アスベスト対策情報トップへ

対策情報 アスベスト対策情報

アスベスト対策情報 No.27
ホットラインに73件

(2000年2月1日発行)




3年目のホットラインに73件の相談


じん肺・アスベスト被災者救済基金
西田隆重
(社)神奈川労災職業病センター事務局長



また同じ人間ですみません。横須賀のじん肺・アスベスト被災者救済基金の事務局長が、今日所用で来れませんので、私もこの基金の事務局に所属しているもので代行して報告させていただきます。

横須賀では先ほどの報告がありましたように、じん肺裁判の流れがずっと続いているわけです。基地の裁判のちょっと前には、住友重機機械工業の浦賀ドックを退職された被災者の方が裁判を提訴し、勝利的な和解の解決をみました(アスベスト対策情報No.22等参照)。横須賀には、海軍基地があり、あるいは造船所があるということで、造船の街なわけですね。船には非常にアスベストが使われているということで、退職後にじん肺やアスベスト疾患の被害が出てくるという条件があったわけです。

そういう裁判を軸としてきた取り組みを、地域の中で何とかして継続して生かしていきたい、という思いが前からありました。それには、何らかのかたちでの掘り起こしが必要だろうということで、ちょうど3年前から「じん肺・アスベストホットライン」というものを、毎年7月頃、3日間連続で、しかも新聞に大きな広告を出してやりました。当初はこれほど相談が来ると思ってはいなかったんですが、第1回が何と百件を超える相談がありました。もちろん、地元横須賀からの相談が多かったんですけれども、それにとどまらず、東京やあるいは埼玉からも相談が来るという反響がありました。やはりこれを続けていかなければいけない、ということでこれまでやってきたわけです。

そのなかで、実は基地の退職者の家族の方からありまして、裁判に至った経緯もあるわけですけども、やはり、労災にまだ認定されていない、あるいはじん肺の治療も受けられていない方が非常に多かったという印象を非常に強くもっています。じん肺の治療が受けられない方については、私どもの提携している医療機関やあるいはじん肺を診れるお医者さんのいる医療機関に紹介をしたりしています。

それだけにとどまらず、補償のこともやはり同時にやっていかなければならない。じん肺の管理区分決定の申請や、あるいはじん肺の労災の申請等のお手伝いもさせていただきました。さらに、さきほどお話しした裁判の結果、住友重機機械工業と全造船機械労働組合住友追浜・浦賀分会との間で協定を結び、じん肺の退職後の上積み補償を勝ち取りました。この協定によって、労災保険給付だけではなくて、上積み補償もさせるという動きも、もう少し地域に広げていきたいということで、今回、米海軍を相手とした基地の退職者の損害賠償請求や裁判につながってきたという経緯があります。

ちょうど今年3回目のじん肺・アスベストホットラインをやりました。資料に載っておりますけど(次頁参照)、今年も3日間で約73件の相談がありました。もちろん、これは裁判の提訴に合わせてマスコミに流して行った関係もありまして、地元横須賀の、しかも原告たちと一緒に働いていた方たちの相談も非常に多かったわけですが、それだけにとどまらず、炭坑を離職された方やトンネル工事に従事された方たちの相談も今年は非常に多くありました。さらに、横須賀だけではなくてですね、神奈川県下、あるいは東京までひろがっているわけですけれども、どういう医療機関に通ったらいいかという相談が非常に目立ちました。そういう意味では、まだまだじん肺やアスベスト疾患をきちっと診てくれる医療機関やその体制ができていない。また、その労災の補償もまだまだされていない。また、労災で補償されてその後、上積み補償されるようなことも全くなされていない、というような実態が明らかになっています。

3年間基金の活動を続けてきたわけですけれども、やはりこれが横須賀だけにとどまらず、神奈川、あるいは関東にひろがっていかなくてはいけないだろう。当然その中でアスベストに関連したじん肺や疾患を持ってらっしゃる方も非常に多いわけですから、そういう運動を全国の皆さんと一緒に続けていかなければならないと思っています。

