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省庁交渉 省庁交渉の記録


2000年度 

厚生労働省
2001年6月25日(月)15:00〜16:30 合同庁舎第5号館共用第4会議室

厚生労働省側出席者
@ 労働基準局安全衛生部化学物質調査課 調査係員 有賀康雄
A労働基準局安全衛生部労働衛生課 係長 細江裕行
B 健康局生活衛生課 主査 小林秀幸
C雇用均等・児童家庭局保育課 予算係長 度会哲賢
※漏れがあるかもしれない

(窓口: 大臣官房総務課総務課 課長補佐 小林耕三、TEL 3591-9574/FAX 3595-2392)
全国連側出席者
11名: 古谷杉郎、老田靖雄、加島道明、永倉冬史、名取雄司、大内加寿子、西田隆重、信太忠二、飯田勝泰、外山尚紀、宇野林蔵


※ テープ録音に失敗したため詳しい報告ができずに申し訳ありません。


1. 内外情勢に対する認識、アスベスト全面禁止の導入

要請書前文で述べたような内外の情勢を踏まえ、日本においてもクリソタイルを含めたアスベストの輸入・製造・使用等の禁止を早期に実現するようイニシアティブを発揮されたい。内外情勢に関する貴省としての認識もお聞かせ願いたい。

【回答】 情報収集に努めている。3月の世界貿易機関(WTO)の決定については、承知しているが、原文は読んでいない。


2. 関係省庁連絡会の開催

総合的なアスベスト対策を確立するための、責任体制をはっきりとさせた、関係省庁連絡会を開催するようにされたい。

【回答】 積極的な回答なし。


3. アスベスト関連疾患対策

@ 要請文前書きでも述べたように、中皮腫による死亡数を指標として考えた場合の、日本におけるアスベスト関連がんによる死亡者数はすでに毎年約2千、5年間で1万発生しているものと考えることができ、過去のアスベスト使用量増大カーブおよび過去のアスベスト使用の累積効果を考えれば、今後長期にわたって増加傾向が続くことは必至と考える。国民の健康確保という視点から、アスベスト関連疾患の綿密な現状把握と将来予測を実行し、診断や治療・ケア等に係る対策の確立を図ることが急務と考えるが、いかがお考えか。

【回答】 積極的な回答はなく、こちら側から必要性をこもごも指摘、強く要請した。

A 旧厚生省および旧労働省として、過去に行ってきたおよび現在実施中のアスベスト関連疾患に係る調査研究・委託研究等の一覧を示されたい。

【回答】 当日及び別途入手したものも含めると、過去3年度の実績は以下のとおり。

安全衛生関係

[平成10年度] ガラス繊維の疫学的調査に関するデータベースの作成及ぴ有害性試験の標準繊維作成方法の研究委員会報告書(中央労働災害防止協会)

[平成11年度] 石綿及び繊維状物質等の有害性に関する調査(中央労働災害防止協会)

[平成12年度] 石綿及び繊維状物質等の有害性に関する調査(中央労働災害防止協会)

労災補償関係

[平成10年度] アスベストによる肺障害

[平成11年度] 石綿規制の国際動向に係る文献調査

[平成11年度] 建設作業者のじん肺石綿による健康障害とその問題

[平成12年度] 職業暴露の発がん性評価における喫煙の定量的取り扱いについて

[平成12年度] 石綿代替繊維の規制に関する国際動向に係る文献調査  人造鉱物繊維規制の国際動向に係る文献調査

[平成12年度] 職業性石綿曝露の状況と疾病の発生状況について

B 上述の現在顕在化しつつある被害の大部分はアスベストの職業曝露に起因したものと思われるが、労災認定件数は、中皮腫と肺がんを合わせて1998年度で42件で、これでも、1984年以前の10件未満、1985-1991年の10件台、1992-1997年の20件台から増加したものである。氷山のごく一角しか労災補償を受けていないものと考えざるを得ない。労災補償および国民の健康を所管する部局が一致協力して、労災補償を受けられる被災者に必要なインフォメーションがいきわたるように、実効性のある具体策を確立されたい。

【回答】 @と同様。

C アスベストによる肺がん・中皮腫の1998年度以降の労災補償状況をお聞かせ願いたい。じん肺による労災補償状況のうち石綿肺の件数がわかるようにされたい。双方について、業種、職種、性別、年齢、曝露歴等の情報を把握するようにされたい。

【回答】 1998年度42件、1999年度42件(73頁の表参照)。業種、職種、性別、年齢、曝露歴等の情報は統計をとっていない。

D アスベストに係る健康管理手帳の1999年度以降の新規交付件数および年度末所持者総数、検診受診状況をお聞かせ願いたい。健康管理手帳の受給要件のある者の数をどれくらいと推計されているか明らかにされたい。

