2001.2.25

安全センター情報


1999年10月号




EUの新しいアスベスト指令


Official Journal of the European Communities, L207, p18-20, 1999.8.6



委員会指令 1999/77/EC1999年7月26日一定の危険な物質および製品の流通および使用の制限に関する加盟諸国の法律、規則および行政規定の整合化に関する理事会指令76/769/EECの第6次(改正)別添Tの技術進歩への適合(アスベスト)

欧州共同体の委員会は、
欧州共同体設立に関する条約を考慮し、
欧州議会および理事会の指令1999/43/ECによって最後に改正された、1976年7月27日の一定の危険な物質および製品の流通および使用の制限に関する加盟諸国の法律、規則および行政規定の整合化に関する理事会指令76/769/EEC、とりわけ、理事会指令89/768/EECによって導入された2a条を考慮し;

(1) アスベストおよびそれを含有する製品の使用が、その繊維の放出によって、石綿肺、中皮腫および肺がんを引き起こす可能性があることに鑑み; それゆえ市場における流通および使用をできうる限り厳しく制限する対象とすべきであることに鑑み、
(2) 指令76/769/EECの第5次改正である理事会指令85/610/EECが、アスベスト繊維のうちのクロシドライト・タイプとその含有製品を、3つの考えられる例外付きで、もはや市場に流通または使用してはならないと明記したことに鑑み; 同指令が、アスベスト繊維を含有する製品への義務的なラベル表示規定を制定したことに鑑み;
(3) 指令76/769/EECの第6次改正である理事会指令85/610/EECが、玩具、吹き付け塗装された物質または製品、小売用パウダー・フォーム製品、喫煙用品、触媒作用による暖房装置、塗料およびニス向けの、アスベスト繊維をもはや市場に流通または使用してはならないと明記したことに鑑み;
(4) 指令76/769/EECの別添Tを技術進歩に適合させた委員会指令91/659/EECが、アスベスト繊維のうちすべてのアンフィボール・タイプとその含有製品を、もはや流通または使用してはならないと明記したことに鑑み; 同指令が、アスベスト繊維のうちクリソタイル・タイプとその製品を、14の製品のカテゴリー向けには、もはや市場に流通または使用してはならないと明記したことに鑑み;
(5) 毒性、環境毒性および環境に関する科学専門委員会が、クリソタイル・アスベストとその代替品の健康影響に関して諮問されたことに鑑み;
(6) 現在ではクリソタイル・アスベストの残された用途向けの代替品または代替物質が利用可能であり、それらは発がん物質には分類されず、より危険性が少ないと考えられていることに鑑み;
(7) それ以下ではクリソタイル・アスベストが発がんリスクを生じさせないという、曝露の閾値レベルはいまだ確認されていないことに鑑み;
(8) 労働者および他のアスベスト含有製品の使用者の曝露を管理することはきわめて困難であり、間欠的には現在の〈曝露〉限界値をはるかに超えるかもしれず、曝露のこのカテゴリーは現在、アスベスト関連疾患を発症させる大きなリスクを生じさせていることに鑑み;
(9) 人間の健康を防護する効果的な方法は、クリソタイル・アスベスト繊維とその含有製品の使用を禁止することであることに鑑み;
(10) アスベストとその代替物質に関する科学的知見が進歩し続けていることに鑑み; 委員会はそれゆえ毒性、環境毒性および環境に関する科学専門委員会に対して、2003年1月1日以前に、クリソタイル・アスベストとその代替物質の健康影響に関する関連した新しい科学的データのさらなるレビューを実施するよう求めたことに鑑み; このレビューはまた、本指令の別の側面、とりわけ技術進歩に照らして除外〈措置〉について、検討することになっていることに鑑み; 必要であれば、委員会は法律の適切な変更を提案する予定であることに鑑み;
(11) クリソタイル・アスベストとその含有製品の流通および使用を段階的に禁止するための調製期間が必要とされることに鑑み; 現に設置されている電解装置に使用されるダイヤフラム〈隔膜〉に対しては、その曝露リスクがきわめて低く、また、この安全上重大な用途への適切な代替品の開発にさらに時間が必要なことから、この期間はより長くしなければならないことに鑑み; 委員会は、毒性、環境毒性および環境に関する科学専門員会の諮問の後、2008年1月1日以前にこの除外措置についてレビューする予定であることに鑑み;
(12) 本指令は、労働者保護のための最低要件を規定した理事会指令89/391/EEC、および同指令16(1)条の規定に基づく各個別指令、とりわけ、指令97/42/ECによって改正された、職場における発がん物質への曝露に関連したリスクからの労働者の防護に関する理事会指令90/394/EECを侵害しないことに鑑み;
(13) 職場におけるアスベストの曝露に関連したリスクからの労働者の防護に関する指令83/477/EECを改正した理事会指令91/382/EECが、行動が労働者をアスベスト粉じんに曝露させる可能性のある場所を管理するための枠組み(フレームワーク)について規定していることに鑑み;
(14) 本指令は、一定のカテゴリーの自動車およびトレーラーのブレーキ装置に関する加盟諸国の法律、規則および行政規定の整合化に関する理事会指令71/320/EECを技術の進歩に適合させた委員会指令98/12/ECを侵害しないことに鑑み;
(15) 本指令によって規定される措置が、危険な物質および製品についての貿易の技術的障壁の除去に関する、指令の技術的進歩への適合のための委員会の見解を侵害しないことに鑑み;本指令を採択する。

