1. アスベスト禁止に向けた国際的な情勢を踏まえ、日本においてもクリソタイルを含めたアスベスト
の輸入・製造・使用等の禁止を早期に実現するようイニシアティブを発揮されたい。国際的な情勢に
関する貴省としての認識もお聞かせ願いたい。
【回答】 住宅局建築指導課
詳細に自信をもってつかんでいるわけではないが、ヨーロッパとくにEU諸国で規制の動きが進ん
でいる、EUでも議論されているということは承知している。フランスでは1997年から禁止を導入した
ということは知っているが、条文の詳しい内容はわかっていない。
アメリカでは、環境保護庁(EPA)による規制が連邦裁判所で負けて、その後認められる製品も出
てきた(一部解除)。しかし、マーケットでは、統計としては減ってきている。
アジアについては、わからなかった。
アスベストを含有していても成形材では、通常使用する状態では飛散の危険はない。また、クリソ
タイルはクロシドライトやアモサイトよりも有害性が低いという議論も聞いている。有害だから規制し
なければならないという確信に達していない。十分な根拠を見出していない。
防火性能、経済性という問題もあり、市場の選択に委ねるというのが基本(方針)である。
* ここはかなり激しい議論になった。建設省の場合、過去、「規制強化あるいは禁止には新たな知見
の集積が必要」という点は一貫しているものの、代替化を促進する立場なのかどうかについては、
回答する者によって微妙にニュアンスが異なり、建設省としての姿勢が明確になっていないことが
うかがえる。最後の発言は、代替化の促進についてなので、今回はとくに後ろ向きである。
「新たな知見の集積が必要」としながら、これまでも一切その知見を収集検討しようとしているとは
思えないことも踏まえて、ヨーロッパにおける議論の中で必要十分なだけ今日までの科学的成果
のレビューされつくしており(2頁の「日本産業衛生学会への要請」参照)、そのような言い訳は通用
しないことを強調した。
2. 48年ぶりの建築基準法の抜本改正のもとで、従来から要望してきた建築基準法・同法施行規則
から、石綿スレート板および石綿パーライト板の記述の削除に向けた見通しを明らかにされたい。
【回答】
ご承知のとおり、性能規定への改正ということで、石綿スレート板等の言葉はなくなった。
昨年も要請のあった技術的部分の政令での規定等については、来年に向けてということで、まだ
具体的なことはお示しできない。
3. 日本建築センター刊行の『既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説」
のアスベスト含有吹付け材の商品名に関する不十分であるという指摘に対し、昨年、改定時に対応、
あるいはその前の段階でも正誤表等対応できないか日本建築センターとも相談してみるとのご回答
をいただいたが、その見通しについてお聞かせ願いたい。
【回答】
昨年の要請の後、日本建築センターと相談して、すぐに下記のような正誤表をはさみこむようにし
た。改訂等の機会には対応するよう検討しているが、同センターへの直接の注文(契約書店以外の)
が昨年1年間で10数冊と、最近はあまり出ていないようだ。
読者各位
* 標記9ページの表3.2の「吹付けアスベストの商品名」及び表3.3「アスベストを含有するロッ
クウールの商品名」は発行当時の一部の商品名を例示したものであり、すべてを網羅した
ものではありません。
* 136ページ7.11及び138ページ8.等の資料につきましても前項同様ですので、あくまでも参
考資料としてご理解をお願いいたします。
(財)日本建築センター 情報事業部
4. 吹き付けも含めアスベスト使用建築物の解体・改修工事等を実施するものの資格要件の導入を
検討されたい。
【回答】 住宅局建築指導課
* これまでと同様、ただちには困難としながら、(社)全国解体工事業団体連合会で行っている「解体
工事施工技師」資格制度が、「とくに石綿等の有害物質が使用されている場合の周辺の環境保全、
安全対策を適切にできる」ものとしていることで紹介され、別添の資料(次頁以下参照)が提供され
た。
5. 「健康住宅研究会」の検討範囲および「室内空気汚染低減のための住宅設計・施工ガイドライン」、
「ユーザーズ・マニュアル」には、アスベスト対策が含まれていないようであるが、今後の関連施策に
おいて、アスベスト対策を積極的に取り上げるようにされたい。
また、建設業関係者、ユーザーに、代替製品および代替化の状況に対する情報を提供して、代替
化の促進を図られたい。
【回答】
* この研究会の作業自体はホルムアルデヒド等を特定して研究が行われたものとの説明がされたが、
この研究会に限定せず、「健康住宅関連施策」の中でアスベスト対策を積極的に取り上げるよう要
請した。
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