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●アスベスト対策情報 No.26




運 輸 省


1999年5月26日(水)11:00〜12:00
運輸省海上技術安全局6F会議室

運輸省側出席者

@ 海上技術安全局安全基準課 補佐官 池田陽彦
A 海上技術安全局安全基準課 調査係長 上田康弘
B 海上技術安全局造船課 専門官 大坪新一郎
C 海上技術安全局造船課 専門官 梶田雅紀

(窓口: 海上技術安全局安全基準課管理係長 東健太郎―欠席、TEL 3580-6397 FAX 5047)

全国連側出席者
7名: 古谷杉郎、老田靖雄、野沢実、信太忠二、西田隆重、佐藤、外山尚紀






1. アスベスト禁止に向けた国際的な情勢を踏まえ、日本においてもクリソタイルを含めたアスベスト の輸入・製造・使用等の禁止を早期に実現するようイニシアティブを発揮されたい。国際的な情勢に 関する貴省としての認識もお聞かせ願いたい。

【回答】 直接これに対する回答はなし。

2. 国際海事機関(IMO)におけるアスベスト規制をめぐる動向について、承知されていることをお聞 かせ願いたい。

また、日本政府として、新造船・現存船への新たなアスベストの使用禁止はもとより、現存船に使用 されているアスベストの除去・交換対策等についても、国際海上人命安全条約(SOLAS)に盛り込 むよう積極的に働きかけたい。

【回答】 安全基準課

フランスからの提案を受けて1997年5月の国際海事機関(IMO: International Maritime Organiza-tion)の海上安全委員会(MSC: Maritime Safety Committee)において、下部の以下の2つの小委員会に討議を付託することが決定された。

1999年1月11-15日の防火小委員会(FP: Sub-Committee on Fire Protction)で、国際海上人命安全条約(SOLAS条約: International Convention on the Safety of Life at Sea)を改正して、新造船への、また、現存船への新たなアスベストの使用を禁止していくことに合意した。

FPの決定は設計設備小委員会(DE: Sub-Committee on Ship Design and Equipment)に付託され、1999年3月8-12日のDE小委員会でも合意をみた。

確実なことは言えないが、今後順調に進んだとすると、2000年春のMSC(通常年2回、今年のよ うに隔年開催の総会がある年は年1回、今年5月のMSCには間に合わないので)で承認(approval)。 6か月後の2000年末のMSCで採択(adoption)。その後反対(objection、反対の場合は1年以内に) がなければ、1年6か月後の2002年7月から発効する、という見通しである。

日本政府としては、フランスの提案に賛成し、使用禁止の実現に向けて対応してきたし、今後もし ていくつもりである。

SOLAS条約が改正された場合の国内法における対応についても、確実なことは言えないが、SOLAS 条約に対応する船舶安全法の改正で対応していくことになるのではなかろうか。

* 1999年1月11-15日の防火小委員会の決定内容は、後掲のとおりである。3つの例外を設けたの は、主に、アメリカから、すでに先進国では使用されていないとしても、船舶は世界中を回る可能性

があるので、開発途上国も含めてどこの国の港でも入手できるのでないと困るという主張によって 設けられたとのこと。日本ではすでにこれらの例外品目も使用されていないと思われる。

* 現存船にすでに使用されているアスベストにどう対処していくかという問題は、IMOでも「悩ましい 問題」である。監視、撤去の方法等について議論していこうということになっているとのこと(3.も参 照のこと)。

* カナダも、新たな使用禁止については反対しなかったとのこと。カナダからは、現存船問題に関し て、環境、健康影響に関する科学的知見に配慮すべきだとの趣旨の発言があったという。なお、 アスベスト禁止に反対する可能性のある諸国に関する情報を求められた(EUやWTOにおける 状況については把握していないようだった)ので、全国連から、大ざっぱな状況を説明した。

* 後日、5月19-28日の海上安全委員会(MSC)の内容が伝えられた。アスベストの使用禁止に関 してロシアが、科学的・医学的根拠が示されていないとの理由により反対したが、イギリスは、その 根拠はWHO(世界保健機関)ですでに示され合意されており(1998年11月の環境保健クライテリ ア―3頁参照―等を指すと思われる)、いまさらIMOでその根拠について検討する必要はないと主 張した。MSCは、このイギリス意見に概ね合意し、来年の次回防火小委員会(FP)で最終検討を 行うことが決定された、という(6月3日の安全基準課のプレス発表資料から)。

防火小委員会は現存船へのアスベスト使用禁止を決定

国際海事機関/防火小委員会/1999年1月11-15日 43rd session

防火小委員会(FP)は、新造船へのアスベスト使用および現存船へのアスベスト含有物質の新た な設置を禁止することで合意した。その目的は、2000年の採択をめざして、アスベストを使用した船舶 に関する規則を改正することである。