第1条
指令76/769/EECの別添Tはこれによって、この文書の別添で示したように、技術の進歩に適合される。
第2条
1. 加盟諸国は、遅くとも2005年1月1日までに、この指令に従った法律、規則および行政規定を実施しなければならず、また、それについて直ちに委員会に知らせなければならない。
加盟諸国がこれらの規定を採用するときには、参考文献にこの指令を含めるか、公式に出版するときにそのような参考文献が添付されていなければならない。そのような参考文献のための手続が、加盟諸国によって採用されなければならない。
2. 加盟諸国は、この指令のカバーする分野において採択した国内法の主要な規定について、委員会に伝達しなければならない。
3. この指令が効力を発してから、2005年1月1日までの間に、加盟諸国は、その領土内へのクリソタイル・アスベストの新たな用途の導入を許してはならない。
第3条 この指令は、オフィシャル・ジャーナルに発表されてから20日後に効力を発する。(注: 発表は1999年8月6日)
第4条 この指令は、加盟諸国に宛てたものである。ブリュッセルにて, 1999年7月26日委員会のためにKarel VAN Miert委員会委員

別添
指令76/769/EECの別添Tの第6項目は以下の項目に置き換えられる。

【旧】
“6.1.
クロシドライト(Crocidolite), CAS No. 12001-28-4
アモサイト(Amosite), CAS No. 12172-73-5
アンソフィライト(Anthophyllite)・アスベスト, CAS No.77536-67-5
アクチノライト(Actinolite)・アスベスト, CAS No. 77536-66-4
トレモライト(Tremolite)・アスベスト, CAS No. 77536-68-66.2.
クリソタイル(Chrysotile), CAS No. 12001-29-5

【新】
6.1. 意図的に付加された、これらの繊維およびこれらの繊維を含有する製品の市場における流通および使用は、禁止される。
6.2. 意図的に付加された、この繊維およびこの繊維を含有する製品の市場における流通および使用は、禁止される。
しかしながら、加盟諸国は、現存する電解装置用のダイヤフラム(隔膜)については、その使用の寿命が終わるまで、または、適切な無アスベスト代替品が利用可能になるまで、のいずれか早い方までの間、除外することができる。委員会は、この除外措置について、2008年1月1日以前にレビューを行う。
指令1999/77/ECの施行以前に、関係する加盟諸国によってすでに設置され、および/または、使用中の、6.1.項および6.2.項で示されるアスベスト繊維含有製品の使用は、それらが廃棄されるか使用の寿命が終わるまでは、許可され続けなければならない。
危険な物質および製品の分類、包装、表示(ラベリング)に関する委員会の諸規定を侵害することのないように、前述の除外(措置)によって認められる、これらの繊維およびこれらの繊維を含有する製品の流通および使用は、その製品が、指令76/769/EECの別添Uの諸規定に従ったラベルをつけている場合にのみ許される。”
*****


EUの新しいアスベスト指令の「詳細な解説」


European Commission DGV(Industry), 1999.7.30



はじめに

1. この解説は提案された、クリソタイル・アスベストの流通および使用を、いくつかの例外と経過措置つきで禁止する提案の背景事情について述べる。それから、指令の諸規定について説明する。この解説は、委員会のプレスリリース〈9月号45頁参照〉やQ&A〈省略―http://europa. eu.int/comm/dg03/directs/dg3c/asbestos/quesable.htmで入手できる〉以上の情報を必要とする、専門家、報道関係者、一般公衆向けの、詳細な背景事情のインフォメーション・パックになっている。

パートA: 背景

T 歴史的な背景

2. アスベストは19世紀の初め以来、広範囲にわたって使用されてきている。それは安価で、自然に生成する物質で、6種類の異なったタイプがある。最も一般的なものは、アモサイト(茶アスベスト)、クロシドライト(青アスベスト)およびクリソタイル(白アスベスト)である。
3. すべてのタイプのアスベストは、一定の非常に有用な特性をもっている。高温に対する耐熱性があり(建築物の断熱材向け)、繊維の特性による長所から建材に強度を与える(パイプや屋根材のようなアスベスト・セメント製品向け)。熱および腐食に対する抵抗性は、強度および弾力性を付与する能力と結びついて、ガスケット等のシール材として非常に有用である。
4. しかしながら、1970年代および1980年代初期を通じて、科学的な証拠によって、すべてのタイプのアスベストが石綿肺、肺がんおよび中皮腫(胸膜すなわち肺の内膜のがん)を引き起こすことが明らかになってきた。こうした健康との関係に反応して、多くの諸国が、アスベストの流通および/または使用を制限し、労働現場におけるアスベストの使用を管理するための規則を確立し、また、アスベストの環境への排出を制限する国内法令を導入しはじめた。
5. 初期のものとしては、1972年に、デンマークが、アスベストの吹き付け使用および断熱材への使用の禁止を導入した。この禁止措置は、この種のものとして世界で初めてのことと信じられている。同じく1972年に、イギリスがクロシドライト(青アスベスト)の輸入を中止した。これは、労働現場におけるアスベスト粉じんの曝露限界の制定と合わせて行われた。スウェーデンは、1975年にクロシドライトの流通および使用を禁止し、続いて1976年に断熱材への〈他のアスベストの〉使用を禁止した。フランスは、最初のアスベスト粉じんの管理限界を1977年に制定し、1978年に吹き付けへのアスベスト繊維の使用を禁止した。1977年にはまた、オランダが、クロシドライトおよび吹き付けへの〈他の〉アスベストの使用を禁止した。他の多くの諸国も、ほぼ同じ時期に同様の行動をとった。

