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膠原病に用いられる薬剤について
国立療養所宇多野病院リウマチ科 柳田英寿先生の講演会でのお話を元に作成しました
膠原病に用いられる薬剤には、免疫・炎症反応に使用される薬剤と、
合併症や副作用に対して使用される薬剤があります。
免疫反応・炎症反応に対して使用される薬剤
副腎皮質ステロイド剤
リウマチ・膠原病で用いられる代表的な薬。
2錠以下では抗炎症作用、5錠以上で免疫抑制作用(腎臓・心臓・肺に影響も)がある。
ステロイドホルモンは朝に1錠分程分泌され、体の様々な部位に色々な働きをする重要なホルモン。
そのため、服用することで様々な副作用があるもののがあるものの、
(コレステロール上昇 体脂肪上昇 骨粗鬆症など成人病のような病態)
他の薬剤が体質により適不適があるのに比べ、誰にでも効果があり一番確実なので多用される。
免疫抑制剤
以前はステロイドが効かない時のための薬だったが、現在では初めから使用するなど、
より積極的に使われている。
最初から使用する以外には、ステロイド減量が難しい時の補助的に使用する場合など、様々。
免疫抑制と言っても、通常量使用ではそれほど強く抑えるわけではなく、
骨髄抑制や、免疫力低下によるガン発生率増大などの副作用は、以前に心配されていたほどではない。
長期服用でも大丈夫。
免疫調整剤(抗リウマチ薬)
主に関節リウマチで使用される薬で、炎症の原因となる細胞の働きを抑えていく。
直接の抗炎症効果はなく、服用開始から自覚症状改善までは2〜3ヶ月かかる。
(リウマチは命に影響する事はほとんど無く、よってリスクが無く長期使用でも安全な薬剤である)
ただし効果が表れ始めるとその効果は持続し、
痛み止めでは通常不可能(ステロイドでも不可能)な関節破壊の進行を抑制していく。
リウマチ以外の膠原病でも炎症性病変を抑えるために使われることがある。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
痛み・熱・腫れを即座に緩和する、所謂痛み止め・熱冷まし。
リウマチ・膠原病の勢いが強い時は効果が不十分なことがよくあり、その際はステロイドを使用。
また、炎症による体のだるさを改善するためにも使われる。
主な副作用は胃を荒らす事だが、近年では改善されてきている。
他にも、5年以上の長期にわたって服用すると腎機能を低下させる事があるため、
ある程度症状が治まれば不定期使用へ変えていく。
生物学的製剤
ステロイドにしろ免疫抑制剤にしろ、関係ない部位の数多くの種類の細胞にまで影響を及ぼし、
それが副作用を起こす原因となってしまう。
影響を及ぼす細胞の種類を絞り込むことを可能にするのが生物学的製剤。
免疫細胞に結合し偽情報を流したり、
免疫細胞同士連絡を取るための物質を阻害して情報が伝わらないようにするなどして抑制する。
慢性関節リウマチやSLEなどで研究・実用化されているものの、
アメリカでもまだ10年程度と長期使用での安全性が確立されていない事と、
コストが非常に高い事が問題である。
2003年3月頃くらいから日本でも使用開始が予定されている、抗TNFα抗体もこの製剤の1つである。
これは抗菌にやや影響を及ぼすが副作用は少ない。
最初の使用から数週間おき、最後には8週おきの使用となるが、
一回のコストは原価で23万円、3割負担でも8万円と非常にコストがかかる。
合併症・副作用に対して使用される薬剤
病原微生物に対する薬剤
抗菌剤
免疫抑制されている時は細菌感染を起こしやすいため、(それにより膠原病そのものも悪化する事も)
単なる感冒であっても抗菌剤を使用することが多い。
抗菌剤はアレルギーを起こすことが多く(膠原病患者は一般より起こしやすい)
そのような場合は今後同じ薬の服用を避けるためにも薬の名前をしっかり控えておくことが大切。
結核にかかったことがある人は予防的に抗結核剤を使用する場合がある。
抗ウィルス剤
ヘルペスウィルス感染が起こりやすいので、それに対する薬。
酷ければ入院となるが、一週間弱で飲み薬のみで治す事も可能。
ただしこの薬はお腹の症状を誘発する恐れあり。
ヘルペスウィルスは神経に住むウィルスのため、
早く治療しないと神経痛が後遺症として残る可能性があるので、注意。