【回答】 ?件

※ ここでは、旧労働省と厚生省が一体となったのであるから、人口動態統計による中皮腫死亡と労災補償のデータを突き合わせるなど、省庁統合のメリットを最大限生かした具体的取り組みに着手するよう強く要請した。2.で関係省庁連絡会の開催を要望しているが、厚生労働省においては、省内関係部局の検討会を早急に実施すること。アスベスト被害の実態の深刻さを認識するよう強く求めた。


4. 作業環境評価基準(管理濃度)の引き下げ

昨年、日本産業衛生学会においてアスベスト粉じんに係る許容濃度が勧告されたことも踏まえて、早急に、すべての種類のアスベストに係る作業環境評価基準(管理濃度)を0.1繊維/cm3以下に引き下げられたい。「管理濃度等検討会議」(仮称)を参集して検討を開始する予定と伝えられるが、その見通しを明らかにされたい。

【回答】 まだ検討会を参集していない。目途もまだ言えない。


3. 現行労働安全衛生法令によるアスベスト対策

@ 1995年改正労働安全衛生法令によるアスベスト使用建築物の解体・改修工事対策の施行状況(1999年度以降の石綿等除去作業の計画の届出件数等)および問題点について把握しているところをお聞かせ願いたい。

【回答】 1999年度の届出件数は1,055件。

A アスベスト処理工事の届出という観点からみると、労働安全衛生法、大気汚染防止法、廃棄物処理法および地方自治体の条例等に基づくものに、さらに建設リサイクル法に基づく届出が加わることになる。この際、共通する部分に関しては、最も網のかけ方の広い届出対象に斉一化するようにされたい。

【回答】 各法律には各々の趣旨・目的があってそうなっている旨の説明のみ。

B 同様に、労働安全衛生法、大気汚染防止法、廃棄物処理法、建設リサイクル法および地方自治体の条例等が適正に遵守されているかどうかを関係省庁・地方自治体等が共同で調査・監督する体制を確立するようにされたい。

【回答】 積極的な回答なし。


5. 「非飛散性」 アスベスト含有建材取り扱い作業における曝露防止対策の強化

@ 建設リサイクル法の施行とも関連して、また、国土交通省における「非飛散性アスベスト含有建材の取扱い」の強化(平12.3.31営計第44号等。事前撤去、隔離、手ばらし、散水、個人保護具、清掃・後片付け、集積・運搬・輸送・廃棄物処分対策等)等も勘案して、現行法令で「非飛散性アスベスト含有建材」とされているものの解体・改修・廃棄等におけるアスベスト飛散防止対策の強化が必要であると考えられるが、いかがお考えかお聞かせ願いたい。

【回答】 積極的な回答なし。

A 建設現場等の屋外のアスベスト作業における作業環境測定を義務づけられたい。厚生労働省として、建築物の解体・改修工事におけるアスベスト対策およびアスベスト飛散状況の実態調査・把握を行い、また、日本作業環境測定士協会等による自主的な取り組みの成果を収集して、そのための参考資料とするとともに、他省の所管事項ではあるが、PRTR(環境汚染物質の排出・移動登録)制度の国による排出量の集計等に活用することができるようにされたい。なお、個人サンプラー方式を活用する場合には、日本石綿協会が一定の条件下では「曝露濃度=管理濃度×(0.3〜0.4)」であることも考慮して評価基準を設定するようにされたい。

【回答】 日本作業環境測定士協会の自主的な取り組み(であって、当省が行っているものではない)。


6. ILO石綿条約の早期批准

昨年、ILO石綿条約の批准に必要で現行法令が満たしていない要件についておうかがいしたところ、主な点は、@すべての職場での曝露基準、A石綿除去作業の資格要件、B作業衣の自宅持ち帰り禁止、をあげられたが(不正確であれば正していただきたい)、これらの点を早期に改善し、ILO石綿条約を速やかに批准するようにされたい。

【回答】 積極的な回答なし。


7. 保育所の改修・解体、建築物の衛生管理

@ 昨年、東京都文京区立保育園のずさんなアスベスト除去工事に関連して、全国児童福祉主管課長会議の場において旧厚生省児童家庭局企画課長が事件の再発防止の注意を促したとお聞きしたが、その周知徹底状況、類似事件が発生していないかどうか、お聞かせ願いたい。

【回答】 具体的な把握なし。積極的に取り組むという回答はなし。

A また、同じく昨年、保健所としての類似事件発生防止対策、建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づく衛生管理技術者の活用や同講習内容の改善を提起させていただいたところであるが、現状および方針についてお聞かせ願いたい。

【回答】 積極的な回答なし。

B 厚生労働省(および場合によっては関係省庁)の関係諸部局、(財)ビル管理教育センターおよび(社)全国ビルメンテナンス協会等関係業界の担当者を交えて、別途この問題について話し合う機会を設定するようにされたい。

【回答】 積極的な回答なし。その後、生活衛生課の担当者を通じ、実現に向けて調整中。






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