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第3回 狡兎三窟

そのうちの一人に恋をしていた・・・わけではない。
ベッドには柵にかける形で尿瓶が常備されてあった。
彼女達が居た時その尿瓶には、なんと溢れんばかりの尿が溜まったままだったのだ。
はっきりと覚えている。それは2回分。
通常はもちろん1回毎に処分してもらっていたのだが、
看護士が忙しい時間帯にはこういう事もよくあった。
気付かない事を祈ってみたが、どう考えても見える位置だ。
こんな時だけ神にすがろうなどという都合の良い祈りが通じるわけがない。
そういえば彼女達はどこか余所余所しかった気がする。
思春期の少年にこれは辛い。
数ヵ月後、新たな不安もわきあがってきた。
ベッドは廊下側。
しかし部屋の扉が閉まっていたら何をするにしても安心していたのだが、
扉には小窓がついていて、そこから中は丸見えなのである。
立って部屋の外に出てみて、初めて気がついた。
見舞いに来る人達が、高確率で部屋の入る前にその窓から中を確認する事も、知ってしまっていたのだ。
カーテンなど、いちいち人を呼んで開閉させるわけはなかった。
要するに、用を足しているところも見られてるんじゃないのかと。
この件だけに限った事ではなく、外から見るとどれだけ無防備だったかを知った時、
色々な事を思い出して悶えまわりたい衝動にかられた・・・かと思えばそうでもない。
具体策を講じたり腹立てたりするより、さっさと慣れてしまう事を選んだ。
今考えてもそれが最も賢明な判断であったと思うし、
おかげで色々な意味でこんな恥知らずな人間になれたわけである。
それくらい冷静に考えれば恥ずかしい事は色々あった。
※画像はその時来てくれた人が寄せ書きに書いてくれていたイラスト
続く
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