抗真菌剤
所謂「水虫」が主。
指だけでなく体や顔に出ることも。
爪白癬の場合には外用薬では不十分で、内服薬が必要になる。
内服薬はアルカリ性では急襲が悪くなるため、
制酸剤(胃酸を抑える薬)との併用は効果が薄くなるので注意。
また睡眠剤の効果を増強してしまうため危険なので併用に注意。
糖尿病治療剤
ステロイドの副作用で糖尿病になる事があるため。
(血縁関係で患者が居ればさらに可能性は高くなる)
ステロイドの場合はインスリンの効きが悪くなるため、
通常の糖尿病よりもインスリン抵抗性改善薬が有効。
この薬は2種類あったが、一つは肝臓を傷めるため中止に。
もう一つもやや肝臓を傷める他、むくみなどの症状が表れるため、
当然、食事療法が基本となってくる。
インスリン抵抗性改善薬で効果不十分の場合はインスリン注射をする事もあり。
骨・カルシウム代謝剤
骨折予防・骨量減少抑制のためには、ビタミンK製剤とビスフォスフォネート製剤が有効。
ビスフォスフォネート製剤は食物に結合してしまうため、空腹時に服用する必要があり、
そのために食道や胃を刺激してしまう事がある。
一般によく言われるビタミンDは、以前考えられていた程には骨折予防には有効ではない。
ただし皮膚病変などのために紫外線に当たるのを控えなければならない方は、
ビタミンD不足になるので補充が必要になってくる。
血液に作用する薬剤
造血剤
鉄剤が主。
制酸剤を服用している場合鉄の吸収は悪くなる。
慢性の炎症があると鉄の利用効率が悪くなる。
このため、食事に注意しても鉄の欠乏状態になる事があるため。
内服、もしくは注射で用いられる。
注射の鉄剤は炎症を悪化させる事があるので、出来れば内服で。
抗血栓剤
リウマチ・膠原病では血管で炎症が起こったり、
血管の太さを調整する神経の異常(レイノー現象)で血流障害が起こりやすくなっている。
このような場合、血栓が作られやすく、血栓が詰まる事による血流不足で、
痛みを誘発するだけでなく、器官の機能低下・破壊をもたらすので、
これを防ぐために用いられる。
抗高脂血症剤
ステロイドを服用している人は高脂血症を起こしやすくなっており、
動脈硬化を起こして血流障害を招いてしまう事がある。
そのため総コレステロールで200〜220mg/dlを目指す。
コレステロールの要因は、食事のは実は3割ほど。
7割は他の要因によるもので、食事療法では限界があるため、薬剤の使用となる。
循環器系に作用する薬剤
血管拡張剤
炎症や動脈硬化によって狭くなった血管を元に戻すことは現在では不可能。
(風船で膨らませる治療があるが、膨らませても再び縮んでしまう)
しかし血管の緊張を緩め、一時的にある程度広げて血流を改善する事は可能。
ただしこれらの薬剤は不必要な部分も効果が表れてしまうので、
顔のほてり、動悸、頭痛などを起こすことがある。
降圧剤
腎臓を傷めたり、動脈硬化、ステロイドの副作用等で血圧が高くなるため。
高血圧を放置すると血管を傷め、器官の機能低下・破壊をまねく。
収縮期血圧(上の血圧。下は拡張期)で120以下を目指す。
(外来ではどうしても高くなりがちなので、もう少し高くて可。
むしろ外来で120では低血圧気味。)
消化器系に作用する薬剤
胃腸機能調整剤
ストレス・体調不良・薬の副作用等、胃腸機能を落とす要因は様々。
どの原因によるものか突き止めるのが先決。
ただし膠原病では、合併症としての消化管の運動不良、
治療に必要不可欠な薬剤による胃腸障害がある。
このような時に症状を軽減する目的で薬を使用。
消化性潰瘍治療剤
痛みなどのストレス、薬の副作用などのために胃・十二指腸潰瘍の危険性があるため。
最近では胃にやさしい痛み止めも増えてきたが、危険はゼロではないうえ、
痛み止めにより潰瘍の痛みも軽減され気がつきにくい場合が多い。
(なので出来れば胃カメラで調べるのが良い)
そんな時にこれらの薬を併用することが必要。
下剤
膠原病(特に強皮症)そのものが腸の動きに影響して便秘をまねくだけでなく、
関節病変などで十分全身運動が出来ない事も便秘につながる。
便秘は体調不良・抵抗弱化の要因となるので、
下剤を使用してせめて2日の1回の排便習慣を維持する事が必要。
胆道疾患治療剤
肝臓に障害がある時に使われる。
自己免疫性肝炎や原発性胆汁性肝硬変といった膠原病の合併症に用いられるだけでなく、
