アスベスト問題とは何か

公益法人の「公益性」(1)−はじめに−

(1998.6) (2005.8.15更新)


 (社)日本石綿協会に、臆病なライオンの心を持つブリキ男にも負けるほどの、なけなしの勇気を振り縛って質問をしてみたのはいいけれど、いくら回答を読んでみても自分にはわからないことがある。
   日本石綿協会への質問 / 日本石綿協会からの回答

 表向きは代替化に力を注ぐとは言いながら、現実には、アスベストがいかに有益な原材料であるか、現在使用されている種類のアスベスト(クリソタイル)がいかに危険性の少ないものであるかを強調し、販売促進に力を注いでいるように見える日本石綿協会が、なぜ公益法人であり得るのかということがわからないのである。

 アスベストは、国が危険性を認め、代替化の方針を認めている。
 そのような危険なものは、なるべく私たちの身の回りからはなくすようにしてもらいたい。そのために努力することが公益であるとすれば、石綿協会がしていることはどうしてもその努力とは逆の方向を向いているようにみえる。それでも一定程度の公益的な事業をしているのであれば、公益法人であることは間違ってはいないのか。

 平成8年9月に閣議決定された「公益法人の設立許可及び指導監督基準」では、公益法人の目的は「積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならない」としている。

 同年12月の「運用指針」(平成9年12月一部改正)では、基準であげている「公益法人として適切でない」3つの例についての説明として、「受益対象者が当該公益法人の構成員等特定の者に限定されている事業を主目的とするものは、公益法人として不適当である」と述べている。

 (社)日本石綿協会は、アスベスト業界を代表する団体として、これまでも、労働法関連の規制をはじめ、大気汚染防止法や廃棄物処理法など、我が国のアスベストについての政策に様々な形で関与してきた。行政の側からすれば、アスベストの使用状況などの実態把握、アスベストについての知識の普及、法規制の浸透など、アスベストに関する政策をすすめる上で、業界の窓口としてなくてはならない存在であると言っても言い過ぎではないかもしれない。

 それ故に、十分に公益的な役割を果たしていると言っていい面もある。それは事実だろう。だとすれば、ここで「(社)日本石綿協会が、公益法人であることはおかしいのではないか」と言っても、誰も「そんなことはないはずだ」と思うことだろう。

 ちなみに、平成4年8月発行の「公益法人の現状と課題」(総務庁編)では、当時の25,000程の公益法人のうち、923の公益法人を抽出して業務状況を調査した結果、18.5%にあたる171法人で業務運営の不適切なもの(組織や財務上の問題を含む)が認められたとしている。

しかしそこで問題とされていたのは、収益事業の問題をはじめ、公益事業を実施していない公益法人や、定款に定めた目的外の事業を行っている公益法人であって、私が今ここで問題にしようとしている日本石綿協会の例のように、公益性という要件は満たしているが、現実に行っている事業活動が、行政機関が表明している政策方針(この場合ではアスベストの代替化)に反するおそれがあるという点で問題とされている例はない。

 日本石綿協会が公益法人としての要件を満たしていることは、ほとんど問題の余地はない。しかしそれでもなお、日本石綿協会の公益性について大きな疑問を感じずにいられないのはなぜなのだろうか。

 (社)日本石綿協会を例に、公益法人の「公益性」の意味について考えてみたい。

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(1939年の映画「オズの魔法使い」には、アスベストでできたほうきに乗った魔女が登場したという。アスベストという言葉は「永遠に不滅の」というギリシャ語に由来しているといわれている。)


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