2001.2.25 |
Iジュネーブ―世界貿易機関(WTO)は、フランスのアスベスト禁止に対するカナダの申し立てに関する、遅れている紛争解決パネル(小委員会)の報告書の送付がさらに遅れることを明らかにした。 3月7日付けのWTO加盟国に対する通知のなかで、3人の委員からなるパネルの委員長である、ニュージーランドのアドリアン・マーシーは、パネルの報告書は3月までに完成すると見込まれてきたが、作業にもっと時間が必要であると語っている。紛争関係者に最終報告書が送付されるのは6月中になると予測される、としている。当初は、パネルは昨年12月までに報告書をまとめることになっていた。WTOの手続によれば、パネルは、委員が指名され、付託事項が決定されてから9か月以内に報告書を提出することを求められている。 パネルはカナダの要請によって1998年11月25日に設置されたが、委員と付託事項が決定されたのは1999年3月29日なってからであった。アスベスト問題に関する決定の行方は、環境および公衆衛生問題についてのWTOの感性に対するリトマス試験になるとみられている。争われているのは、フランスが1996年12月に実施した、アスベストの製造、輸入および販売の禁止である。カナダは、現在の商業用の主要なアスベストであるクリソタイルの、世界第2位の生産国であり、また、世界の輸出国のリーダーである。 カナダは、この禁止措置は、公衆衛生上の根拠についての正当性がなく、WTOのルール、とりわけ、技術的規制が不必要な貿易の障害を生じさせないよう加盟国に求めた貿易の技術的障壁に関する協定第2条、人間、動物および/または植物の生命を防護する手段は十分な科学的証拠に基づき、適切なリスク・アセスメントに裏づけられたものでなければならないとした衛生植物検疫措置に関する協定第3条および第5条を侵害するものであると主張している。 この問題に詳しい情報筋によれば、今年はじめに実施されたカナダおよび欧州連合(EU)(本紛争でフランスを代表)の当局者も参加したパネルのヒアリングにおいて、パネルから意見を求められた専門家たちは全員がクリソタイルが発がん性物質であることを認めたという。そうした証拠のいくつかは、アメリカの労働安全衛生庁が公式に提出したものだった。アメリカは、この紛争において第三者として、EUおよびフランスを支持している。 *****
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