そういったホットラインやじん肺・アスベスト被害と取り組む様々な運動があちこちできてくれば、アスベストに対する規制の動きもまた違ってくるかと思います。今後は横須賀からもう少しこちらの方に出てきて、あるいは全国の仲間とともにがんばっていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。



7月8日から10日までの3日間、じん肺・アスベスト被災者救済基金が、労災職業病センターや全造船機械住友重機追浜・浦賀分会などの協力を得て、じん肺・アスベスト健康被害の電話相談を行った。

7月7日には、在日米軍横須賀基地に勤務していた元従業員ら16人が、国に損害賠償を求める訴えを横浜地裁横須賀支部に起こし、大きな注目を集めたこともあり、電話相談にNHKだけでなくTVKのテレビニュース取材が入るなど、関心が集まった。朝日、毎日、読売各紙の神奈川県版と神奈川新聞に突きだし広告も掲載し、県下広くじん肺やアスベスト健康被害に苦しむ被災者の電話相談に応じた。昨年に続く3回目のホットラインとなり、埼玉、千葉、茨城、栃木、福島の各県など関東一円から相談が寄せられ、3日間で、一昨年の100件をこえる相談には及ばなかったが、昨年の56件を大きくこえる73件の相談が寄せられ、その後の相談を合わせると、76件の相談件数となった。

● 県内各地から相談

地域的に見ると、横須賀市内からの相談が30%(23件)で、昨年の18%に比べるとかなり増加したが、一昨年の43%には追いつかない。

横浜市内からの相談が13件、その他の県内からの相談が24件。合わせると49%が横須賀を除く県内からの相談であった。関東一円の各県からの相談は14%(11件)寄せられている。

横須賀の相談が昨年に比べ増加したのは、米軍基地退職者の裁判のニュースが大々的に報道され、地域の人々の大きな注目を集め、米軍基地関連の人たちの相談が激増したためである。また県内からの相談では、かつて炭坑に勤めていた人たちや、トンネル工事に従事していた人たちからの相談が目立った。

● 現役労働者にもアスベストの不安が

60歳以上が圧倒的(75%)であるが、年令不明の中に明らかに現役労働者と考えられる人からのアスベストに関する相談が6件もあり、アスベストに関する危険性の認識が高まってきていることを示している。

● 米軍基地OBからの相談激増

造船関係は住友重機械5件、その他の造船所2 件で、全体の10%であるが、米軍基地関係者の相談が、昨年は4件だったものが、23件30%に激増した。テレビニュースで知り合いの顔があったので、自分ももしかしたらという相談もあり、裁判提訴の影響が顕著にあらわれた。

炭坑離職者の相談が8件(11%)寄せられ、離職後京浜工業地帯に移ってきた人たちの健康被害が表面化してきたことをうかがわせる。他にもトンネル工事に従事していた人の相談が6件(8%)あり、被害がまだまだ埋もれていることが明らかである。

他に、不明(6件)の中でもアスベストボードを切っているという相談もあり、建材や建築に関連したものが注目される。

米軍基地を除く造船関係が減少しているが、かつて京浜地区には大きな造船所が集中していたことを考えると、横須賀地区以外の造船労働者の掘り起こしがまだまだという感がある。しかし、業種的には自動車関連や機械製造関連など幅広い業種から相談が寄せられており、じん肺やアスベストによる健康被害が広範囲に広がっていることを示している。

● 肺がんの相談が増加

じん肺と診断されている人の相談が37%(28件)で圧倒的に多いが、管理区分の認定を受けているのは7件(管理区分3が2件、2が5件)にすぎず、病院でじん肺と診断されても管理区分申請をしていないケースがほとんどである。息切れ、せき、たん、胸の痛みを訴えた相談が21件(28%)と多く、粉じん職場に働きながらじん肺健診を受けたことがなく、せきやたんが多く息切れがするので心配だという相談もかなりある。

