2001.2.25

安全センター情報


2000年9月号




アスベスト禁止に向けた圧力


ICFTU Online, 2000.6.28 ブリュッセル、2000年6月28日
(ICFTU Online No.146):



世界の労働組合は、WTO(世界貿易機関)がフランスのアスベスト使用禁止を支持し、禁止は自由貿易のルールを侵害するものだとするカナダ政府の訴えを却下するだろうという先週のニュースを受けて、アスベスト使用の世界的禁止のためのキャンペーンを開始している。

国際自由労連(ICFTU)の最初の行動として、ILO(国際労働機関)およびWHO(世界保健機関)との合同のテクニカル・ミーティングを今夏の早い時期に開催する予定である。これは、秋に労働組合がILO、WHOの事務総長とアスベストの世界的使用のもたらす諸問題と代替化の促進について話し合うハイレベルの会合を準備するものとなるだろう。労働組合はこの秋の会合を、毎年10万名もの労働者を殺している致死的物質であるアスベストの使用と市場取引を世界的に禁止するための完全なキャンペーンに向けた跳躍台として活用するだろう。

ICFTUとOECD[経済開発協力機構]労働組合助言委員会(TUAC)は、WTOの決定は多くの諸国がこの製品の禁止をサポートする道を切り開いた、としている。労働安全衛生局(OHSE)作業委員会の要求に応えてICFTU執行委員会は昨年12月、シアトルにおける会合において、アスベスト禁止をサポートしていくことで一致した。

アスベスト問題は11月のICFTU/TUAC OHSE作業委員会の会合でレビューされる予定であり、そこでは、アスベストを禁止した諸国において職業転換される労働者のための「公正移行[Just Tran-sition]」雇用プログラムについて議論されることになるだろう。欧州連合[EU]、フランス、ノルウェー、スウェーデン、イギリスではすでに一定のアスベスト使用を公式に禁止しており、ブラジルも同様の意向である。 世界の労働組合の作業委員会はILOと合成ガラス繊維絶縁綿に関する実践コード[Code of Practice]に関する作業を進めてきており、また、アスベスト禁止条項を含んでいるILO第162号条約の各国による批准を促進している。労働組合作業委員会は現在、化学物質に関する取り組みを調整する労働組合の電子フォーラムを運営しているが、これはアスベスト・キャンペーンについての行動を調整するうえで重要な媒体になるだろう。
先週ICFTUはアスベストに関する一連のニュース・ストーリー[7月号53頁と後掲記事]を発表したが、これは現在ICFTUのウエブサイトで入手できる(http://www2.icftu.org)。
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国際自由労連キャンペーン アスベスト: 死のビジネス (U)


CFTU Online, 2000.6.16



アスベストの使用と流通を世界的規模で禁止しようという労働組合のキャンペーンが進行中である。このイニシアティブは、何年間にもわたりこの繊維状鉱物が健康と環境に引き起こす深刻な危険性について警鐘を鳴らしてきた世界中の労働組合運動の政策と関心によって自然に湧き出てきたものである。1986年、労働組合からの圧力を受けて世界労働機関は、禁止を勧告しているが義務づけてはいない条約を採択した。アスベスト産業とこの部門を支配する多国籍企業は、批判を黙らせるために何百万ドルも投資してきた。
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ブリュッセル、2000年6月16日(ICFTU Online No.133)

: アスベストは繊維状鉱物であり、様々な種類の土壌から抽出することができる。その英語の名称は、「消すことができない[unquenchable]」を意味する ギリシャ語の「asbestos」からきている。他のヨーロッパ言語で用いられる用語(例えば、フランス語の「amiante」やスペイン語の「amianto」)も、「高い防火性」を意味するギリシャ語に由来している。実際、アスベストはとりわけ、高性能の絶縁体、多くの腐食性物質に対する付浸透性物質として、その防火性能のゆえに知られている。相対的に安価であることに加えて、アスベストは大した技術的問題なしに加工でき、また、抵抗性を高めるためにセメントのような様々な物質と混合することができる。アスベストは現在様々な用途向けに用いられる数千種類の製品に使用されている。毎年200万トンを超すアスベストが産出されている。主要な産出国は、ロシア(68万トン)、カナダ(42万トン)、中国(24万5千トン)、ブラジル(17万トン)、ジンバブエ(15万トン)である。

繊維の形状および成分によって3種類の主なアスベストがある。
・ 白アスベストまたはクリソタイル
・ 茶アスベストまたはアモサイト
・ 青アスベストまたはクロシドライト