U アスベストに関するヨーロッパの法律の進展

6. 1980年代初めまでには、ヨーロッパ・レベルにおいてアスベストに関する立法措置が必要であることは明白になってきていた。1983年に2つの重要な指令が承認された。アスベスト曝露によるリスクからの労働者の防護に関する83/477/EEC、および、アスベストの流通および使用に関する83/478/EECである。
7. 指令83/477/EECは、使用者に、アスベスト曝露による労働者へのリスクを評価し防護措置をとることを要求していた。それは、吹き付けによるアスベストの使用を禁止し、最大曝露限界を制定し、また、労働者の健康診断、作業場所の適切な清掃等を含む、一定の防護措置の導入を要求していた。また、アスベスト除去作業に関与する労働者に対する特別の措置が予測されていた。
8. 指令83/478/EECは、最初の〈欧州〉共同体規模でのアスベストの流通に関する措置を導入した。この指令は、クロシドライトの流通および使用を(わずかな例外つきで)禁止し、すべてのアスベスト含有製品への警告ラベルを義務づけた。指令85/610/EECは、このクロシドライトに関する(限定的な)禁止を、一定の特別の用途向けのすべてのタイプのアスベストに拡大した。
9. 同じ期間中に、理事会指令78/319/EECおよび87/217/EECが、アスベスト含有廃棄物の管理を含む、環境汚染を防護および減少させるための措置を導入した。
10. 1990年代の初めまでには、アスベストの危険性に関する科学的証拠は一層明らかになり、多くの用途向けにアスベストに代替する、より安全な物質が開発されてきた。ヨーロッパの法令は、一層その危険性を管理するために急速に発展した。1991年に、指令67/548/EECのもとで、すべてのタイプのアスベストがカテゴリーTの発がん物質に分類された。カテゴリーTはこの指令によると、人間にがんを引き起こすことが知られている物質、と定義されている。
11. 1991年にはまた、理事会指令83/477/EECを改正した指令91/382/EECが、クリソタイル・アスベストの最大曝露限界を0.6f/mlに、他の種類のアスベストを0.3f/mlに引き下げた。その1年前には、すべての発がん物質への曝露によるリスクからの労働者の防護に関する指令90/394/EECが、代替化の原則を導入した。これは使用者に対して、技術的に可能な場合には、作業場所で使用される発がん物質を、危険がないか危険のより少ない物質に代替することを要求している。この要求は、アスベストのより危険の少ない代替物質の開発の速度を早めるうえで、非常に重要であったと信じられている。
12. 流通の面では、指令91/659/EECが、クリソタイルを除くすべてのタイプのアスベストの流通および使用の全面禁止を導入した。クリソタイルは、14の特定されたカテゴリーの製品向けには禁止された。他のクリソタイル含有製品(アスベスト・セメント製品を含む)は、この指令の対象からは抜け落ちてしまった。