新造船にアスベストを使用することを禁止するという提案は、最初フランスから海上安全委員会(MSC) に提出され、最終的には国際海上人命安全条約(SOLAS)を適切に改正するという観点から、防火 小委員会および設計設備(DE)小委員会に付託された。

防火小委員会は、以下の場合を除き、すべての船舶にアスベスト含有物質を新たに設置すること を禁止するというSOLAS改正草案を勧告した。

1. コンプレッサーおよびバキューム・ベーンポンプ用の摩擦材(フリクション)

2. 火災、腐食または中毒のおそれがある高温または高圧下で使用される液体循環用の防水ジョ イントおよびライニング

3. 1,000℃以上のもとで使用される可撓性断熱材料

小委員会は、現存船に使用されるアスベストの除去または交換に関する安全問題を討議し、ア スベスト含有物質が使用されている船舶、区画の修繕、変更、改修に関する安全問題とともに、 船舶に使用されているアスベストの状態の評価手法を開発するために、さらなる検討が必要であ るということで合意した。造船産業を代表する非政府組織によって、造船所の安全に関する国家 レベル、地域レベルの規則で、すでに修繕、改変におけるアスベストの取り扱い方について規定 している。

* 原文は http://www.imo.org/imo/meetings/fp/43/fp.htm で入手できる。

【回答】議論の中で、日本では、いつ頃から、どのようなかたちで船舶にアスベストが使用されなくなった のかが話題になった。

1970年代頃から、外航船等から使用されなくなった。当初は、船籍を置くリベリアやパナマ等の国 内における規制や船主側からの要請等から始まったのではないかと思われる。造船課が、1988年 にいくつかの事業主(団体)に聞いてまわった時点では、フェリー等中型船舶でいくつかの事業主が使用していたくらいだった(いまは使用していないと思うが)。

造船工業会や中型船舶工業会、小形船舶工業会等の団体が文書等によって自主規制を決めた 等の情報は双方とももっていなかった。なお、中型船舶工業会では、現在、代替品のリストを傘下企 業に提供している。

また、船舶でアスベストが使用されていた箇所は、ボイラーや配管等の断熱材、隔壁、居住区等 の建材などが考えられる。

現在すでに使用されていなかったとしても、事業主や船主およびその団体に対して、IMOやバー ゼル条約の最新の動向や代替品に関する情報を知らせることは有意義であるので、ぜひ行うよう検 討を要請した。

3. 在日米海軍工廠におけるアスベスト対策等を参考にしながら、日本国内における現存船に使用 されているアスベストの除去・交換対策の確立・徹底を図られたい。

【回答】 造船課

* 事前に参考に供するために、米海軍横須賀基地の断熱材(アスベスト)の取り扱いマニュアルの 翻訳を提供しておいた。

IMOにおける現存船問題、後述のバーゼル条約の解撤ガイドラインをめぐる討議に日本から 積極的に提案をもって働きかけていくためにも、また、現実の労働者の曝露防止のためにも積極 的な検討を要請したが、「労働省で作成してくれれば」という姿勢を抜け出せなかった(そのような能 力がないということもあるのか?)。

4. 日本企業の海外における船舶の解撤・修繕等、日本企業が事実上保有している(いた)船舶の外 国における解撤・修繕等に当たって、有害廃棄物の国境を越える移動とその規制に関するバーゼル 条約の遵守を確保すること、および、上記と同様の対策が確保されるよう指導を強化されたい。

【回答】

アスベストやPCB廃棄物そのものを輸出するのではなく、アスベストやPCBを含む備品が存在す る船舶を解撤を目的として輸出する場合については、(バーゼル条約締約国の中でも見解が定まっ ていないが、) 日本は、主務官庁である、通産、環境、厚生の各省庁が、バーゼル条約の対象にな る、という方針である。

1999年4月12-14日に開かれたバーゼル条約の技術作業部会でもこの話が出たが、便宜置籍船 等の難しい問題もあるので今後の検討が必要ということになった。

1999年12月の締約国会議において、@解撤目的で輸出される船舶へのバーゼル条約の適用に ついて、A環境保全上問題のない解撤のガイドラインづくりについて、技術作業部会、技術・法制合 同作業部会に付託する(mandateを与える)かどうか、を議論することになると思われる。

一方、IMOでも、6月の海洋環境保護委員会(MEPC)で、ノルウェーやグリーンピースの提案を 受けて、この問題が議論されることになると思われる。バーゼル条約の方でも、Aのガイドライン作 成ということになればIMOと協力してということなので、6月のMEPCの会議にはバーゼル事務局の 代表も参加することになると思われる。

5. 貴省が所掌または関係する港湾、空港、鉄道等の施設・設備におけるアスベスト使用状況および 除去、改修、新築にあたっての方針(仕様)等についてお聞かせ願いたい。

【回答】 事前に、今回は船舶関係の部署だけで対応するので回答できないとの回答あり。






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