治療の副作用による薬剤性肝障害の改善目的で使用されることもある。
肝疾患治療剤
肝臓の細胞が傷害された時、細胞保護の目的で使われる。
主にウィルス性肝炎の治療で用いられるが、薬剤性肝傷害の改善目的でも使用される。
肝炎ウィルスを元々持った人に免疫抑制療法を行うと、
肝炎の再燃や増悪をまねく事があり、従来は治療困難だったが、
2002年現在では(2年前から)ウィルス増殖を防ぐ薬があり、
ウィルス性肝炎治療の切り札となっている。
インターフェロンは膠原病を悪化させるのではないかと懸念されていたが、
最近、あまり心配はないようだと分かったようである。
神経系に作用する薬剤
睡眠剤
ステロイドは朝に分泌され、体を目覚めさせる役割があるため、
服用することで睡眠障害を起こすことがある。
睡眠不足は体調も精神的にも不安定になるため服用する。
現在使用されている睡眠薬は習慣性もなく、必要な時は積極的に使用して良いと思われる。
体と心をしっかり休めることの方を優先する事が大事。
抗てんかん剤
てんかん発作はSLEなどでは比較的合併しやすい症状である。
抗てんかん剤のテグレトールは発作治療以外にも神経痛の薬としても使用される。
特に膠原病で合併しやすいのは、顔の三叉神経痛、腰から尻・太腿の坐骨神経痛、
手足末端の多発性神経炎(痺れ・痛みなど)で、
これらの痛みの緩和目的に使用される。
抗不安剤
病気による現在のストレス、将来の不安、
ステロイドの副作用による不安症(逆にハッピー・ハイテンションになる事もある)
薬に頼らずに、と考える方は多いが、症状が強い時や身体症状が出る場合は、
主治医と相談のうえ、薬での治療する事が有効。
(近年は良い薬も増えたため)
膠原病診療にはどうしても多くの薬剤が必要となってきます。
中には危険な相互作用もあるため、リスクを最小限にするためにも、
自分の服用している薬の名前をしっかり把握し、
複数の医療機関・診療科を受診している場合には院外処方などで調剤薬局を一つにまとめることが必要になるでしょう。
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その他講演会で出た話
薬剤関係
風邪薬
風邪薬は基本的に問題なし。
しかしSLEの場合、サルファ剤は低確率ながら病気を悪化させる恐れあり。
かかりつけ医をもっておくべき。
インフルエンザ予防接種
インフルエンザにかかると病気そのものが悪化する恐れがあるので、
基本的には受けた方が良い。
ただしステロイドを5,6錠服用していると、
免疫抑制作用のために抗体が作られず、ほとんど効果を得られない。
主治医と相談して決めると良い。
血管拡張剤
壊疽やかじかみを防ぐ。
レイノー現象に対しては、回数こそ減るが無くなる事は無い。
よって程度によって変える。
漢方薬
症状を緩和はするが、単独では効果弱。
漢方も薬である以上副作用は存在するので、
服用の際には必ず主治医に告知すること。
SLEと肺炎球菌ワクチン
アメリカではSLEだと肺炎球菌のワクチンを使用する。
日本ではまだだが、高価なうえアメリカの治療はきつめの治療なので、特に考えないでも可。
その他副作用について
例えばロキソニンの深刻な副作用は何万分の一という確立。
そのリスクか、症状が悪化するリスクか、どちらを選ぶかは患者次第。
リスクを考えると服用した方が良い場合も当然ある。
その他
健康食品
薬ほどの効果は無し。
軽い風邪程度にしか効果は無い。
副作用もあるので、過剰摂取等には十分注意。
*アメリカでは魚の脂肪を摂取する事で炎症を抑える事が出来るとされているが、
すでに摂取量の多い日本ではさらに摂取しても効果は疑問。
ビタミンCやE含め、痛み止め程の効果は無い。
紫外線
5・6・9・10月頃がピーク。
SLE以外の場合も皮膚症状がある人は十分に注意すること。
食事
基本的に影響は無いが、薬の副作用を考慮すること。
血管が縮まっている人は、タバコや大量のカフェインは×。
肺に合併症がある場合はもちろんタバコは駄目。
酒は、そのものには特に問題は無いが、
カロリーオーバーになりがちで、体重増加は関節悪化に繋がるので注意。
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