V 最近のクリソタイルに関する各国内法令の進展

13. 上述のとおり1991年までには、〈欧州〉共同体は、アスベストおよびアスベスト含有製品の管理された使用〈controlled use〉の方針は確立していた。以来、共同体レベルでは大きな法律的変化は起こらなかった。指令91/659/EECは(起草された時点では)、アスベスト流通および使用に関する現行の指令には手をつけなかった。しかし1990年代において、この共同体の方針は一般公衆の健康を防護するのに不十分であると考える加盟諸国がどんどん増えてきた。これらの諸国は続々と、整合化の範囲に含まれていない製品に関するさらなる国内的な制限を課すようになり、〈欧州共同体の〉域内市場に不統一を生じさせた。これらの各国における進展の概略年表は別添T〈48頁参照〉に示してある。この表の背後には、導入された制限措置の複雑さがあることを理解すべきである。各国において、〈関連〉産業がノン-アスベスト製品に転換できるように〈各国独自の〉経過措置や例外措置が設定され、制限措置はしばしばいくつかの法令の関連する断片〈の寄せ集め〉の形をとった。
14. 現在の状況は、各国における制限措置は非常に多様性があるということである。また、この間に、同等の性能のクリソタイル・アスベストの代替物質がたくさん開発された。これらの代替物質の開発は、法令の発展を助け、また、それによって発展してきた。
15. 1991年の時点でさえも、委員会は、クリソタイル・アスベストの流通および使用をもっと制限することが必要であることをはっきり理解していた。指令91/359/EECの採択にあたって、委員会は、例外つきで共同体規模での禁止を提案する意向を発表していた。1993年に、委員会の担当部門は、そのような禁止提案の草案を起草した。しかしながら、加盟諸国との7回にわたる会議の後、広範な見解の相違が存在し、さらなる背景情報なしには必要な有効過半数に達することはできないということがはっきりした。
16. そのため、1993年の時点においては、広範囲にわたる作業プログラムが完了するまでの間、提案の草案は棚上げされることになった。これは、アスベスト産業およびアスベストとその代替繊維の健康影響に関する別々の多数の調査研究からなるものであった。
17. その間に、フランス(1996年)およびベルギー(1998年)が、クリソタイルの国内における禁止を導入し、1994年には、すでに国内における禁止を実施している3つの新加盟国(オーストリア、スウェーデン、フィンランド)がEUに加わった。
18. 〈この文書の〉起草時点(1999年4月)において、禁止しているのは9つの加盟諸国で、禁止の原則を支持しているのがさらに3か国(イギリス、アイルランド、ルクセンブルグ)存在する。他方、スペイン、ポルトガルおよびギリシャは、科学的および技術的な前提のいかなる変更にも反対し、経済的影響からアスベスト・セメント産業を擁護し続けている。過去数年間以上にわたり、委員会は、加盟諸国、産業界および他の関係者との会合を定期的に開催してきており、直近〈の会議〉は1998年12月15日であった。欧州議会および経済社会評議会もまた、この問題に重大な関心を示してきた。最近の経済社会評議会の「自発的」見解〈8月号25頁参照〉は、EU規模における禁止を要求した。

W 新指令の科学的正当性


19. 委員会は、十分な科学的正当性が存在する場合に、化学物質の流通および使用を制限する法律を提案するだけである。それゆえ、委員会にとって、その主要な代替物質と比較したクリソタイル・アスベストのリスク・アセスメントのスポンサーとなることは非常に重要なことであった。まず、委員会はERM(環境資源管理)に、クリソタイル・アスベストによって引き起こされる人間の健康へのリスクに関する最新の世界中の科学的見解について要約する調査研究を実施するよう求めた。この調査研究が終了し、加盟諸国によって議論された後に、新たな独立した毒性、環境毒性および環境に関する科学専門委員会(SCTEE)にピア・レビューのために付託された。
20. 「アスベストおよび代替繊維により生ずるハザードおよびリスクに関する最近の評価および世界規模における最近の繊維に対する立法状況」に関するERMの研究は、「それ以下でならクリソタイルは発がんリスクを生じさせないという曝露の閾値レベルは確認されていない」、また、(入手可能な情報に基づいて)現在のクリソタイルの主要な用途について代替物質が入手可能であり、それらはクリソタイルよりも健康に対するリスクが低いようである、と結論づけた。この研究は、1998年2月にSCTEEにまわされた。彼らは、「クリソタイルの安全量はないと考える決定的な情報はないので、それは適切であると思われる」ということで同意した。この結論は、1998年9月15日のSCTEEの後の見解で確認された。
21. 代替物質に関して、CSTEEは2月の時点で、「特定の代替物質は、クリソタイルの現在の使用状況よりも、人間の、とりわけ一般公衆の健康に対するリスクは実質的に低いという結論は、…結局のところ妥当であると考えられる」と結論づけた。しかしながら、主要な代替物質のリスクに関して、クリソタイルとのリスクの比較をよりよくできるように、さらなるデータを収集すべきであると勧告した。代替物質による相対的リスクを理解することはきわめて重要であることから、加盟諸国は1998年3月3日に開催されたワーキング・グループの会合において、CSTEEに対して、可能な限り速やかに代替物質に関する補足的な見解をまとめるよう求めることに同意した。
22. 1998年9月15日、CSTEEは、クリソタイルとクリソタイルの残された用途向けの3つの主要な繊維状代替物質(セルロース繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維およびパラ-アラミッド繊維)の相対的リスクに関する見解を提出した。その結論は、「肺と胸膜のがん、肺の繊維化の誘発、…および他の影響の双方について、セルロース、PVA、パラ-アラミッド繊維が、クリソタイル・アスベストと同等またはそれ以上のリスクを生じさせることはなさそうである。発がん性および肺の繊維化の誘発に関しては、CSTEEは、リスクは相対的に低いというコンセンサスに達した」。加えて、「CSTEEは、新たなより太い(より吸入されにくい)繊維の開発技術についてはもちろん、代替繊維の毒物学および疫学の分野についての一層の調査研究を強く勧告する」としている〈1998年12月号38頁参照〉。
23. したがって、科学の最新の知見に基づいて、一定の例外および経過措置つきで、クリソタイル・アスベストを禁止する指令の草案の提案へと進むことが決定された。これが現在採択された指令になった。この指令は別添Uに添付してある〈オフィシャル・ジャーナルに掲載された確定版(指令番号を確定)―38頁参照〉。
24. 委員会は、今後5年以上の新たな調査研究の結果、この指令をレビューしたり、あるいは、代替物質に関する新たな立法の提案が必要になるかもしれないことを理解している。委員会はそれゆえ、経過期間の終了以前に、科学的状況を再検討するという政治的公約をこの指令に付随させることを計画している。これは、別添Vに示した、付随した委員会と加盟諸国により作成された宣言〈47頁参照〉のなかで述べられている。