肺がんが7件(9%)、中皮腫が3件(4%)と昨年に比べて大幅に増加した。肺がんや悪性中皮腫で療養中の家族や本人からの相談もあり、遺族補償の相談も5件あったが、内2件はすでに時効の5年を経過したものであった。

● 医療相談が半数以上

労災相談を含めた医療相談が41件(54%)で、じん肺を診てもらえる医療機関を紹介してほしいという相談がかなり多い。

遺族補償や管理区分を含めた労災申請に関する相談は26件(34%)あり、他に米軍基地の裁判に参加したいがという相談も1件あった。また、建物に使われているアスベストや、アスベストを含んだ粉じん作業に関する相談も6件寄せられた。

● 相談への対応

対策としては、医療機関を紹介したものが57%で、その診断結果によって対策を立てるものが大部分である。他に、自宅訪問して対応するもの1件、後日相談を受けることにしたもの6件、主治医と相談してもらって様子を見るもの6件、安全センターを紹介したもの4件、粉じん対策をアドバイスしたもの 2件、時効で対策を立てられないもの2件、その他12件である。

● テレビニュースが圧倒的

電話相談があることを知ったのはテレビのニュースが圧倒的で、民放を含めて39%(30件)であった。新聞は各紙に意見広告を出したこともあり、朝日11件、読売10件とかなり多かったが、毎日新聞がなぜかゼロだった。

第1日目の相談件数は17件で、ぼつぼつという感じであったが、夜のニュースで放映された翌日の2日目に相談が集中し、この日だけで61%(46件)を占めた。マスコミの影響の大きさを改めて実感させられた一日であった。

● じん肺診断できる医療機関を

じん肺・アスベスト健康被害電話相談も3年目となったが、医療体制や被害者のフォローの体制が不十分であることを痛感させられた。せきやたんが多く、息切れがひどいため、じん肺ではないかと病院に行っても、適切な処置をしてもらえなかったり、別の病名だと診断されたり、そのまま放置されたりという例が見受けられる。じん肺をしっかり診断できる医療機関の拡充が必要である。

また、じん肺やアスベスト被害が、退職後10年、 20年たって発生するため、退職後労災申請できることを知らなかったり、申請を会社がやってくれないため被災者個人で申請手続きをしなければならず、その方法がわからないなどのため、放置されているケースが非常に多い。

じん肺やアスベスト疾患は、退職後発生しても労働災害補償の申請ができること、健康管理手帳の交付が受けられることを、労働省の出先の機関や医療機関が十分周知させ、申請に便宜をはかるなどの対策をとるべきであろう。

  じん肺・アスベスト被災者救済基金
     事務局長 林 充孝

グループ討論ではあまり具体的な話は出なかったんですけれども、おもしろかったのは5つの班に分かれたんですけど、すべての班でマスクを使いますとか、車にマスクを積みますとかいう意見が出て、それはここ2、3年私たちが一生懸命粉じんのことをやってきた成果かな、というふうに思っています。

アスベストとあまり関係のない話になってしまいましたけれども、建築現場でアスベスト使わざるを得ないという状況があって、それを何とか抑えて、できるだけ粉じん曝露しないように、安全・健康・快適に仕事ができるようなお手伝いを今続けているところです。ありがとうございました。




石綿対策全国連絡会議(BANJAN)
〒136-0071 東京都江東区7-10-1 Zビル5階
TEL(03)3636-3882/FAX(03)3636-3881
銀行預金口座 東京労働金庫田町支店(普)9207561 石綿対策全国連絡会議
郵便振替口座 00110-2-48167 石綿対策全国連絡会議




このホームページの著作権は石綿対策全国連絡会に帰属しています。
許可なく転載、複写、販売等を行うことを禁じます。