2001.2.25 |
欧州共同体―アスベストおよびアスベスト含有製品に影響を与える措置紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(DSU)第16条第4節に基づくカナダによる上訴の通知 以下の2000年10月23日付けでカナダから紛争解決機関(DSB)に送られた通知は、加盟諸国に流布される。本通知は、上訴再審査処理手続に従って同日付けで上訴機関に申し立てられた上訴通知でもある。 紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(以下「了解」という)第16条第4節および上訴再審査処理手続規則20に従って、カナダ政府は正式に紛争解決機関(DSB)に対して、欧州共同体―アスベストおよびアスベスト含有製品に影響を与える措置(2000WT/DS135R)に関するパネル報告に含まれる一定の法律適用上の問題およびパネルによってなされた法律上の解釈について上訴することを通知する。 カナダ政府は、パネルが法律適用上の間違いをおかし、また、貿易の技術的障壁に関する協定(以下TBT協定という)別添1.1の解釈を誤っていると申し上げる。これらの誤りは、以下のパネルの結論と関連するか由来しているものである。 1. 「当該法令のアスベストおよびアスベスト含有製品の輸入の禁止に関する部分は、TBT協定別添1.1の趣旨の範囲内の『技術的規制』に含まれないので、TBT協定はその部分には適用されない。」 2. 「当該法令のアスベストおよびアスベスト含有製品の輸入の禁止の例外に関する部分は、TBT協定別添1.1の趣旨の範囲内の『技術的規制』に含まれるので、TBT協定はその部分には適用される。しかしながら、カナダは一般的禁止例外に関して何ら明確な主張をしていないのであるから、この法律的性格づけは、当該法令のアスベストを禁止した部分の法律的性格づけにも、また、本事件の他の部分の検討にも影響を及ぼさない。」 カナダ政府は、上述したTBT協定の規定に関するパネルの検討結果および結論を取り消し、それに応じてパネルの勧告を修正するよう、上訴機関に謹んで要請する。TBT協定が適用されるものと仮定して、カナダ政府は、当該法令がTBT協定第2条第1、2、4および8節に違反しているというカナダの主張を審査するよう、上訴機関に謹んで要請する。 カナダ政府はさらに、パネルが法律適用上の間違いをおかし、また、関税および貿易に関する一般協定(以下1994年のGATTという)第XX(b)節の解釈を誤っていると申し上げる。 これらの誤りは、以下のパネルの結論と関連するか由来しているものである。 1. 「パネルは、[1994年のGATT]第III:4条のもとで差別される[言及された製品の]取り扱いを導入する限りにおいては、当該法令自体およびその履行は、1994年のGATT第XX条の第(b)節および前書き条項によって正当化されると結論する。」 カナダ政府は、上述した1994年のGATTの規定に関するパネルの検討結果および結論を取り消し、それに応じてパネルの勧告を修正するよう、上訴機関に謹んで要請する。 *****
欧州共同体―アスベストおよびアスベスト含有製品に影響を与える措置上訴機関からの連絡 以下の2000年11月8日付けの連絡は、上訴機関議長から紛争解決機関議長宛てに送られたもので、「欧州共同体―アスベストおよびアスベスト含有製品に影響を与える措置」の上訴を審議する部門が上訴再審査処理手続規則16(1)に従って採用した追加手続を知らせたものである。 私は貴職に、上記の上訴を審議する部門が、本上訴を公正かつ秩序だって処理するために、本紛争の当事者および第三者関係者以外の者から上訴機関に提出される書面による意見[brief]を扱うという追加手続の採用を決定したことをお知らせするためにこの連絡を書いている。この追加手続は、「上訴再審査処理手続」規則16(1)に従うためにのみ本上訴を審議する部門によって採用されたものであり、「紛争解決に係る規則及び手続に関する了解」第17条第9節に従って上訴機関によって作成された新たな処理手続ではない。 別添は、本追加手続のコピーである。 (別添) AB-2000-11上訴再審査処理手続規則16(1)に基づいて採用された追加手続全当事者および第三者関係者殿 1. 本上訴を公正かつ秩序だって処理するために、本上訴を審議する部門は、上訴再審査処理手続規則16(1)に従って、また、本紛争の当事者および第三者関係者と協議したうえで、本上訴のためのみの以下の追加手続を採用することを決定した。 2. 自然人であるか法的存在であるかを問わず、本上訴の当事者および第三者関係者以外のいかなる者であっても、上訴機関に書面による意見の提出を希望するものは、2000年11月16日木曜日正午までに、上訴機関から意見を提出する許可を受けなければならない。 3. 書面による意見提出の許可の申し込みは (a) 日付および申込者の住所とその他の連絡方法が記載され、申込者が署名をした書面によって行われなければならない。 (b) 3頁を超えてはならない。 (c) 所属および法律上の地位、従事している職業、活動内容、収入源を含む申込者についての説明を含めなければならない。 (d) 申込者が本上訴のどのようなところに関心をもっているのかを明記しなければならない。 (e) 2000年10月23日付けの上訴通知(WT/DS135/8)で示された、パネル報告に含まれる法律適用上の問題およびパネルによってなされた法律上の解釈のどの点を申込者が扱おうとしているのかを明らかにしなければならない。 (f) DSU[紛争解決に係る規則及び手続に関する了解]およびその他の関係する協定のもとにおけるWTO加盟諸国の権利と義務に従って、係争中のこの問題の満足のいく解決を成し遂げるために、上訴機関が本上訴においてその申込者の書面による意見の提出を許可することがなぜ望ましいのかという理由を述べ、またとりわけ、本紛争の当事者または第三者関係者によってすでに提出されたものの繰り返しにならないかたちで、申込者がどのようなやり方で本紛争の解決に貢献しようとしているのかを示さなければならない。 (g) 申込者が直接または間接的に本紛争の当事者または第三者関係者と何らかの関係を有しているかどうか、また、許可の申し込みまたは書面による意見を準備するうえで本紛争の当事者または第三者関係者から何らかの財政的またはその他の援助を受けたあるいは受けるかどうかということを明らかにする記述を含めなければならない。 4. 上訴機関は、書面による意見提出の許可の申し込みを調査検討し、遅滞なく、申し込みを許可するかしないかの決定を下す予定である。 5. 上訴機関による意見提出の許可は、上訴機関がその報告において、意見によって提起された法律上の論点を取り上げるということを意味するものではない。 6. 上訴機関によって書面による意見提出の許可を与えられた、本紛争の当事者および第三者関係者以外の者は、2000年11月27日月曜日の正午までに、その意見を上訴機関事務局に提出しなければならない。 7. 意見提出の許可を与えられた申込者が上訴機関に提出する書面による意見は (a) 日付を記し、意見を提出した者が署名をしなければならない。 (b) 簡潔明瞭なものとし、付録を含めて20頁を超えてはならない。 (c) 厳密に法律的な議論に限定し、申込者が書面による意見提出の許可を与えられた内容について、パネル報告に含まれる法律適用上の問題または法律の解釈に関する申込者の法律的な立場を支えるような明確な意見を述べなければならない。 8. 許可を与えられた申込者は、上訴機関に書面による意見を提出するだけでなく、2000年11月27日月曜日の正午までに、その意見のコピーを本紛争の当事者および第三者関係者のすべてにも提出しなければならない。 9. 本手続において、本紛争の当事者および第三者関係者は上訴機関によって、許可を与えられた申込者が上訴機関に提出した書面による意見を批判し、応答する十分かつ適切な機会を与えられる。 *****