X 委員会の提案にいたった他の要素


25. この政策決定にいたった他の要素は、禁止の、とりわけスペイン、ポルトガルおよびギリシャに対する経済的影響に関するERMの別の調査研究である。この研究の最終レポートは、加盟諸国および産業界とともに討議され、提案された指令をまとめるのに利用された。とりわけ、この研究は、5年間の経過期間はスペイン、ポルトガルおよびギリシャに対する社会経済的インパクトを減少するが、それ以上の期間は影響の軽減効果をもたないと結論づけている。これが、提案に5年間の経過期間が含められた理由のひとつである。
26. クリソタイル・アスベストの流通に関するこれらの進展と並行して、1998年4月7日の社会問題理事会において、加盟諸国は、労働者のアスベスト曝露に関する現行の管理を強化することを求めた。クリソタイル・アスベストの禁止それ自体は、既存の、とりわけ建築物内のアスベストの存在によって引き起こされる諸問題を解決しないことは明らかである。加盟諸国はそれゆえ、現行の曝露限界を引き下げ、アスベストを除去する労働者により厳しい防護を提供し、また、アスベストに曝露する可能性のある労働者にい以上の情報およびトレーニングを提供することを勧告した。昨年11月、委員会(第5総局(DGX))は、関連する指令の改正の必要性を検討するため、理事会の要請に答えて加盟諸国との協議を開始した。理事会指令83/477/EECの改正の提案は、2000年初め〈になると〉と予想されている。

パートB: 指令草案の説明

T 「鑑み〈whereas〉」条項および主要条文


27. 「鑑み」条項は、本指令の委員会の〈提案〉理由を述べている。きわめて簡潔に、委員会の担当部局は、現在では禁止を正当化する十分な科学的証拠があると考えた。本指令は実際に、法律用語としてはきわめてシンプルである。それは、5年間の経過期間を伴う禁止である(第2.1条)
28. 「鑑み」のうちの第10および11項は、委員会を代表して将来の科学の進展に照らして本指令をレビューするという公約を述べたものとして、注目すべきである。この公約は、本指令に付随した宣言のなかでさらにくわしく述べられている(以下を参照)。
29. 第2.1条の文言は、各国において異なった国内法令が実施されていることに留意して、加盟諸国に一定の柔軟性を認めたものである。禁止は、加盟諸国によって遅くとも2005年1月1日まで実行されなければならない。しかし、加盟諸国は、この期日までの間に自国の領土についてポジションを整合化させる速度を選択することが可能である。ある加盟国は、きわめて速やかに禁止を導入するかもしれず、他の国は、5年間をまるまる必要としたり、5年かけて段階的に禁止を決定するかもしれない。各国内における産業の状況に応じて、また、必要とされる国内の立法手続を考慮して、必要な決定が行われることになろう。
30. 5年間以上の〈経過〉期間というのは、産業が調整するのに約5年かかったデンマークおよびドイツにおける禁止の導入の経験、および、産業のために5年間の転換期間を勧告した代替化の技術的経済的影響に関するERMのレポートに基づいたものである。
31. 第2.2条の趣旨は、本指令が発効する以前に市場にあらわれる新たな製品(すなわち、新たな分野または新たなタイプの製品)を防止するためのものである。また、本条は、5年後の禁止を延期することは本指令の趣旨ではないが、各国当局および産業界に調整のための期間としての経過期間〈の設定〉を認めたものである。

U 本指令の別添(第6.1および6.2項)


32. 第6.1項は、現行の指令(91/659/EEC)から変更されていない。これは、〈クリソタイル以外の〉他のすべてのタイプのアスベスト繊維およびそれらを含む製品についての全面禁止を維持している。
33. 第6.2項は、塩素プラントの電解装置用のダイヤフラム〈隔膜〉用、および、本指令が発効する以前にすでに設置または使用されているアスベスト含有製品の2つの例外を除き、(遅くとも)2005年1月1日から、クリソタイル・アスベストの禁止を導入するものである。
これらの例外を設けた理由は、下記のとおり。
例外の基準
34. 委員会/加盟諸国のワーキング・グループの数回に会合において、クリソタイル・アスベストの〈欧州〉共同体の制限からの考えられる例外について議論がなされた。ワーキング・グループでは、共同体レベルで考慮されるべき、また、制限をすでに導入している加盟諸国における現行の例外について検討した。
35. 1997年12月に、加盟諸国の大多数は、例外を決定する基準は以下のとおりとすべきということに同意した。―技術的に代替化が可能であるか?―その代替物質は人間の健康、安全および環境への危険性がより少ないか?―その代替品は同じ水準で機能するか?(副次的重要性)
35b. 経済的基準は重要な考慮事項ではあるが、決定的なものではないとみなされた。世界貿易機関(WTO)のルールによれば、健康の防護のために導入された措置による経済的減損を許容するのは単純に許されることではない。
36. いくつかの加盟国は、将来の新たな代替技術の開発に配慮が払われるべきであると示唆した。イタリア、ドイツおよび現在ではフランスの経験は、十分な時間を与えれば、クリソタイル・アスベストの現在のほとんどすべての用途について代替物質に取り換えることが可能であることを示している。