すでに1990年代には、イギリスの医師がおそらくアスベストによって引き起こされたと思われる多数の症状について記述していた。1995年までに、アスベストといくつかの種類のがんとの関連性は確立されていた。
アスベストによって引き起こされる症状はこの物質の独特の繊維構造と直接関連している。実際、アスベストはどんどんより小さな繊維に分解していき、0.02ミクロン程度のサイズにまでなってしまう。このことは、1mm3を端から端まで埋め尽くすのに50,000繊維が必要だということになる。こうした繊維が人体に突き刺されば(肺内に貯留する傾向がある)、とりわけ事実上不滅であることから、破壊的な影響を与えることになる。

アスベストによって引き起こされることが知られている140の障害のうち、最も一般的なのは、

石綿肺: これはじん肺の一種で、肺内へのアスベスト粒子の堆積によって引き起こされ、肺胞壁の腺維肥厚化を生じさせる。最初の症状が明らかになるまでの期間はきわめて長く、15年から20年にもなる。症状はゆっくりと進行し、不可逆的である。それはアスベスト曝露をやめた後でも進行する。

肺がん: 少なくとも肺がんの10例のうちの1例はアスベスト曝露によって引き起こされたものである。紙巻きタバコの喫煙はリスクを複合させるだけである。

中皮腫: この種のがんの少なくとも75%がアスベスト曝露と関連している。きわめて苦痛を伴い、胸膜(肺を覆っている薄い膜)および腹膜(腹腔の裏を覆っている)のこの状態は治療することができず、短期間に終末を迎える。
アスベスト産業はよく、ある種のアスベストは他のものより有害性が少ないと断言するが、このような主張は厳密な科学的証拠に基づくものではない。すべての種類のアスベストが有害であり、発がん性がある。この物質への短時間の曝露あるいは限られた接触であっても有害な可能性がある。

1986年に世界労働機関(ILO)は、青アスベストの使用を禁止し、アスベスト―およびあらゆるアスベスト含有製品―のより有害性の少ない物質への代替化を勧告した第162号条約を採択した。これは完全な禁止に向けた最初のステップであり、EU加盟諸国を含むいくつかの国々においてすでに効力を発効している。
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アスベスト国際会議―責任ある使用の強化


2000.11.22-24



ニューデリー、インド 3月号37頁で、今年9月にブラジル・オサスコで開催されるアスベスト国際会議について紹介した。これは、アスベストの地球的規模での禁止のために取り組んできた市民、労働団体や専門家によって企画されているもので(http://www.ibas.btinternet.co.uke/Conf_Update.htm参照)、日本からも石綿対策全国連絡会議や全国安全センターから代表が参加する予定である。

ところが、まるでこれに対抗するかのように、アスベスト産業界が今年11月にインド・ニューデリーで「クリソタイル・アスベストに関する国際会議」を開催するという情報が伝わってきた。インドのアスベスト情報センターのウエブサイト(http://www.asbestos-info-centre.org/)で案内をしている。 欧米に次いで、アスベスト輸出国であるブラジルの市場をも失おうとしている世界のアスベスト産業が、「管理して使用すれば安全」キャンペーンによってアジアに市場を拡大しよう狙っていることは間違いなさそうである。
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インドへようこそ

組織委員会を代表して、2000年11月22日-24日にニューデリーで開催される「クリソタイル・アスベストに関する国際会議」に参加するよう招待状をお渡しすることができ光栄である。この会議のテーマは「責任ある使用の強化」である。主催者は、世界中からの国際的専門家の参加によるstate-of-art technicalプログラムを計画している。この会議は、アスベスト情報センター(AIC: インド)、アスベスト・セメント製品製造業協会(ACPMA: インド)、国際アスベスト協会(AIA: アメリカ)およびアスベスト研究所(AI: カナダ)によって組織される。

[以下インド紹介―省略]

会議の目的および範囲

自然に生成する鉱物であるクリソタイルは、アスベスト含有製品の製造において安全に使用することができる。そうした製品は今日実際に使用されており、最も重要なものはクリソタイル・セメント製品、ガスケットおよび摩擦材[フリクション]である。緊迫した経済情勢にある開発途上諸国にとってのこれらの製品の関連性は必須のものであり、無視することはできない。健康面と結果としての疾病について無知であった過去のアスベストの管理されない使用は、今日においても忘れられていないだけでなく、最近の科学的知見を覆い隠してもいる。これゆえに本会議は、過去と現在のアスベストの取り扱い方の違いを区別することによってこの問題をはっきりさせる情報およびこの問題に関する最近のコンセプトを自由に交換する機会を提供することを目的とするものである。

会議のプログラム案[テーマのみ掲載]
・ クリソタイル・アスベスト―過去および現在
・ クリソタイル・アスベスト―責任ある使用
・ products Valedictory functionにおけるクリソタイル・アスベスト使用の利点
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