以下の錚々たる国際組織、個人のリストをじっくりご覧になっていただきたい。何か共通点を見いだすことができますか? ・ アメリカ公衆衛生学会(APHA) ・ 労働・環境衛生学会(SOEH) ・ 職業病・環境病協会(OEDA) ・ 国際自由労連(ICFTU) ・ ヨーロッパ労働組合総連合(ETUC) ・ オーストラリア環境法センター ・ 国際アスベスト禁止事務局(IBAS) ・ アスベスト禁止ヴァーチャル・ネットワーク ・ グリーンピース・インターナショナル ・ 世界自然保護基金(WWF) ・ 国際環境法・開発財団(FIELD) ・ 国際環境法センター(CIEL) ・ ミシガン大学の貿易法専門のある教授 わかりませんか? 答えは、これらすべてが、カナダがフランスを訴えたアスベスト事件について、最近世界貿易機関(WTO)の上訴機関(AB)に対していわゆる「法廷助言者」としての意見提出を申し込み、却下されたということである。いくつかのグループは連名で申し込みを行っているので、上記の団体等による申込件数は全部で7件になる。これらのうちの5件は、上訴機関によって即座に却下され、他の2件は、恣意的に設定された中央欧州時間による締切期限切れで却下された。この紛らわしい締切期限(上訴再審査処理手続規則16(1)に基づいて採用された追加手続では、「自然人であるか法的存在であるかを問わず、本上訴の当事者および第三者関係者以外のいかなる者であっても、上訴機関に書面による意見の提出を希望するものは、2000年11月16日木曜日正午までに、上訴機関から意見を提出する許可を受けなければならない」としているだけであった)は、WTOが今後従うべき新しい手続を設定すべきであるという大方の意見を強めることになった。SOEHはアメリカ東海岸時間での締切期限前にファックスを送ったのに中央欧州時間の締切期限には遅れたため、却下されてしまい、ICFTUとETUCの連名の申し込みは30分遅れで届いた。 WTOの情報筋によると、全部で17件の申し込みがあり、そのすべてが却下されたというが、だれが申し込みをしたのかは明かそうとしていない。 前例から判断して、正体不明の10件はアスベスト産業を擁護するグループからのものと思われる。2000年9月18日に、3名の委員からなる法廷(「「パネル」と呼ばれる)は、「欧州共同体(EC)―アスベストおよびアスベスト含有製品に影響を与える措置」事件に関する465頁に及ぶ報告を発行した。その390頁目には、法廷助言者としての意見を、ラマッチニ協会、アスベスト禁止ネットワーク、メキシコ繊維産業研究所、アメリカ労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)、およびOnly Nature Endures(ONE)から受け取ったと書いている。当時は、部外者からの意見を取り扱う正式な方針は存在していなかった。ECがパネルに対して、アスベスト禁止ネットワークとメキシコ繊維産業研究所の意見は除いたものの、ラマッチニ協会とAFL-CIOが提出した意見を組み入れるように要求したのに対して、暫定的な解決策がとられた。ONEからの書面による意見は提出が遅すぎたため受け付けられなかった。 ここ数か月のうちに、このインド・ムンバイの正体不明のグループに関する情報がいくらかわかってきた。ACPインダストリー社の元社長のJoy ManglaniがONEの代表で、アスベストに関する偽情報を広めるために世界中を旅行している。2000年7月26日に、私はロンドンで彼にインタビューしたが、そのとき彼は自らを、アスベスト・セメント水道管についての科学的証拠を収集している「インディペンデントのコンサルタント」であると紹介した。彼は、モスクワ、パリ、ロンドンおよびスイスで教化活動を行ってきた。彼はロンドンでもっともらしい議論をふっかけ、後にはブラジル・オザスコの世界アスベスト会議のフロアから同じことを繰り返した。Manglaniは、今ではアスベスト産業の経営者の多くがノン・アスベスト技術への転換を受け入れているのであるから、「反アスベスト活動」は実際には彼らの掌のうえで踊っているにすぎないと主張した。これはロンドンでも道理にかなったものではなかったし、現在でもそうである。 過去WTOのパネルにかかった8件の事件で「依頼されていない民間からの意見提出」がありはしたものの、非政府組織(NGOs)その他の関心を寄せる者からの意見提出が、「本紛争の当事者または第三者関係者以外の者からの上訴機関に対する書面による意見の提出を扱う追加手続」を採用することによって、それを促されたことはかつてなかった。 