本指令の範囲

37. 本指令によって導入される制限の厳密な範囲は、少し説明が必要である。第6.1項および第6.2項の最初の文章は、まったく同じである。それは実際には、4つの異なる禁止を導入することになる。
a) アスベスト繊維の市場における流通の禁止
b) アスベスト繊維含有製品の市場における流通の禁止
c) アスベスト繊維の使用の禁止
d) アスベスト繊維含有製品の使用の禁止

38. 指令76/769/EEC(〈本指令の〉親指令)の文脈においては、上記の(a)および(b)の禁止は、最初に市場に流通するアスベスト繊維およびアスベスト繊維含有製品のみに適用される。製品がすでに一度市場に流通してしまえば、この禁止それ自体は、それらの製品の再売却〈re-sale〉または中古品〈secondhand〉販売を妨げるものではない。
39. 原料のままの〈raw〉アスベスト繊維に対する除外〈措置〉はない―上記の(c)―本指令が発効した後はアスベスト繊維は使用できないという意味。これは、(他の事柄のなかで)遅くとも2005年以降は、それら〈アスベスト繊維〉は製品の製造に使用することはできない。本指令はそれゆえ、アスベスト含有製品の製造の事実上の禁止を導入することになる。
40. 第6.2項の第3段落は、本指令が加盟各国において実行される時点以前に、すでに設置および/または使用されている製品について、上記の(d)から除外するということである。言い換えれば、この除外は、市場にある既存のアスベスト含有製品の在庫の使用には適用されない。この趣旨は、既存のアスベスト含有製品(例えば、アセチレンガス用シリンダー、すでに流通しているアスベスト・セメント製品、古いまたは中古の自動車)の「受動的〈passive〉」な使用の継続を許すということである。委員会はまた、アスベストの管理されない除去をやめさせたいと望んでいる(宣言を参照)。この除外〈措置〉は、しかしながら、それらの製品が廃棄されるか、または、その使用の寿命が終了するまで許されるだけである。
41. しかしながら究極的には、委員会は、この既存のアスベストの在庫は減少してほしいし、アスベスト含有製品の中古品販売または再販売はやめさせたいと望んでいる。それゆえ、第6.2項は、既存のアスベスト製品に対する除外〈措置〉の範囲に関して、加盟諸国が国内レベルで決定することを認めている。各国は、もし望めば、すでに設置または使用されている一定のアスベスト製品の使用を禁止することを選択するかもしれない。
42. 本指令によって導入される禁止の範囲は、76/769/EECの他の部分と一致している。とりわけ、91/659/EECと一致している。本指令は、〈欧州〉共同体におけるクリソタイル・アスベストの在庫のいかなる増加をも事実上止めるであろうが、〈本指令〉それ自身は、現在の在庫を減少させるものではない(少なくとも、この在庫がその使用の寿命の終了に達するまでは)。
43. 最後に、労働現場における既存のアスベストの在庫をマネジメントおよび管理〈contorol〉することに配慮することは価値のあることであるが、これはもちろん第5総局〈DGX〉が所管する指令のもとで扱われるものであり、ここでの議論とは区別される問題である。アスベスト廃棄物の管理については、第11総局〈DGXI〉が所管する指令が管轄している。

電解装置に使用されるダイヤフラム

44. 第6.2項の第2段落は、塩素プラントにおいて電解装置用に使用されるダイヤフラム〈隔膜〉に対する除外を導入している。この除外は、加盟諸国が、既存のプラントが使用の寿命の終了に達するまで、あるいは、適切な無アスベスト代替品が開発されるまでのいずれかまで、これらの特別の製品の製造および使用の継続を認めることを許している。この除外は、EUにおいてはまったく少数にすぎない、既存の電解装置に対してのみ適用される。したがって、クリソタイルを含有したダイヤフラムを使用する新たな装置は許されない。
45. ダイヤフラムは、技術的に代替化が不可能なクリソタイル・アスベストの現在の唯一の用途であるという理由による、特別なケースである。適切な代替品が現在のところ、入手できない。塩素産業は、過去数十年間にわたり調査研究を実施してきたが、アスベストよりも高い安全リスクをもたない代替品を開発することができなかった。すべての既存のプラントに現在入手可能な代替品を使用したとしても、許容できない爆発のリスクが存在することになってしまう。一方、ダイヤフラムを製造または使用中にクリソタイルに曝露するリスクは、現場では密閉システムのもとで行われていることから、きわめて低い。ダイヤフラムは、「市場に流通」してはいない。
46. したがって、塩素産業に代替品を開発するためにさらに時間を与える相当な理由があるわけだが、本指令の精神では、この例外を無制限に放置するわけではない。委員会は、まずは2003年の本指令が予定する概括的なレビューの一部として、それから再度特別に、2008年以前に、この除外についてレビューする予定である。各々のケースについて、委員会は、この除外を維持すべきかどうか決定する前に、SCTEEにピア・レビュー/科学的リスク・アセスメントの実施を求めることにしている。

