※以下の発表は厚生労働省のHPに掲載されました:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/04/h0404-4.html 厚生労働省発表 平成15年4月4日 (担当: 労働基準局安全衛生部化学物質調査課) 厚生労働省は、石綿を取り扱う労働者の健康障害防止の観点から、石綿の製造・使用等の禁止措置について検討を行っています。平成14年8月、石綿製品のメーカー、ユーザー団体等を対象に「石綿及び同含有製品の代替化等の調査」を行うとともに、平成14年12月から、学識経験者による「石綿の代替化等検討委員会」(委員長: 平野敏右独立行政法人消防研究所理事長)を開催し、「石綿及び同含有製品の代替化等の調査」の結果をも踏まえ、石綿製品のメーカー、ユーザー団体等から詳細なヒアリングを行い、代替化の困難な石綿製品の範囲の絞り込み等を行ってきました。 今般、本委員会の報告書が取りまとめられました。 本報告書では、押出成形セメント板、住宅屋根用化粧スレート、繊維強化セメント板、窯業系サイディング、石綿セメント円筒、断熱材用接着剤、摩擦材(ブレーキ及びクラッチ)については、国民の安全確保等の観点から石綿の使用が不可欠なものではなく、かつ、技術的に代替化が可能であると考えられるとされました。 厚生労働省においては、本報告書を踏まえ、これらの製品の製造、使用等を禁止する方向で、今後、パブリックコメントやWTO通報等の手続を夏頃までに終了し、速やかに労働安全衛生法施行令の改正を進めていく予定です。 〔石綿の代替化等検討委員会の概要〕 1 目 的 現在、製造・使用等が行われている石綿製品について、非石綿製品への代替化の状況、代替製品の性能、国内外の代替化技術等を踏まえ、専門技術的観点等から、代替が困難な石綿製品の範囲を絞り込み、今後の非石綿製品への代替可能性等を明らかにすること。 2 委員(五十音順) 池田浩治 東京農工大学工学部機械システム工学科助教授 枝広英俊 芝浦工業大学工学部建築学科助教授 大野 晋 日本原子力研究所社会技術研究システム研究員(化学工学会安全部会副部会長) 菊池雅史 明治大学理工学部建築学科教授 菅原進一 東京大学工学部建築学科教授 長谷見雄二 早稲田大学理工学部建築学科教授 ◎平野敏右 独立行政法人消防研究所理事長 森崎 繁 (社)産業安全技術協会会長 3 開催経過 第1回 平成14年12月16日(月) ・ 代替が困難な石綿製品の範囲等の検討 ・ 石綿製品の代替化の事例ヒアリング 第2回 平成14年12月25日(水) ・ 石綿製品(建材)のメーカー団体、ユーザー団体からのヒアリング ・ 代替が困難な石綿製品(建材)の範囲等の検討 第3回 平成15年1月9日(木) ・ 石綿製品(建材)のメーカー団体、ユーザー団体からのヒアリング ・ 代替が困難な石綿製品(建材)の範囲等の検討 第4回 平成15年1月17日(金) ・ 石綿製品(建材)のメーカー団体、ユーザー団体からのヒアリング ・ 代替が困難な石綿製品(建材)の範囲等の検討 第5回 平成15年1月23日(木) ・ 代替が困難な石綿製品の範囲等の検討 第6回 平成15年2月19日(水) ・ 検討委員会報告書の案の検討 第7回 平成15年3月4日(火) ・ 検討委員会報告書の案の検討 〔報告書概要〕 1 代替可能な石綿製品の範囲 石綿製品の代替可能性の判断に当たっての留意点 (1) 原則として、個別の商品ごとでなく製品の種別ごとに判断する。 (2) 石綿代替品の範囲については、石綿以外の代替繊維を用いた製品のみならず、金属等の非繊維製品についても対象として考慮する。 (3) 次の製品については、代替が困難と判断する。 @ 石綿代替品の使用により安全の確保が困難となるおそれがある石綿製品 A 石綿代替品がないか又はその性能等が石綿製品に比較して著しく劣り、当該石綿製品を使用しないこととした場合に社会的に許容しがたい問題となるおそれがある石綿製品 2 建材の代替可能性 (1) 押出成形セメント板 ・ 既に商品化されている非石綿製品があり、技術的に非石綿製品への代替化は可能である ・ メーカー及びユーザーは石綿製品の使用が不可欠であると認識していない ・ 安全確保の観点から石綿製品の製造、使用等が必要という具体的理由は特にない 等から、代替化は可能と考えられる。 (2) 住宅屋根用化粧スレート ・ 既に商品化されている非石綿製品があり、技術的に非石綿製品への代替化は可能である ・ メーカー及びユーザーは石綿製品の使用が不可欠であると認識していない ・ 安全確保の観点から石綿製品の製造、使用等が必要という具体的な理由は特にない 等から、代替化は可能と考えられる。 (3)繊維強化セメント板 メーカーにおいて製造設備、原材料、製造方法の変更等の必要がある場合があるものの、 ・ 既に商品化されている非石綿の繊維強化セメント板があること、金属等の非繊維製品への代替化も可能であると考えられること等から、技術的には非石綿製品への代替化は可能である ・ 関連のJIS等の改正により、非石綿製品への代替化が促進されやすい状況になっている ・ ユーザーは安全確保の観点から石綿製品の使用が不可欠とは認識していない ・ 安全確保の観点から石綿製品の製造・使用等が必要という具体的な理由は特にない 等から、代替化は可能と考えられる。 (4) 窯業系サイディング ・ 既に商品化されている非石綿製品があること等から、技術的に非石綿製品への代替化は可能である ・ ユーザーは石綿製品の使用が不可欠とは認識していない ・ 安全確保の観点から石綿製品の製造・使用等が必要という具体的な理由は特にない 等から、代替化は可能と考えられる。 (5) 石綿セメント円筒 ・ 金属、ほうろう等の製品が普及しつつあり、非石綿製品への代替は可能である ・ ユーザーは石綿製品の使用が不可欠とは認識していない ・ 安全確保の観点から石綿製品の製造・使用等が必要という具体的な理由は特にない 等から、代替化は可能と考えられる。 3 非建材の代替可能性 (1) 断熱材用接着剤 ・ 既に商品化されている非石綿製品があり、技術的に非石綿製品への代替化は可能である ・ メーカー及びユーザーは石綿製品の使用が不可欠であると認識していない 等から、代替化は可能と考えられる。 (2) 耐熱・電気絶縁板 セラミック等の非石綿製品への代替化が可能なものがあると考えられるが、一部のものについては、安全確保の観点から石綿の使用が必要とされており、現時点で代替可能なものと代替困難なものを温度等の使用限界や使用される機器の種類等から明確に特定することは困難である。 (3) ジョイントシート・シール材 黒鉛等の非石綿製品への代替化が可能なものがあると考えられるが、一部のものについては、安全確保の観点から石綿の使用が必要とされており、現時点で代替可能なものと代替困難なものを温度等の使用限界や使用される機器の種類等から明確に特定することは困難である。これらの代替化には、非石綿製品の開発、非石綿製品の耐久性等の実証や当該製品が使用されている機械・設備等の設計の見直し・改造等に時間を要するものがあると考えられる。 (4) その他石綿製品 @ 摩擦材(ブレーキ、クラッチ) ・ メーカーは石綿製品の使用が不可欠であると認識していない ・ 自動車、鉄道車両、クレーン、エレベータ、エスカレータ等のブレーキ、クラッチについては、既に代替化されているか、今後代替化が予定されており、技術的には代替化が可能である 等から、代替化は可能と考えられる。 A 石綿布、石綿糸等 これらの製品はシール材等として使用されるか、二次的にシール材等に加工されることから、シール材等の代替可能性に連動すると考えられる。 |