今回のクリソタイル事件についてのみ認められたこの申込手続は、「上訴機関からの連絡: WT/DS 135/9」と題された1頁半の文書で説明されている。参加できる可能性のある者には、8日間の猶予が与えられ、3頁以内の書面で「本紛争の当事者または第三者関係者によってすでに提出されたものの繰り返しにならないかたちで、どのようなやり方で本紛争の解決に貢献しようとしているのか」を上訴機関に納得させるものとされた。「本上訴を公正かつ秩序だって処理する」ことによって、悪名高い閉鎖的システムから脱皮しようとしているかにみえた。 おおやけには、WTOがより敏感かつ透明になりつつあるようにみえたが、内々には、新たなシステムを課すことは、この139か国政府による排他的なクラブのメンバー以外の者からのありがたくない干渉を管理するのに都合がよかった。カナダがクリソタイルについてのパネルの決定を上訴することを紛争解決機関に通知した10月23日から、WTOのウエブサイト上に意見提出の申し込みの規則が掲示された11月8日までの間に、上訴機関の担当部門は、求められていない13件の意見を受け取っていた。今回の手続を採用したことによって、担当部門はこれらすべてを突き返すことができるようになった。そのNGOたちは、再度提出をしたければ、新しい手続に従いなさいと言われたわけである。この狡賢い新しい手続と「慎重かつ厳重」な基準に助けられて、上訴機関は、「あなたの申し込みは…追加手続の第3節に示した要求事項を十分に満たしていないために却下された」という恰好の逃げ口上を作文したわけである。熟達したWTOの観察者は、この理屈はこれまでのWTOらしくないやり方だと言っている。WTOのウエブサイト上で発表された今回の上訴機関の追加手続には前例がなかったため、論争の嵐が巻き起こり、この組織の初めての組織上の危機を引き起こした。上訴機関は、加盟諸国の規則決定権を無視してこの手続を行ったとして非難されたのである。エジプト大使は、「上訴機関が採用した追加手続」ひとつに議題をしぼった特別の一般理事会の開催を要求した。11月22日のこの会合において、パキスタンの代表は上訴機関議長の辞任を要求した。上訴機関が加盟諸国と相談しなかったという主張は意見の一致を見たが、迅速な行動を支持したアメリカの消極的支持によって現状が維持された。 *****
1999年7月27日に、ヨーロッパ規模でクリソタイル・アスベストの禁止を導入する委員会指令99/77/ECが最終的に採択された[1999年10月号38頁参照]。このことおよび1998年4月7日の閣僚理事会の決定に基づき、雇用・社会問題総局[DG V]は、ヨーロッパレベルで取り組まなければならない残された最後の課題のひとつ: 過去の重荷の取り扱いに関与する労働者―すなわち、作業中にアスベストに曝露ないし曝露する可能性のきわめて高い解体および除去作業、に関する作業を開始した。 現行の労働者防護に関する理事会指令83/477/EEC[指令91/382/EECによって一部改正]の改正案が示され、2000年5月の助言委員会の「アスベスト」アドホック[特別]・グループの第1回会合で検討された。同時に、アムステルダム条約第138号に基づく社会パートナーとの協議手続を開始した。 ● 助言委員会に示された提案 労働安全衛生助言委員会[Advisory Committee on Safety, Hygiene and Health Protection at Work]の「アスベスト」アドホック・グループの2000年5月の会合に提出された草案は、長年の積み残し課題であった、一定の部門/労働者[海上・航空輸送労働者]の指令の規定からの除外を廃止し、理事会、ETUC[ヨーロッパ労連]や社会経済評議会[1999年8月号25頁参照]から提起されていた要求にそった多くの内容を含んでいる。 ・ あらゆる解体、改造、補修作業の前に、アスベストを含んでいると予想される物質の確認を実行しなければならない。・ 企業は、アスベスト含有物質の解体および/または除去の分野における能力があることの証拠を提供しなければならない。 ・ 使用者は、アスベスト含有製品または物質を取り扱う労働者または取り扱いに責任を負うべき労働者に、適切なトレーニング・プログラムを提供することを要求される。 