他の例外〈措置〉

47. 岩石または土壌のなかに自然に生成したクリソタイル・アスベストは、第6.2項によって、「意図的に付加された」ものではないとして、除外される。また、研究および分析に用いられる物質も、指令76/769/EECによって一般的に除外される。さらに、加盟諸国は、EC条約第223号をアスベストの軍事使用に適用する自由を有している。表示〈ラベリング〉
48. 第6.2項のサイゴン歩段落は、現行の指令によって、アスベスト繊維およびそれらを含有する製品に対して表示の要求を提起している。しかしながら、これは、第6.1および6.2項の〈禁止に対する除外として〉残されたアスベスト繊維および製品についてのみ適用されるものである。

V 宣言

49. 1999年5月4日に開催された会合で、委員会と加盟諸国は3点の共同宣言を作成した。これらは、本指令の法的文書の一部をなすものではない。最初の2点は、委員会を代表しての、特定の期間内において一定の作業を実行するという政治的公約である。このような公約は(76/769/EECの文脈においては)、常に委員会によって履行されてきた。3点目の公約は、本指令のひとつの側面を明確にするための声明である。

50. 第1の宣言は、2003年以前に科学の進歩に照らしてECの法律をレビューするための委員会の委託事項を示すことによって、〈指令本文の〉前文第10条項を拡張するものである。委員会は、この分野における調査研究を促進する。アスベストについてと代替品についての科学的知見にギャップが存在し、新たな調査研究による知見が適切なさらなる立法的行動を必要とするかもしれないということ明らかである。しかしながら、このレビューは、本指令の実行を引き伸ばすための口実に利用されてはならない。例えば、レビューの結果、代替物質に関連した深刻な健康影響が発見されたとしたら、代替物質に関する適切な立法を検討する必要が出てくるだろう。それは必ずしも、アスベストの禁止を外すことを意味しない。そのレビュー〈の結果〉に基づいて、SCTEEにさらなるピア・レビュー/リスク・アセスメントを求めることになるだろう。

51. このレビューはまた、ダイヤフラムに対する除外を検討し、また、加盟諸国が追加すべき除外ケースを提出する〈機会を〉与えるものである。この理由は、まだ加盟諸国が確認していない、適切な相対的に安全な代替品がなく、いかなる技術的代替策もないマイナーなアスベストの用途が存在するかもしれない可能性があるからである。そのような場合には、加盟諸国は、SCTEEによるリスク・アセスメントの後に、委員会と加盟諸国によって検討されるべき追加の除外のための要求を提出することができる。これは、使われる必要がないことが望まれる、安全弁である。

52. 第2の宣言は、2008年以前にダイヤフラムについての除外をレビューするという声明を示すことによって、〈指令本文の〉前文第11条項および指令別添第6.2項を拡張するものである。ここでも、その結果に基づいて決定を下すための、SCTEEによるピア・レビュー/リスク・アセスメントの実施が予定されている。

53. 最後に、第3の宣言の趣旨は、本指令によって影響を受けるすべての者に対する一般的なメッセージである。アスベストの禁止が、既存の建築物および機器のアスベストが除去されなければならないということを意味するものではないということを明確にすることは重要である。実際に、アスベストの管理されない除去は、除去作業が粉じんおよびより高い曝露レベルを生み出すことにより、それをそこに放置しておくよりも、より危険を大きくする可能性がある。アスベスト廃棄物の廃棄時に考慮されなければならない環境上の側面も存在する。アスベストの除去は、理事会指令83/477/EECが対象とすべき問題であり、第5総局〈DGX―雇用・社会問題〉によって指令のレビューが検討されているところである。

54. アスベスト廃棄物は、有害廃棄物に関する指令91/689/EECによって示された要求事項にしたがって取り扱われなければならない。しかし、現行の法律は、建築物を取り壊す以前に、すべてのタイプのアスベストを除去することは要求していない。さらに、提案された禁止はアスベストが意図的に付加された製品を対象としているだけで、アスベスト廃棄物およびアスベスト含有廃棄物のリサイクルに対する禁止は存在していない。第11総局〈DGXI―環境・原子力安全管理〉はすでに、この状況をレビューする作業を開始している。
55. 既存の建築物内のアスベストに関心をもつ者は、まず第一に適当な国内および地域の行政機関にコンタクトすべきである。

別添T
ヨーロッパの各国におけるクリソタイル・アスベストの制限の導入に関する概略年表

1983 アイスランドがすべてのタイプのアスベストの禁止(例外つき)を導入(最新版は1996年)
1984 ノルウェーがすべてのタイプのアスベストの禁止(例外つき)を導入(1991年に改定)
1986 デンマークがすべてのタイプのアスベストの禁止(例外つき)を導入(1993年に施行)
1986 スウェーデンが様々な用途へのクリソタイルに関する一連の禁止の最初(例外つき)を導入(1996年まで)
1990 オーストリアが広い範囲にわたるクリソタイルの禁止(いくつかの例外)を導入
1991 オランダが様々な用途へのクリソタイルに関する一連の禁止の最初(例外つき)を導入(1997年まで)
1992 フィンランドがクリソタイルの禁止(例外つき)を導入(1993年発効)
1992 イタリアがクリソタイルの禁止(1994年までいくつかの例外)を導入
1993 ドイツがクリソタイルの禁止(例外つき)を導入
1996 フランスがクリソタイルの禁止(例外つき)を導入
1998 イギリスがクリソタイル禁止(例外つき)導入の計画を発表

