」という要件は、これまで、1%以下であれば積極的に規制の対象から外すという趣旨ではなく、対象化学物質が含まれているかどうかを検出することのできる限界値という意味である、と説明されてきたのではないかと理解しているところである。
そのような趣旨であるとすれば、石綿に限らず、発がん物質については、化学物質管理促進法に合わせて、「0.1%以上含有」するものを含有製品として取り扱うようにすべきである。

ちなみにイギリスの労働組合会議(TUC)が求めている「最低制限レベル」は0.05%である。
労働安全衛生法令の枠組みのなかでだけ「禁止」されたと言っても、「0.1%以上1%以下」の石綿含有製品が、現に化学物質管理促進法のもとでPRTRやMSDS等の規制の対象となり続けているという状況が続いたのでは、国際的にも国内的にも、「国民の安全、社会経済にとって石綿製品の使用がやむを得ないものを除き、原則として、使用等を禁止」が実現したとは、到底言い難い。

13. 製品によって禁止の実施時期に差を設けずに、遅くとも2005年1月1日までに禁止を実施すること。
今回の提案では、禁止の実施時期についてはふれられていないが、一日も早く実施するべきである。可及的速やかに労働安全衛生法施行令の改正を行うことはもとより、施行までの間に周知期間を設けたとしても、どんなに遅くともEUがデッドラインとして設定している、2005年1月1日までに禁止を実施すべきである。


また、「石綿の代替化等検討委員会報告書」によっても、製品の種類によって異なる禁止の実施時期を設定しなければならないような、合理的な理由は示されておらず、製品によって禁止の実施時期に差を設けないようにすべきである。

14. 禁止が猶予される石綿含有製品については、法令上の規定及び行政指導等の両面において、代替化を促進させる措置をとること。


「石綿の代替化等検討委員会報告書」は、第6部「代替化の促進について」のなかで、石綿製品メーカー及びメーカー団体、石綿製品ユーザー及びユーザー団体、及び国、各々が代替化の促進に努めるべきことを勧告している。
代替化促進の努力義務等を法令上規定することが望ましい。

15. 禁止実施から3年ごとの見直しを規定すること。


禁止が猶予される石綿含有製品が残ることになるとすれば、すでに述べたように、猶予措置の期間を限定すべきである。
それもなされなかった場合、また、なされた場合であっても、代替化技術の発展等はまさに日進月歩であることを踏まえて、禁止が猶予される石綿含有製品の範囲及び期限を、3年ごとに見直すこととすべきであり、そのことを法令上規定すべきである。

16. 石綿含有製品製造の海外移転等を阻止する実効性のある施策を講じること。

日本国内で使用等を禁止された石綿含有製品の製造を日本企業が海外に移転させたり、石綿・石綿含有製品の第三国への輸出で利潤をあげたりすることを放置するならば、今回の改正の趣旨に反するばかりか、新たな貿易・社会紛争を惹起しかねない。労働安全衛生法施行令の所管する事項ではないかもしれないが、国は、この面における実効性のある施策を講じるべきである。



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