他の要求は今回の指令案ではおそらくカバーされていない。 ・ 一般的に使用される代替物質に伴うリスクおよびこれらの繊維に適用される曝露限界や技術的措置を含んだ規定の継続的レビュー ・ 加盟諸国におけるアスベストの存在に関する情報提供の必要性、使用者と土地・付属物所有者各々の責任の考慮に関する現行規定およびイニシアティブのレビュー しかし、提案はまた、労働者グループには受け入れ難く、また現実に2000年5月のアドホック・グループの会合の参加者の大多数にも拒絶されたようなきわめて重要なポイントも含んでいる。たとえば、提案は、一定の作業を多くの条文の措置/規定から除外している。 ・ 労働者の合計曝露時間が2時間以内の、アスベスト・コーティング、アスベスト断熱材、アスベスト・パネルに関する作業・ アスベスト・セメントを取り扱う作業 ・ 物質がアスベストを含有するかどうかを確認するためのモニタリング、後片づけ点検、繊維サンプルの保管 まず第1に、「合計曝露時間が…2時間を超えない」という趣旨の記述は、現実の曝露実態を無視したものであり、まったく容認できない。第2に、いかなるタイプの曝露であっても以下のことから除外する理由は存在しない。 ・ 使用されているアスベストの種類と量およびアスベストまたはアスベスト含有物質に労働者が曝露ないし曝露する可能性のある作業に関連した作業と手順を適格な当局に当局に届け出る使用者の義務、および、その届出文書の内容を入手する労働者および/または労働者代表の権利 ・ 作業場の大気中のアスベストの測定・ 考慮されるべき作業部署の区分、関係ない労働者の立入禁止、特別の衛生措置、適切な作業衣 ・防護衣の着用と分離された補完場所など ・ 労働者および労働者代表の測定結果の入手、および、限界値を超えた場合の関係する労働者および労働者代表への使用者の通知義務 ・ 曝露労働者の健康の定期的モニタリング ・ 医学的サーヴェイランスに責任をもつ医師/当局に対する曝露記録の保存義務および労働者の入手 たとえ欧州委員会が現行の曝露限界値[クリソタイル0.6繊維/cm3、その他のアスベスト0.3繊維/cm3]を、現存するすべての種類のアスベストについて8時間加重平均0.2繊維/cm3に引き下げることを計画しており、この引き下げが理事会や社会経済評議会、ETUCの要求に沿ったものであったとしても、十分というには程遠いものである。いかなるアスベスト繊維への曝露であっても現に健康へのリスクが存在していること、フランスの産業界は0.1繊維/cm3のOEL[職業曝露限界]も適用可能と考えていることなどを考慮すれば、新しい指令がより厳しいレベルを設定しない理由は存在しない。 ● 社会パートナーとの並行協議 アムステルダム条約は、社会政策の分野における共同体の行動について可能性のあるオリエンテーション[方向付け]に関して、提案を発表する前に欧州委員会は社会パートナーと協議しなければならないことを規定している(アムステルダム条約第138条)。労働におけるアスベスト曝露に関連したリスクから労働者を防護することは、明らかに第137条に列挙された社会政策の分野に含まれることから、委員会はこの協議手続の第1段階を開始する義務があった。委員会が最初に社会パートナーとの協議をせずに、助言委員会への諮問と並行して行ったことから、使用者側はアドホック・グループの会合をボイコットすることを決定した。社会パートナーとの協議の結果如何によって、委員会は、助言委員会への諮問を中止することも、また、通常の手続を追求し続けることもどちらも決定することができる。 欧州委員会がどちらの順序をとるかはいまだはっきりしていない。これは、安全衛生の分野で指令に関する提案(今回のケースでは現行指令の改正提案)に関して、同条約第138条に規定された手続が適用される最初のケースである。ヨーロッパレベルで労働者と使用者の団体を各々代表するETUCおよびUNICE(欧州産業連盟)はいずれも、この手続に従う方法に関する見解を発表している。両団体間の議論はすでに開始されている。 * この議論がその後どのように展開しているかについての情報は入手できていない。 *****
|