注意

このリストは包括的なものではない。別添V委員会および加盟諸国による宣言1. 毒性、環境毒性および環境に関する科学専門委員会は、クリソタイル・アスベストおよびすべてのクリソタイル・アスベストの代替物質についてさらに調査研究が行われるべきであると勧告した。委員会と加盟諸国は、そのような調査研究を強く奨励し、もし将来の代替物質に関する調査研究によって人間の健康への深刻な影響が明らかにされれば、この指令を含めた繊維に関するECの法律をレビューすることが必要になるであろうことを理解している。また、この指令の別の側面、とりわけ技術の進歩に照らして除外〈措置〉を、レビューすることも必要である。 委員会はそれゆえ、2003年1月1日以前にレビューに取りかかることとし、とりわけ以下の点について検討する;

―クリソタイル・アスベストとその代替品の健康リスクに関する適切な新しい科学的データ
―ダイヤフラムへのアスベストの使用の除外、および
―この指令では予測されていない、技術的理由による除外の追加に関して、加盟諸国からなされた要求
このレビューは、確立された共同体の原則に従って、毒性、環境毒性および環境に関する科学専門委員会によって実施あるいはピア・レビューされる独立した科学的リスク・アセスメントに基づくこととする。もし必要であれば、委員会はそのとき、法律の適切な変更を提案する。

2. 委員会と加盟諸国はまた、電解装置に使用されるダイヤフラムへのクリソタイル・アスベストの使用の除外をレビューすることが必要であり、以下の状況においては速やかにこの除外を終わらせるべきであることを理解している。―クロロ-アルカリ・プラントにおける適切な安全のレベルを保証する適切な繊維が利用可能になった場合、または―現存の装置が使用の寿命が終わった場合。委員会は、この除外(措置)について、2008年1月1日以前の一定の時期にレビューする。このレビューは、確立された共同体の原則に従って、毒性、環境毒性および環境に関する科学専門委員会によって実施あるいはピア・レビューされる独立した科学的リスク・アセスメントに基づくこととする。

この除外の継続を正当化するために、委員会と加盟諸国は産業界に対して、ハイ・レベルの人間の健康および環境の防護を確保するために、代替品開発のためのできる限りの努力がなされており、ダイヤフラムの製造、使用および廃棄におけるクリソタイル・アスベストへの曝露のリスクが技術的に可能な限りの低さを維持し続けていることを立証するよう求めている。
3. 委員会と加盟諸国は、いかなるタイプのアスベストの除去を要求することも、委員会指令76/769/EECの別添Tの6.1項および6.2項の意図するところではないことを確認する。アスベストの管理されない除去は、強く反対されている。委員会は、アスベストの廃棄に関する新たな措置が必要かどうかについて調査検討する。

* 原文は、http://europa.eu.int/comm/dg03/directs/dg3c/asbestos/asbdetainote.htmで入手できる。
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イギリスは11月24日にアスベストを禁止



Department of the Environment, U.K., 1999.8.25



白アスベストのイギリスへの輸入ならびにイギリスにおけるその供給および使用は3か月の期間のうちに禁止される、とJohn Prescott副首相は本日(8月25日)発表した。
この動きは、最近の欧州連合(EU)の法律の採択およびイギリスにおいて禁止を実行するための副首相による規則への署名を受けたものである。アスベストを含有する製品の輸入、供給および使用もまた、この新しい規則によって禁止される。 Prescott氏は次のように語った。

「われわれは、白アスベストの輸入、供給および使用を禁止するために、強く働きかけてきた。国内規模の禁止によってこのプロセスを完結することができるようになったことをうれしく思う。

この潜在的に致死的な物質を禁止するというわれわれの公約を、ついに果たすことができた。われわれは、当初から白アスベストのヨーロッパにおける禁止を支持し、ようやくそれを成し遂げた。われわれは、それなしには禁止がありえなかったであろう、代替物質の安全性に関する信頼できる科学的知見を確実なものにするうえで、指導的な役割を果たした。さらに、欧州指令が設定したデッドラインよりも5年早く、3か月の期間のうちに、イギリスにおいては、白アスベストの禁止が効力を発することになる。まだそうしていない加盟諸国が、迅速に指令を実行し、可及的速やかにヨーロッパにおいてすべての種類のアスベストが禁止されることを希望する。

白アスベストの禁止を実行することが証明するように、政府は安全と健康の問題に真剣に取り組んでいる。また、このヨーロッパ規模の禁止を確保するにあたっての、安全衛生委員会(HSC)のハードワークに対して感謝する。」編集者への注 イギリスにおける禁止は、1999年11月24日に効力を発する。

* このプレス・リリースの原文は、http;//www.nds. coi.gov.uke/で入手することができる。
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