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省庁交渉 省庁交渉の記録


2000年度 

経済産業省

2001年7月16日(月)15:30〜16:30 経済産業省地下会議室

経済産業省側出席者
@製造産業局住宅産業窯業建材課 課長補佐 小川一男
A製造産業局住宅産業窯業建材課 建材二係 小泉真弓
(窓口: 製造産業局住宅産業窯業建材課建材二係 小泉真弓、TEL 3501-9255/FAX 3501-6799)

全国連側出席者
9名: 古谷杉郎、永倉冬史、名取雄司、大内加寿子、虻川十朗、西雅史、西田隆重、信太忠二、飯田勝泰



1. 内外情勢に対する認識、アスベスト全面禁止の導入

要請書前文で述べたような内外の情勢を踏まえ、日本においてもクリソタイルを含めたアスベストの輸入・製造・使用等の禁止を早期に実現するようイニシアティブを発揮されたい。内外情勢に関する貴省としての認識も(WTOの決定に対する評価も)お聞かせ願いたい。

【回答】 (個別要請事項に対する回答の前に、「環境は変わっている。気持ちの上では以前よりもかなり接近したかたちで話し合いができるのではないか」との前ふりあり。)

EUが2005年までの全面禁止を決定したことは、われわれもかなり関心をもっている。4.の委託事業の最後の平成12年度で、これはやはりヨーロッパの実情を専門家に見てもらって―専門家と言っても以前は労働衛生環境の学者が中心だったが、業としての立場で向こうの現場を見てきてもらおうということで、明治大学の建築関係の専門家を委員長として行っていただいた。われわれの委託費は決まりきった単価でしか出せず、向こうへ行くとそれだけではすまない費用も相当かかり、かなり自己負担をおかけしてしまったように聞いている。今回の報告書には結構写真も載っている。もうひとつ、あちらの方も日本のことがいまひとつわからないということだったので、日本のデータ等を英文にしてもらった。国としてのデータ提供にはまずいことも起こるかもしれないということで、(委託先の日本石綿)協会の(調査研究委員会の)委員長、学者として作成し、相手側も学者として、渡したということになっている。日本のことにもかなり関心をもっていただいたようで、双方ともに意義があったのではないかと考えている。(そのようなことも通じて、国際情勢については)われわれも十分認識しているつもりである。

代替化については、企業でも真剣に考え、かなり進展しているのではないかと認識している。

世界貿易機関(WTO)の決定の内容は承知している。原文は読んでいない。


2. 関係省庁連絡会の開催

総合的なアスベスト対策を確立するための、責任体制をはっきりとさせた、関係省庁連絡会を開催するようにされたい。

【回答】 縦割りの長い間の習慣というか―の中で、各省庁が横に連携を取り合ってというのはなかなか難しい。まして、当課としては法律も持っていない。むしろ、厚生労働省や環境省の方が専門家なので…言われれば、われわれも。消極的な立場で申し訳ないが…。そんな感じでいる。


3. アスベスト製品の使用・輸出入状況等

@ 現在原料アスベストを輸入している企業の輸入量別企業数、および、アスベスト製品を使用している企業の製造品目別・原料アスベスト使用量別企業数について、把握しているところをお聞かせ願いたい。

【回答】 貿易統計で把握しているが、輸入量別企業数はわからない。製造品目別・原料アスベスト使用量別については、われわれが調査しているのは建材関係のアスベストが一番多い。そういう企業に、何をどのくらい使っているのかというアンケートを実施しているが、これは法律に基づいた調査でもないので強制力はない。自主的回答をお願いしている。

平成10年度の調査では65社あったが、倒産や廃業等があるのだと思うが、平成11年度は59社になっている(7頁にあるように、現在の日本石綿協会加盟の製造会社は45社かそれ以下である)。これには日本石綿協会に加入していない企業も多少入っている。回答を送ってきたのは54社。調査が今言ったようなものなので、お示しするのも迷ったが、あくまでも類推の域でしかないデータであると受け止めてほしい。住宅屋根用スレートにだいたい45%使われているのではないかと考えられる。あと、ビル外装に使われるケースが多いと思われる押出成形セメントに25%。セメントボードに6%、波形スレートに11%、スラグ石膏やパルプセメント板に3%、その他建材―これは屋根のスレート以外のヤクモノなど―5%、その他建材以外に使われているのが4%くらい使われているのではないか。というのが、われわれの貧弱な調査から類推したところ。あくまで参考なので、インターネットや雑誌への掲載は控えていただきたい。

※ 59頁以下の平成12年度委託事業報告書、とくに62頁の下の表「石綿入建築材料の2000年生産量」を参照されたい(ただし、同表は、日本石綿協会加盟21社のアンケート調査の結果である)。

A 新聞報道されたクボタ、松下電工を含めて、各企業によるアスベストに自主的使用中止の動きについて把握しているところ、および、原料アスベスト輸入量の今後の見込みについてお聞かせ願いたい。

【回答】 クボタ、松下電工がアスベスト使用中止ということで新聞に出たわけだが、われわれもびっくりしたが、事情をお聞きした。われわれ毎年の調査などで、何気なく「結構多いですね」などと申し上げていたのだが、聞く側は結構…このままじゃいかんと思われていたようだ。いつかどこかで代替化をしていかなければということで、かなり技術開発を―コストをいかに下げるかということも含めて、長年されていたようだ。また、PRTR法という、使っている側にはかなりプレッシャーのかかる法律ができたということもあった。まだ技術的に完璧ではないが、ほぼ技術的にできあがっている。ただコストの面で、とてもユーザーに納得してもらえるコストをうまく(達成)できるには、ちょっと時間がかかるようだ。いずれはそういうふうにしたいというのを言っていた。

この2社だけで(日本の)アスベスト輸入量の40%くらい。かなり激減するのではないかと思っている。この2社が皮切りで、今後はかなり進められていくのではないか。今の輸入量が10万トン弱だから、5万トンくらいになるだろうか。たしかに大手(企業)で、資本力、技術力があり、ユーザーと、対等とは言わないまでもそんなに弱い立場ではないということもあるかもしれない。問題は残ったところ。波形スレートとかいったところは中小で、資本力、技術力は(劣り)、努力はしているが、結構難しい。

いずれにしろ、何年も前からすれば、こんなに減るとはわれわれも思っていなかった。大きな進歩ではないかと思う。皆さんのご努力の結果でもあると思う。企業もかなり努力してきた。

※ 石綿対策全国連で行った日本石綿協会との話し合いや加盟各社へのアンケート調査についてもふれながら、今後の推移についてディスカッション。「企業から知り得た情報を話せない」ということが、個別及び全体像の把握を困難にしている面は否めない。禁止導入の必要性(5万トンであろうが大問題)と合わせて、有効な指導、促進(助言)等を強化するよう要請した。

アンケートの質問内容は、製品の種類、製品の生産量―アスベスト含有5%以上・1%以下等別、昨年の予測と実績、今後5年間の見通しなどであるとのこと。質問用紙の提供はできない。本当に簡単なB4・1枚のもの。

B 窯業建材統計による波形スレート、石綿スレート板の生産量を含めて、過去10年間のアスベスト製品の生産量の推移について把握されているところをお聞かせ願いたい。

【回答】 「窯業・建材統計年報」による、波形石綿スレート、石綿セメント板、ジョイントシート、自動車ブレーキライニング、その他用ブレーキライニング、その他の石綿製品(石綿板・石綿紙・石綿糸・石綿布・石綿保温材を統合)についての、過去10年間の生産量の推移に関するデータを提供された(55頁)。

ご覧のとおり、いずれもかなり減ってきている。これは、石綿のトン数ではなく、製品のトン数。

C 貿易統計によると別掲のとおりとなっている、原料アスベスト以外のアスベスト含有製品の輸出入について、日本企業による海外生産―逆輸入も含めて、把握されている実態、今後の動向についてお聞かせ願いたい。

【回答】 貿易統計によれば、5年前と比較すると半減している。輸入量が5,800トン、輸出量が218トン―製品重量で―という状況。


4. 石綿含有率低減化製品等調査研究委託事業

【回答】

@ 別掲の過去の「石綿含有率低減化製品等調査研究委託事業」について、平成2〜6、8年度の成果物を提供されたい。(他の年度については、(社)日本石綿協会から入手済み)

【回答】 平成2〜6年と8年については、当課と日本石綿協会に1部ずつあるだけのようだ。差し上げる部数はないので、お貸ししてコピーをとっていただくことはかまわない。

A 平成12年度「石綿含有率低減化製品等調査研究委託事業」については、ヨーロッパにおけるアスベスト禁止の動向等を調査されたとうかがっているが、その成果物を提供されたい。

【回答】 提供してもらった。

B 平成13年度は、予算がつかずに実施しないものとうかがっているが、その理由、今後の計画についてお聞かせ願いたい。

【回答】 始まった当初から10年間ということだった。また実は、単独の調査ではなく、無機新素材(ファインセラッミクス)といった鉱物繊維関係の調査費用としてとったものの一部を使って行っていたもの。期限がきたもので、残念ながらあらためて予算要求という話もあったのだが、このご時世では難しい。

ただ前述のとおり波形スレート板は中小企業が多く、以前あった中小企業近代化促進法に基づいて行っていた構造改善事業が、最後の指定を受けてあと3年あるので、これを何とか使って、代替化や業種転換等に活用できないかとは考えているところ。


【経済産業省製造産業局住宅産業窯業建材課 「石綿含有率低減化製品等調査研究委託事業」】

[平成2年度] 中小企業のための石綿代替製品開発ガイドライン作成

[平成3年度] 平成2年度事業をうけて、実際の製造ラインで石綿代替製品・石綿低減化製品の試作及び耐候性試験の実施

[平成4年度〜平成6年度] 石綿代替繊維の研究

[平成7年度] 石綿含有製品製造企業及び工業用繊維の製造・含有製品製造企業に対するISO14000シリーズへの取り組みに関するアンケート調査

[平成8年度] 石綿含有製品の加工時・解体時を想定した実験等により石綿粉じん発生量・濃度の測定評価及び施工実施責任者の意識確認アンケート調査

[平成9年度] 石綿含有製品の実際の作業現場での石綿粉じん発生量・濃度の測定評価及び建築材料のライフサイクルに関するアンケート調査

[平成10年度〜平成11年度] 石綿含有製品の経年変化による石綿粉じん飛散状況の測定及び工業用繊維の製造・含有製品製造企業に対するライフサイクルに関するアンケート調査

[平成12年度] 石綿含有製品及び無石綿製品の将来動向に係わる国内調査、石綿低減化製品等に係わる海外調査





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